2023年01月03日
NHK新人落語大賞受賞 #立川吉笑 真打計画04 2022/12/24
50点満点受賞の快挙、おめでとうございます。

会場 : 木馬亭(浅草)
立川吉笑『明晰夢』
三遊亭らっ好『しの字嫌い』
立川吉笑・三遊亭らっ好 拾萬円授与式
仲入り
玉川太福『北の国へ'22』
立川吉笑『床女坊』
木戸銭2,500円(予約)
●立川吉笑『明晰夢』
まくらは当然新人落語大賞の話なんだけど、この件本当に話題が尽きないですな。面白い話がいくらでも出てくる。そのなかで「予選で一緒だった三遊亭らっ好さんがやたらと褒めちぎり、兄さん優勝しますとまで言うので、「じゃあ俺が優勝したら十万円やるよ」といったという話があり、これが次へのフリになる。噺は現・ナツノカモ先生が立川春吾の頃に書いたネタを引き継いだもので、吉笑さんにとても似合うネタ。
複雑なメタ構造でありながら、テンポとギャグで面白く聴かせてしまうのが吉笑さんの腕前。寄席のシーンが特にいい。
下げたところでメクリ台をひっくり返す、そこには「らっ好」場内大拍手。
●三遊亭らっ好『しの字嫌い』
「もうこんなところで落語聴いている場合じゃないですよ。みんなで飲みに行きましょう!」同じ予選の様子を吉笑さんとは別の角度で切り取って「吉笑兄さん」を讃えつつガッツリ漫談で笑い取っていたのは大したもの。
「本選の放送は、もう、有馬記念を観るようにみてました」には大笑い。
噺のほうもなかなか軽妙で良かったけど、もっとできる人だと思う。
●立川吉笑・三遊亭らっ好 拾萬円授与式
吉笑さん登場。しっかり封筒渡していました。NHK新人落語大賞予選の楽屋で「大賞獲ったら、らっ好さんに10万あげるよ。」と言った吉笑兄さん。マジで頂戴しました。二言はない真の武士の如し。本当におめでとうございます!!!いつか僕もそんなストーリーを作れるようなかっこいい落語家に… pic.twitter.com/aiShICp0da
— 三遊亭らっ好 (@sanyuteirakko) December 24, 2022
吉笑兄さんの落語会。お客さんを驚かす喜ばせる工夫が随所に散りばめられてあり、客席から発生する笑いの塊が、全て質が違って…めちゃくちゃ勉強になりました。出演させていただいた経験が最大のクリスマスプレゼントだと思っております。
— 三遊亭らっ好 (@sanyuteirakko) December 24, 2022
仲入り
●玉川太福『北の国へ'22』(曲師:玉川みね子)
幕が開いたらまたサプライズ。ソーゾーシーの盟友。太福さんとみね子師匠が登場。おっと弟子を取ったので太福師匠とお呼びしよう。今回の優勝とソーゾーシーにおける吉笑さん大活躍を称賛しつつ、
「ソーゾーシーを見捨てないでくださーい!」
「もう"立川吉笑とソーゾーシー"でいいですから!僕らスーパーモンキーズで良いですから!後ろで踊りますから!」
こういうことを言っておきながら、ネタに入るともう爆笑の連続。
「北海道にサウナに入りに行こうとする」これだけのことで、よくまあこんなに笑いが取れるもんだ。ちなみに入浴シーンはほぼ5秒。「行こうとする」ドタバタがまあおかしい。
いかにも玉川太福らしい小市民的な会話劇から、聴いている方の小市民性をチクチクと刺激するなかで笑いが生まれる。ずっと聴きにいけてなかったので、嬉しい。
ちなみにサウナはここです。
サウナで蒸されたそのあとは、水風呂代わりに深雪へダイブ!【俺のサウナを探す旅・北海道編】 | 日刊SPA!
●立川吉笑『床女坊』
すっかり太福師匠の爆笑空間になっているところに上がって「まあ、こういう兄さんの後に上ってたんですから。もう、鍛えられましたよ」と、ソーゾーシーのメンバーに感謝するところがかっこいい。裏に大成金ぶつけられましたけど。どっちも満員だからいいじゃないの。で、このネタは『ぷるぷる』と同じ時期に出来たとのこと。「渋谷らくご創作大賞 2021」受賞作。配信で聴いたことがあったんだけど、そのときはあんまりピンとこなかった。でも生で聴くとめちゃくちゃ面白い。
エスカレートする要望がいかにもご都合主義なんだけど、その「ミエミエのご都合主義」が主人公をどんどん苦しめていくのがなんともおかしいし、何より噺の構成が語りのテンポとしっかりリンクして重層的に笑いが生まれてくるので、後になればなるほど笑いが強くなる。快作だわ。
昼夜を通じて、いま演者・作者・プロデューサーとして乗りに乗っている立川吉笑さんの力量をたっぷり楽しめた浅草の一日でありました。
改めまして、NHK新人落語大賞・受賞おめでとうございます。

