2023年01月09日
今年も充実の一門 新春圓橘一門会 2023/01/02 #三遊亭圓橘
●三遊亭萬丸『松竹梅』
新年最初の高座ということで緊張したのか、まくらはややもたつき気味なのが二ツ目っぽい。噺の方はしっかり楽しく。
松竹梅三人で披露する謡のところも、いろんなやり方あるようで、松さんの「なった、なった、蛇になった」っていうのが、すごく機械的な口調のまんま、本番である婚礼の席もやるっていうのがちょっと面白かった。
●三遊亭朝橘『田能久』
久しぶりの朝橘師匠、大好きなのになかなか聴きに行けてない。新春ということで箱根駅伝のまくらでわっと沸かしてしっかり自分の空気を作ったところで、ちょっとえぐいの掛けてきた。ウワバミに飲まれそうになるという噺。
相変わらず豪快に見えて仕草や入れ事の細かいところがきっちりしていて、ちょっとダークな世界をスムースに笑いに持ってくのがすごくうまい。
えぐいといいつつ、ラストはとってもめでたいので、実は新春向きという、なかなか憎い仕掛けになっている。
今年は朝橘師匠をじっくり聴きたい。なんとか日程合わせて。
仲入り
●三遊亭萬橘『初天神』
みんな大好き萬橘師匠。毎年正月のまくらが面白いんだけど、今年は子供のお話で、相変わらずガッと笑わせた後に、お馴染みの初天神。
正直言うと、このネタはあんま好きじゃない。よく出来た滑稽噺だし、切りやすいから使い易い等は思うけど、みんなあまりにもやりすぎでしょ。飴と団子のところもちょっと汚くて生理的にちょっと。
ところが萬橘師はいつものように独特の角度からのギャグが、ポンポンいいタイミングで入ってくる。飽きない。連続して連続して笑い取っていくのが気持ちいい。
聴いてて思ったんだけど、キャラに個性を乗せてるのは親より息子だなあと。
やはりこの噺を得意としている春風亭一之助師もそうだけど、お子さんがいらっしゃるから父親の視点を噺に活かす、というのはないわけじゃないけれど、その個性は子どもの方にしっかり仕込まれている。萬橘演じる息子は明らかに萬橘師っぽいし、一之輔師もそう。
そんな事を考えていると、萬橘師匠の初天神、ちょっともう1回聴いてみたくなるよね。
●三遊亭圓橘『新春小咄』
前の萬橘師匠に時間を少し渡して時間は短め、都々逸から新春の小噺で軽く締める圓橘師匠。初めて聴いたウグイスの小噺はなかなか雅で粋な感じ。
前にも聴いたことがある「七草粥の唄とつまみ食いをする花魁」の小噺ってのが、またなかなか良くて。
「トントンパタリートンパタリー」なんて七草粥のわらび唄なんて、こっちは知らない。知らないのに「ああ、正月だなあ」っていう気持ちにさせていただける。こういうマジックが落語の楽しみの一つ。
いつもの『圓橘の会』は、結構大ネタがドーンと来て、 圓橘師匠の名人芸を楽しめるわけですが、こういう軽い小噺もまた名人芸だなと。
最後には、一門勢ぞろい。
年末の会同様に弁護士・園尾隆司先生を前にお招きして新春の三盆締め。
昨年末のブログに
けど、もうちょっとちゃんと先生を紹介したほうがいいんじゃないですか師匠。
暮の寒さとささやかな安堵 第406回圓橘の会 2022/12/18
と、余計なことを書いてしまったところ、これが圓橘師匠に伝わってしまったようで「四家さんという方が、ちゃんと紹介した方がいいという風におっしゃったので」ときっちり詳しくご紹介。
いやわたし新春早々ビビりましたけど。
さて、圓橘一門にはもうひとついいお話がありまして。
昨年惜しくも亡くなられた六代目三遊亭円楽師匠の最後のお弟子さん、前座の三遊亭楽太さんが、三遊亭萬橘師匠のお弟子さん(預かり弟子)になることが、決まった。
三遊亭円楽さん追善興行が2月、両国寄席で開催 最後の弟子・楽太は萬橘門下へ「感謝の気持ちでいっぱいです」 : スポーツ報知
これはねえ、本当に嬉しい。
根っからの圓生マニアで、十代で弟子入りした逸材。逸材だからこそ円楽師匠があの歳で弟子に取ったんだろう。高座もとてもいい。
このブログにも「三遊亭楽太」で検索してくる方がけっこう多い。三遊亭の若き期待の星。
そろそろ二ツ目に上がると思うんで、とっても楽しみだ。
この圓橘一門会にもそのうち出てくるかも。
ということで今年2023年ますます楽しみな三遊亭圓橘一門を是非聴いていただきたい。次回は2月26日の開催です。

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深川東京モダン館--展示・イベント『圓橘の会』

そして同じ深川東京モダン館で、あたくし四家が開催する『シェアする落語』次回はこちらです。
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シェアする落語 第31回 柳亭信楽 2023年3月11日14時開演