2024年01月08日
圧巻の『柳田格之進』爆笑の『四人癖』#柳家一琴 の会 2023/11/12
●柳家一琴『四人癖』
一琴師とは同い年なので、まくらの話題がいちいちツボに入ることが多い。今回は五十肩。僕は幸い方はなんともないけど老眼がもう酷くて酷くて。この五十肩から仕草を絡めて四人癖にはいるというがまた絶妙。
とにかく、滑稽噺の仕草と、それにシンクロする台詞回しのうまさでは、一琴師に勝てる人はそうはいないと思う。嘘じゃないぜ。見てみ。
●柳家一琴『権助提灯』
こっちは誰がやってもそれなりに面白くなる噺だけど、一琴師の権助は汚くないし嫌味になりすぎない。女二人もプライドはしっかりと品の良さに秘められている。だからこそおっかないしおもろい。安心して笑える一席。仲入り
●柳家一琴『柳田格之進』
苦手な噺。武士が体面にこだわりすぎて、だいたい女が犠牲になる。
まあ武家なんてのは体面で生きているわけですが、それにしてもね、という。
だけどね、うまい落語家というのは、苦手な噺を好きにさせてくれるものなんですよ。
何がいいって、前半なんですよ。浪人・柳田格之進と大店の旦那・万屋源兵衛が囲碁を通じて友情を育んでいく、ここですよ。
一緒に月を見て、またあなたと碁を打ちたくなるという。身分も貧富も超えた美しい男同士の友情、これがねえ、いいんですよ。
講釈種だから地語りが大事なんですけど、情景描写かしっかりと心理描写の背景になる。美しい。
この美しい友情が美しいがゆえに金銭トラブルで崩壊してしまう悲しさが際立つ。素晴らしい。
滑稽と人情、江戸落語の魅力をまざまざと見せつけられた会でありました。