2023年06月04日
原点回帰なの? 新宿末広亭深夜寄席(芸協) 2023/05/27
先月復活した深夜寄席。当分月1回の開催で、今度は落語芸術協会の二ツ目四人が出演。
つまり芸協にとっては3年ぶりの深夜寄席。
主任・瀧川鯉八を聴いた後に改めて入場。
会場 : 新宿末廣亭
春風亭昇輔『リボン』
立川成幸『宮戸川』
桂竹千代『サオリ9号』
桂伸べえ『ワンナイト高尾山』
木戸銭1,500円
正直、お客さんはそんなに多くなかった。
「最初に出るのは嫌だ。向こうはわん丈兄さんとか出て盛り上がったんですよね」とぼやきつつ、それなりに客席を温めて自作の新作。
「悪魔に魂を売る」という流れでロバート・ジョンソンのクロスロードから畳み掛けるあたり、センスはものすごく感じる。ジャニス・ジョプリンまで出てきた。
だけど終いまで聴くと、ちょっと情報量多すぎかなあ。
終わったばかりの鯉八師と「パンティ」でネタがついたのは事故みたいなもんか。新作でもたまにこんなことがある。かえって面白い。
追記:初めてじゃない!『ワンダーマジック』の人だ!あれは面白かった!また聴きたい!
いやそんなことより、僕みたいに夜の部聴いた後に再入場で来る客もいるんだから、ネタ帳見ておいて欲しい。さっき三遊亭小笑師がやったばっかりじゃないのそのネタは。
……まあ深夜寄席初出演。無理もない、ですかね。
「ヤー、お客さん少ないですねー。ふらっと入ってくれるお客さんがいません。昔はもっと入ったんですけどねー」たしかにね。でも僕の近くに座ったカップルはふらっと入ったらしくずーっとイチャイチャ喋っていて張り倒したくなった。
ここから降ったまくら「温泉での事件」が、面白いんだけどまあ気持ち悪い実話で、とにかく気持ち悪くて、桟敷席に座っていた女性客がずーっと下向いてた。また長いんだ。
もう漫談で終わるのかなと思ったら自作の新作へ。良く出来てるし面白いんだけど、さっきの気持ち悪い実話があと引いちゃってあまり楽しめず。
秘密のままに終わるのかなと思ったら渋谷らくご創作大賞を受賞して、多くのひとにその存在がバレてしまった。この前はNHKラジオに出ていた。
結論から言うと、非常に面白いです。
冒頭若いカップルがいきなりチョモランマ登山している。そしたら今度は高尾山に登る登らない、彼女に振られる振られない、という、繋がっているようでまるで繋がらない話が延々と続く。しかも滑舌がやたら悪い。ちょっとした悪夢だ。
でもこの悪夢がどういうわけか面白い。滑舌の悪さが逆に効果的にすら思えてくる。なんというか、落語として成立するのかどうかギリギリのスリルがたまらないのだ。こんなのありかね。
面白い。面白いんだけど、なんかどっと疲れる。異次元の落語体験だ。
この人これからどうなるんだろう。ちょっと楽しみだ。
3年ぶり復活の喜びに満ちた、熱の入った高座で客席も大いに盛り上がった4月落語協会の深夜寄席に比べると、どこかちぐはぐで、宣伝不足か客も少なくて、ちょっと残念な気もしたんだけど、よくよく考えたら深夜寄席ってのは元々こういうものだった気がする。あくまで勉強会で、当たりもあれば外れもあって、そこがいかにも二ツ目の会という感じで。
それが春風亭一之輔/三笑亭夢吉(現:夢丸)以降、ぼちぼち立ち見が出るようになり、さらに成金とその同世代の大活躍で毎回のように満員になり、それはとっても良かったけど、深夜寄席なのに勉強会らしい冒険ができなくなっていたという面もあった。
3年のブランクで一度リセットされ、また改めて「昔の深夜寄席」に戻るのであれば、それはそれでありだとは思う。二ツ目なんだから、いろいろ試みて、玉砕しっていいじゃないか。
でもそれなら、できれは、毎週やってほしいけどね。
●春風亭昇輔『リボン』
たぶん初めて聴いた。あ、ラジオトークはときどき聴いてます。深夜寄席はもちろん初出演。「最初に出るのは嫌だ。向こうはわん丈兄さんとか出て盛り上がったんですよね」とぼやきつつ、それなりに客席を温めて自作の新作。
「悪魔に魂を売る」という流れでロバート・ジョンソンのクロスロードから畳み掛けるあたり、センスはものすごく感じる。ジャニス・ジョプリンまで出てきた。
だけど終いまで聴くと、ちょっと情報量多すぎかなあ。
終わったばかりの鯉八師と「パンティ」でネタがついたのは事故みたいなもんか。新作でもたまにこんなことがある。かえって面白い。
追記:初めてじゃない!『ワンダーマジック』の人だ!あれは面白かった!また聴きたい!
●立川成幸『宮戸川』
立川談幸師芸協移籍後初のお弟子、やっと聴けた。うーんすみません。声質が僕の好みではなくてちょっと。達者だし顔もいいので人気出そうな気はする。いやそんなことより、僕みたいに夜の部聴いた後に再入場で来る客もいるんだから、ネタ帳見ておいて欲しい。さっき三遊亭小笑師がやったばっかりじゃないのそのネタは。
……まあ深夜寄席初出演。無理もない、ですかね。
●桂竹千代『サオリ9号』
ここで3年前までの深夜寄席を知る人気者が登場。「ヤー、お客さん少ないですねー。ふらっと入ってくれるお客さんがいません。昔はもっと入ったんですけどねー」たしかにね。でも僕の近くに座ったカップルはふらっと入ったらしくずーっとイチャイチャ喋っていて張り倒したくなった。
ここから降ったまくら「温泉での事件」が、面白いんだけどまあ気持ち悪い実話で、とにかく気持ち悪くて、桟敷席に座っていた女性客がずーっと下向いてた。また長いんだ。
もう漫談で終わるのかなと思ったら自作の新作へ。良く出来てるし面白いんだけど、さっきの気持ち悪い実話があと引いちゃってあまり楽しめず。
●桂伸べえ『ワンナイト高尾山』
最後には、個人的には「芸協の秘密兵器」と思っている人が登場。秘密のままに終わるのかなと思ったら渋谷らくご創作大賞を受賞して、多くのひとにその存在がバレてしまった。この前はNHKラジオに出ていた。
結論から言うと、非常に面白いです。
冒頭若いカップルがいきなりチョモランマ登山している。そしたら今度は高尾山に登る登らない、彼女に振られる振られない、という、繋がっているようでまるで繋がらない話が延々と続く。しかも滑舌がやたら悪い。ちょっとした悪夢だ。
でもこの悪夢がどういうわけか面白い。滑舌の悪さが逆に効果的にすら思えてくる。なんというか、落語として成立するのかどうかギリギリのスリルがたまらないのだ。こんなのありかね。
面白い。面白いんだけど、なんかどっと疲れる。異次元の落語体験だ。
この人これからどうなるんだろう。ちょっと楽しみだ。
3年ぶり復活の喜びに満ちた、熱の入った高座で客席も大いに盛り上がった4月落語協会の深夜寄席に比べると、どこかちぐはぐで、宣伝不足か客も少なくて、ちょっと残念な気もしたんだけど、よくよく考えたら深夜寄席ってのは元々こういうものだった気がする。あくまで勉強会で、当たりもあれば外れもあって、そこがいかにも二ツ目の会という感じで。
それが春風亭一之輔/三笑亭夢吉(現:夢丸)以降、ぼちぼち立ち見が出るようになり、さらに成金とその同世代の大活躍で毎回のように満員になり、それはとっても良かったけど、深夜寄席なのに勉強会らしい冒険ができなくなっていたという面もあった。
3年のブランクで一度リセットされ、また改めて「昔の深夜寄席」に戻るのであれば、それはそれでありだとは思う。二ツ目なんだから、いろいろ試みて、玉砕しっていいじゃないか。
でもそれなら、できれは、毎週やってほしいけどね。