『シェアする落語』次回は7/7です。

2022年08月15日

シン・牡丹燈籠 三遊亭わん丈 牡丹燈籠全編勉強会 2022/08/07


まともに全編かけたら30時間かかる『牡丹燈篭』。
わん丈さん、一気に語るとのことで、速攻予約を入れましたよ。
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会場 : ばばん場(高田馬場)

三遊亭わん丈『牡丹燈籠(1)』
三遊亭わん丈『牡丹燈籠(2)』
三遊亭わん丈『牡丹燈籠(3)』
三遊亭わん丈『牡丹燈籠(4)』
三遊亭わん丈・広瀬和生 アフタートーク 

木戸銭2,000円(予約)


●三遊亭わん丈『牡丹燈籠(1)』(イントロダクション・お露新三郎)

「先生はこのクラスから落ちこぼれを出したくありません!」と牡丹燈籠に関するレクチャーからスタート。落語は扇子と手ぬぐいしか使っちゃいけないと、あっと驚く仕掛けで全体構成・人物相関図を客と共有。速記本では奇数章と偶数章で違うストーリーが展開し、これが見事に合流するのが全体の構成だと。なるほど。そしてなんと偶数章の『お露新三郎』からスタートし、有名な『お札はがし』の途中まで。つまり「怪談中心パート」で進行する。

●三遊亭わん丈『牡丹燈籠(2)』

怪談としては盛り上がる『お札はがし』から、お札を剥がして新三郎を殺した伴蔵・おみねの夫婦が江戸から逃げた『栗橋宿』から『おみね殺し』まで。

●三遊亭わん丈『牡丹燈籠(3)』

ここが一番しびれたところで、伴蔵が強請られる『関口屋強請』から山本志丈をうまく使って奇数章「仇討ち主体パート」に接続。発端の『本郷刀屋』から孝助とお露の父である飯島平左衛門、その後妻・お国が活躍。基本「孝助vsお国」なんだけど、お国をドロンジョに見立てるわん丈さんの感性かいい。隣の情婦・源次郎もなんとなくギャグっぽいだめキャラなんだと。

●三遊亭わん丈『牡丹燈籠(4)』

孝助のクライマックス『孝助の槍』(ここが一番よかった)から、宇都宮の仇討ち大団円まで一気に。

●三遊亭わん丈・広瀬和生 アフタートーク 

二人の「牡丹灯籠大好きさん」がひたすら作品の魅力を語り合う。わん丈さんは泣く泣くカットしたシーンを語り、広瀬先生はわん丈さんの工夫の凄さについて的確な指摘。楽しいトーク。

全体を通してわかったことは、わん丈さんは「『牡丹灯籠』はひとつのおはなしとしてめちゃくちゃ面白い」ということが言いたかったんだろうなあ、ということ。30時間を3時間ちょいにまとめているのに「無理やりダイジェストにした」「ただ筋だけを追いかけた」感じがまるでしない。

『お札はがし』『孝助の槍』など、各パートにおけるクライマックスシーンの演出はわりと短め・感情表現やや控えめにして、合間に効果的なギャグもはさみつつ、あくまで全編通じて初めて分かる「面白いおはなし・牡丹灯籠」の面白さを全面に出している。
これ、聴き終わったあとの満足感が半端ない。その一方でがっつり落語を聴いたあとに感じられるはずの「疲労感」はきわめて軽い。

30時間分の大長編を徹底的に研究して、トータルに一つの「おはなし」として再構築した(そして、いまもバージョンアップしている)わん丈さんの力量たるや。

終演後、僕の頭に浮かんだこと。
来年またどこかでバージョンアップ版を聴いてみたい。会場はどこがいいだろう。意外とユーロスペースなんかいいんじゃないか。




 

m_shike at 20:30コメント(0)落語 | 生落語感想 このエントリーをはてなブックマークに追加

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