2022年12月18日
記念の会に相応しい シェアする落語 第30回 三遊亭わん丈 2022/12/04
何百回とか、長きにわたり継続している落語会はいくつもある。
ので、大騒ぎするほどでもないにしても、10周年で30回目ですよ。
記念なので、どうしてもこの人を呼びたかったんですよ。

会場 : 深川東京モダン館
四家正紀 前説
三遊亭わん丈『近江八景』
三遊亭わん丈『花魁の野望』
仲入り
三遊亭わん丈・四家正紀 シェアタイム(対談)
三遊亭わん丈『もふもふ』
木戸銭2,000円(予約満席)
●四家正紀 前説
当日なんか僕のほうがふわふわしていて、カンペ忘れたり、携帯電話の注意忘れたり(紙では配ってますが)。ま、実はある仕掛けを考えていて、直前で没になったということもあり。うーん対応力ないなあ。●三遊亭わん丈『近江八景』
ふわふわが伝染したのか、最初のほうは珍しく喋りながら逡巡しているというか迷っているというか、ちょっと珍しいわん丈さんが見られた。途中「主催者いじり」をきっかけに攻勢に転じ、家族ネタに大爆笑をさせてから、お得意の圓生ネタ『近江八景』。
若くて馬鹿な男がモテたくてドタバタする滑稽噺の黄金パターンをわん丈さんは愛嬌たっぷりに、かつ軽快に演じる。途中の手紙の文句を読み上げるシーンがまたいい。
こういう落語が好きなんだ、僕は。
●三遊亭わん丈『花魁の野望』
こちらは公推協杯(という新しく始まったコンテスト)の予選で圧勝を収めたときのネタ。自作の新作。とにかく設定が素晴らしく良く出来ている。花魁にそれ、やらせますか。
古典落語のイディオムを単なるパロディとして使うのではなく、練りに練ったリミックスで独自の感覚をぶち込んで、全く新しい落語を作り出しているのが凄い。
自由奔放な花魁は『お見立て』の喜瀬川を思わせる見事な乱暴っぷり。
仲入り
●三遊亭わん丈・四家正紀 シェアタイム(対談)
時間を気にしすぎて、円丈師と円楽師についての話題をきちんと振れなかったのは我ながらみっともないなあ。いかんなあ。でも打ち合わせなしのぶっつけでやったのは正解でしょ。多少は困らせないと、本当に面白い話は引き出せないもんね。お客様からは今回もお褒めの言葉多数。
●三遊亭わん丈『もふもふ』
以前は違う演目で掛けていた自作の新作。『夢金』のような演目ネタバレになっていると気づいて『もふもふ』に変更したと。珍しいことにわん丈さん御本人が登場する。後輩と「コンセプトキャバクラ」に行く、という設定の妙と、畳み掛けるようなギャグの連発、そしてシェアする落語30回目にして初めてのハメモノ(笑)で大爆笑。
じっくり人情噺で締める展開もあったと思うが、お客様の意向を正しく読み取って、トーク長めに三席目に軽快な自作滑稽噺をぶつける、このあたりが三遊亭わん丈さんらしくて、やっぱりこの人にお願いしてよかったと思うのです。
コロナの困難、円丈師・円楽師の逝去というハードルを超えて、落語家としてますますたくましくなったわん丈さん。その進化の過程をお客様とシェアできたと思う。
よかった。
そして次回はこちらです。
信楽さん、次世代の新作爆笑王になると思います。古典もいいです。ぜひぜひ。