2023年06月04日

深読みしたくなるパンティの落語 新宿末広亭5月下席夜 主任 瀧川鯉八 2023/05/27


深川から新宿。途中からだけど鯉八芝居へ。
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会場 : 新宿末廣亭

仲入り明け(クイツキ)から

瀧川鯉丸 『片棒』
宮田陽・昇 漫才
三遊亭小笑 『宮戸川』
古今亭今輔 『僕の彼女はくノ一』
やなぎ南玉 曲独楽
瀧川鯉八 『寝るまで踊らせて』

木戸銭1,500円(仲入り後から入場割引)


●瀧川鯉丸『片棒』

途中から。久しぶりに聴いたけど最初から聴けばよかった。上手いし楽しいし。雷門音助さんと鯉丸さんがいる芸協の未来は明るいなあ。新作は新作でいっぱいいるし。

●宮田陽・昇 漫才

おなじみの地図ネタを活かしながらどんどん新しい要素を入れて相変わらずめちゃくちゃ面白い。東京寄席漫才のリーダー。大好き。

●三遊亭小笑 『宮戸川』

三笑亭夢丸師の代演は主任・瀧川鯉八のコネと自嘲で笑いを取ってから宮戸川。相変わらず誰が誰だかよくわからない。その下手さを逆手に取ってなんだか楽しくしてしまう「癒し系の曲者」。油断ならない。

●古今亭今輔『僕の彼女はくノ一』

昔の野球漫画を持ち出すセンスの良いまくらで爆笑取ってから得意のこのネタへ。いきなり立ち上がって後ろの襖に貼り付けられちゃうところがどうしても腹よじれる。トリか独演会行ってみたい人のひとり。

●やなぎ南玉 曲独楽

刃渡りのクライマックスに持っていくまでの「わざとの危なっかしさ」と話術の巧みさ。曲独楽も話芸だとつくづく。

●瀧川鯉八『寝るまで踊らせて』

この後の深夜寄席に出てくるメンバーの宣伝をするかと思いきや、全員の悪口を。「嘘ですよー」
って。まくらの小噺は自作の新作に合わせてしっかり作り込まれていて、もう盤石の楽しさ。

『にきび』などと同じ「マー坊とばあちゃん」のシリーズなんだけど、二人は最初と最後しか出てこない。この構造は出世作『暴れ牛綺譚』と同じで、おそらく「落語とは何か」を語っているメタな落語、「落語の落語」なんだと思う。

なんて描き方するとなんだかアカデミックですが、出てくるのはパンティですからね。
ひたすらパンティ、そして刑事。超絶にくだらない。
語り口がなめらかできれいな分だけ、くだらない言葉が頭の中にどんどん注ぎ込まれてもはやパニック笑い。

サゲの衝撃がまたすごいが、これは「メタ落語宣言」みたいなもんだと解釈している。

コロナの真っ只中で真打昇進したばかりの鯉八師が自ら手を上げて挑んだ「初めての新宿末広亭主任」のときは、その心意気がビシビシ伝わってきて感動的ですらあったが、今やもう「主任の貫禄」まで感じるようになった。
若手真打・多士済々の芸協のなかでももはや欠かすことのできないポジションにいる。

この人は、どこまで進化するのだろう。ひたすらに楽しみだ。

それにしてもこれだけAIが話題になっているのだから、鯉八師の『科学の子』を沢山の人に聴いてほしいんだけど、CDは売り切れなんだよなあ。残念でならない。




m_shike at 21:00コメント(0)落語 | 生落語感想 このエントリーをはてなブックマークに追加

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