2022年09月28日
またすごい新作が 寸志ねたおろし。第三九回 22/09/24
●立川寸志『の日』
とんでもない自作新作の登場。ふだんは古典中心でそれほど新作落語を多作していない寸志さんだが、その作品はどれもレベル高い。特に渋谷らくごの『しゃべっちゃいなよ』で大好評だった『小林』は 「苗字という記号」に対する偏愛をこじらせっぷりがやたらと可笑しい傑作として知られている。
今回の『の日』は「記念日に見られる"日付の語呂合わせ"に対する偏愛」がどんどんこじれていく。途中から日付はどうでも良くなり、数字の語呂合わせだけが暴走しパニックになり、客もまた頭を数字だらけにしながら爆笑してしまう。
コミュニケーションと記号がテーマになる辺りは、立川吉笑さんの一連の作品を思い出すが「偏愛のこじらせっぷり」に寸志さんの味があると思う。
見事に仕込まれた落ちがまた綺麗でした。お見事。これはね〜、多くの人に聴いてほしい噺。
●立川縄四楼『山号寺号』
照れないでやった方がいいかな。●立川寸志『小言念仏』
ネタおろし。あまりにも柳家小三治師のイメージが強い噺。あとは三遊亭歌司師かな。他にもいらっしゃるとは思うが。ベテランでないとなかなか味が出せないネタのような気がするが、寸志さんの工夫は扇子を叩いて出す木魚の音。ふつうは一定のリズムでポクポクやるところで、ちょっとずらした。これはちょっとびっくりだけど、なかなかに効果的だった。独自のくすぐりも効果的で、もう少し全体を整理すれば間違いなく商売道具になると見た。
仲入り
●立川寸志『水屋の富』
トリネタは「準初演」久しぶりということか。夢落ちがどんどん連続していくような噺だけど、 その夢を夢だと気が付くところの驚きっぷりと、その変化がもう素晴らしくて、 疑心暗鬼がだんだんと狂気じみてくるところがたまらなくいい。納豆屋への嫌疑とその結果にはもうゲラになるしかない。ゲラゲラ。
ともすれは単調になりがちなところも、いつものスイング感抜群のリズムで押していく。満足の一席。
今回もレベルが高いねたおろしということで、次回は12/4日曜日なんだけど僕はちょっと行けないのですよ。
自分の会がありましてね。
えー、自分の会にも来てほしいですけど、寸志ねたおろし。にも行ってほしいと。
まあどっちかに行きましょう。
ネタはずいぶん増えたので、来年からは新しいテーマでやるみたいですよ。いよいよ真打昇進へのカウントダウンかな。