2023年05月06日
『立川こしら “まくら”で知る落語家の華麗なるITライフ』
アマゾンレビュー書きました。
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最新型の落語がここにある落語は失敗のカタログだ。ありとあらゆる失敗が落語の中にある。失敗を愛でて笑う、そんな芸能だ。失敗のトリガーはたいてい「行動」だ。落語家・立川こしらは行動する。とにかく動く。家をなくして定住を捨て、沖縄・西成・対馬と日本中を駆け巡る。上祐史浩と対談したりする。さらにオーストラリアに、ニュージーランドに、そして2019年のウクライナに行く。目的はあるゲーム。ついでに落語会。持参の座布団を引いて、屋外でも落語を披露する。当然そこで様々な失敗が生まれる。それをまた「まくら」として高座で披露する。めっぽう面白い。そしてまた動く、また笑いが生まれる。この本は、そんなこしら師匠の「まくら」(と言うかフリートーク)のなかで、"本にできる範囲"で面白いところをまとめたもの。なんとも眩しいほどバカバカしく面白い「失敗の宝箱」。これは間違いなく「現在進行系の落語」だ。上祐史浩とのトークライブを妨害してきた輩に対する切り返しや、「貧乏」について沖縄の子どもたちとのやりとりなど、実によくできた「最新型滑稽噺」だ。「IT」は「現在」のなかにチラチラ出てくる。分量はそんなに多くはないが、これがまた面白い。コロナ以前に落語配信の未来を予言していたところもさすが。なお"本にできない範囲"は、さらに面白いので、読んだら「こしらの集い」に行こう。近所でやってなかったら、自分で開催して、師匠を呼んじゃうという手もありますよ。
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