『シェアする落語』12月の次は3月

2022年10月13日

強固な3割の土台の上で落語家は躍動する 落語作家井上のかたち 2022/09/25



この本の出版記念落語会でございました。

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会場 : ばばん場(高田馬場)

柳家ひろ馬『手紙無筆』
立川寸志『正体見たり』
立川談慶『おのぼりの母』

仲入り

柳家小せん『御落胤』

木戸銭3000円(読者割引でここから300円引き)


●柳家ひろ馬『手紙無筆』

初めて聴いたけど、達者で明るくてよいですね。くすぐりのセンスもいい。

●立川寸志『正体見たり』

「ただいまのは、井上新五郎正隆作、手紙無筆です」だって。あはは。
会の趣旨説明から、まずは寸志さんにあて書きされた井上先生の作品『正体見たり』。
僕は初演を『寸志ねたおろし』で聴いている。その時から面白いネタではあったんだけど、今回は登場人物たちの躍動感がもうぜんぜん違う。主人公が幽霊を演じるところがやたらおかしい。なにより噺全体が寸志さん特有のスイングジャズのようなリズムで弾んでいる。噺はこうも進化するのかと。

●立川談慶『おのぼりの母』

お久しぶりの談慶師。これは確かに談慶師への当て書き。
まあ、そんなことは知らなくても楽しめる。

古典の世界に、昭和のテレビドラマ的な家族ドラマを盛り込んでしまうのもまた擬古典のいち趣向なんだなと言うところを見せてもらった。楽屋で聴いていた寸志さんが自分でもやってみたいと思ったそうだ。そうやって広がっていくと、さらに楽しい。

仲入り


●柳家小せん『御落胤』

トリは小せん師匠の『ご落胤』。『まんぷく番頭』と並んで井上先生の最高傑作。
実に面白いんだけど、とにかく登場人物の多い噺で、長屋に人物がひとり増えるたび騒動が拡大していくので演者は大変。小せん師の腕を信じた当て書きなんだろう。
語りのテンポと緩急が進化することで、こちらも初演より明らかに面白くなっている。


どなただったか、確か上方の落語家がこんなことを仰っていた。
「新作落語を掛けるとき、落語作家の仕事は全体の3割。しかしその3割の土台がないと落語家は7割を載せることができない」と。

今回の会は、井上先生の「3割の土台」の強固さをしかと見せてもらった気がする。
土台の上で落語家が躍動する、それも、回を重ねることで躍動が進化する。素晴らしい「土台」。

落語家の「躍動の進化」により他の落語家が触発され、教えてほしいということになり、噺すなわち「3割の土台」が継承されると、また別の躍動が始まる。

井上先生はまた、他の落語家に対してお得意の当て書きで新しい作品を書く。当て書きと言っても土台なので、他の落語家もやりたがる、そして……。

そうやって井上作品も『試し酒』『猫と金魚』のようなスタンダードになってしまえばいい。

そういう意味で、今回の書籍は、僕から見るとやや「時期尚早」だったと思わざるをえない。
方法論をまとめるくらいだったら落語書いてほしい。だいたい井上先生の原点であったはずの「ドージン落語」の話がまるで出てこないのは、なぜなのか。
最初は得意な分野から落語創作の世界に入り、さらに擬古典に進んだご自身の歩みについてなぜ触れない。

という噺は、この前、先生に直接したからもういいね。

いや、読む価値はある本ではあります。 ただ僕はそれよりも、次の井上先生の3割の土台、この部分にすごく期待をしているということで、この件についてはお開き。







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m_shike at 19:31コメント(0)落語 | 立川寸志 このエントリーをはてなブックマークに追加

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