2022年11月12日
圧巻の浜野 立川吉笑 真打計画Re:02 2022/11/03
真打ち昇進へのステップとして『浜野』。行かないわけには。
…と、7月の前売を買っていたらコロナのため延期となり、11月にようやく開催、めでたい。
諸般調整大変だったろうなあ。損害も。仕方ないこととはいえ。
というわけで、満を持しての会。

会場 : 北沢タウンホール
立川吉笑『伊賀一景』
立川吉笑『ぷるぷる』
立川吉笑『妲妃のお百』
仲入り
立川吉笑『浜野矩随』
木戸銭2,500円(予約・座席指定)
●立川吉笑『伊賀一景』
長いまくらはその殆どがNHK新人落語大賞について。決勝は10/31に終わっているのに結果について11/23の放送まで喋れないという、この不条理。
なんともストレスフルな状況を逆手に取って「優勝した場合」「そうでない場合」の2通りの前提を同時に想定した話の運びに爆笑。
シブラクでネタおろししたというこの噺、ワンアイディアをグイグイ引っ張る吉笑さん得意パターンの一つ、にしても絶妙の「弱い語り」がいいんだよなあ。あれ以上弱いと本当に聴こえなくなっちゃう。ギリギリを攻めてる。
●立川吉笑『ぷるぷる』
NHK新人落語大賞もこのネタで決勝進出。たしかにこれは傑作。「肉体から生まれる珍現象」は吉笑落語黄金パターンの一つ。そしてなにより「長屋大騒ぎ」の雰囲気がなんとも楽しい。これぞ吉笑擬古典。●立川吉笑『妲妃のお百』
おっと、大ネタの前に大ネタ。何気に講談風の地語りが上手い吉笑さん、こういうネタも似合ったりする。
いい出来だったけど、悪人の人物造形はもっと行けるはず。今後が楽しみな噺。
慶安太平記やってくれないかなあ。こはるさんとリレーとか。
仲入り
立川吉笑『浜野矩随』
素晴らしい出来。いやあ立川吉笑の落語で泣ける日が来るとは。
いつかこんな日が来ると思ってはいたが。
師匠・立川談笑師からだと思うが、吉笑さんの工夫も多いのではないか。矩随は「下手」ではなく「異端」3本足の馬も「速さを表現している」ことになっており、「認められない異端が商業的成功を得る」という筋立てが、ほんのりと吉笑さん自身とも重なる。本当はそんなに重なってないんだけど、客が勝手に連想してしまうように持っていっている。
今回の高座で充分に満足したけど、吉笑さんはここからさらにこの噺を成長させていくのだろうなあ。
かっこいい真打に、また一歩近づいた日だった。
