2022年12月22日
積み上げて50回 談吉百席 第五十回 2022/12/09
隔月開催『談吉百席』もついに50回。
いちおうスタッフの端くれなので、感慨深いですよ、いろいろと。

会場 : としま区民センター小ホール
立川談吉『粗忽長屋』
立川左平次『井戸の茶碗』
仲入り
立川談吉『文七元結』
木戸銭2,000円
●立川談吉『粗忽長屋』
まくらでは過去50回「会場の歴史」についてたっぷりと。毎回照明器具と山台を組み上げては壊した「アートスペースサンライズホール」と、スタッフが電動ドライバーで高座を組み上げては壊した「GEKIPA」、そして現在のとしま区民センター。いずれも池袋。いかにも小劇場という作りだったサンライズホールのトイレも今となっては懐かしい。粗忽長屋は久しぶり。昔よりうまくなって、昔とおなじ「日本一!」。
家元・立川談志直伝のイリュージョンは『松曳き』を思い出す。
そんなに大きくいじってないのに、いつもと違うところに連れてってくる。そして、笑える。
そうか、第一回で掛けたネタなんだ。
●立川左平次『井戸の茶碗』
うわわ、お久しぶりでございます。立川左談次一門時代は談吉さんにとって直の兄弟子だった。二ツ目・談奈だったころはよく聴かせてもらった。
だからこそわかるんだけど、師匠、腕上げられましたな。
スタンダードな井戸茶だけどやや速めのテンポですっきりと語り切る。元の人柄と相まって実にいい感じ。談吉さんとの複雑な関係をネタにしたまくらも良かった。
でもね。三席目に談吉さんが大ネタ掛けるのはお約束じゃないですか。もうちょっと短めにまとめても良かったかなあ。
ちなみに僕が談吉さんを初めて聴いた広小路亭で、次に上がったのが当時の左平次師匠なんですよ。縁を感じる。
仲入り
●立川談吉『文七元結』
1席目、2席目が延びすぎて、残り時間がほとんどない中での大ネタ。しかもネタおろし。あちこちセリフをつまみながらの進行となり、いささか窮屈ではあったものの、しっかりと文七の世界を語り切ったのは立派。人物では近江屋の主人が特にいい。大店の主としての風格を感じさせつつ、重くならない。長兵衛はちょっと若いか。まあ、これからでしょう。
この会を始めたときのような、ちょっと前のめりになって疾走しているような談吉さんの姿を久しぶりに観た気がする。コントロールはまだ定まらないけど150km/hでグイグイ押してくる高校野球のピッチャーのような。
何はともあれ継続は力。この才能豊かな落語家が、二ツ目として成長していくさまを横で眺めることができたことは、僕にとっては幸せなことだ。さあ、どんな真打になってくれるのか。
最後に、第一回から照明音響を中心に大車輪の活躍をしていた方が、つい最近この世を去られたことを記しておく。
僕自身も大変お世話になりました。ありがとうございました。

次回はこちらです。
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