2023年06月04日
旅の江戸っ子と雷雨の悲劇 第410回圓橘の会 2023/05/27
いつ来ても必ず満足させていただける三遊亭圓橘師の会。

会場 : 深川東京モダン館
三遊亭萬丸『そば清』
三遊亭圓橘『三人旅(通し)』
仲入り
三遊亭圓橘『三浦老人昔話「雷見舞」』(作:岡本綺堂)
木戸銭2,500円(予約)
●三遊亭萬丸『そば清』
おお、凄いネタを持ってきましたね。「だうもっ」そば清さんのキャラが臭くなりすぎす聴きやすい。ピタッと決まったサゲも見事。独自のものか、萬橘師譲りか。どっちでもいいね。 今のうちにこういうネタを持っていると、これからどんどん歳を重ねることが楽しくなりそうだ。●三遊亭圓橘『三人旅(通し)』
いつも通り萬丸さんを褒めて「孫弟子に甘い」と自分でっこんだ後に、なんと通しで『三人旅』。なかなか聴けるものではないですよ。前半(びっこ馬)は馬方と江戸っ子たちのやり取りがなんとも大人の余裕というか。長閑さの中でゆるゆると楽しく会話で遊んでいる感じがたまらない。馬方の太さと田舎者加減にしっかりと抑制が効いているからこそ、この「余裕」を楽しめるんだろうな。
後半の「おしくら」はもう圧巻というか。
飯盛女の素朴さと逞しさ。江戸っ子たちの洒落のキツさといたずらを面白がる茶目っ気がもうたまらない。 僕はこの噺のサゲが昔から大好き。「お燈明」という言葉をこんなふうに使うのは本当に素晴らしいと思うよ。
仲入り
●三遊亭圓橘『三浦老人昔話「雷見舞」』(作:岡本綺堂)
圓橘師による岡本綺堂作品シリーズよりの一席。らいみまい、と読みます。例によって筋だけ追ったらそんなに大したものではないと思うけど、雷雨という自然現象はなかなかにドラマチックで圓橘師の情景描写が冴え渡る。
侍が雷を避けて転がり込んだ「淫売屋」の描写も自然なのに微細にわたり、間取りと位置関係がしっかりと伝わってくる。
雷が怖い花魁というのはわかるけど、侍があそこまで怖がるのはやっぱりなんか不思議で、その不思議さが、武家社会の不条理と交わるところにこの噺独特の面白さがある。
明治の人間が江戸を回顧するという『三浦老人昔話』の構造は、「近世」江戸で生まれ「近代」明治で栄えた「江戸落語」のあり方とパラレルになっている。そう考えると、面白いし、圓橘師が好んで取り上げられるのもなんとなくわかる気がする。
ただこれ、他の落語家はなかなかできないだろうなあ。いまのところモダン館ならではの楽しみと言える。
次回も旅の滑稽噺『大山詣り』と、再び岡本綺堂作品ということで、落語ファンは駆けつけるべきだと思いますよ。








