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2021年11月02日

高座のハワイに初雪が 新宿末廣亭10月下席夜の部 主任:柳家喬太郎 2021/10/29


昔の友人からリクエストを頂き、寄席へ。
上野も浅草も池袋も魅力的で迷ったけど、やっはりトリ・喬太郎師を選択。20211029_163809_HDR~2
会場 : 新宿末廣亭

林家さく平『元犬』
林家扇『こうもり』
のだゆき 音楽パフォーマンス
柳家勧之助『長短』
金原亭馬玉『紙入れ』
伊藤夢葉 奇術
宝井琴調『人情匙加減』
古今亭菊太楼『締め込み』
翁家社中 太神楽
五街道雲助『粗忽の釘』

仲入り

林家きく麿『優しい味』
江戸家小猫 動物物まね
柳亭左龍『初天神』
林家彦いち『二月下旬』
林家正楽 紙切り
柳家喬太郎『ハワイの雪』

木戸銭3,000円


●林家さく平『元犬』

間に合わず。でも後でまた出てきました。

●林家扇『こうもり』(作:微笑亭さん太)

春風亭小朝師のために書かれた新作で、弟子の春風亭ぴっかり☆も掛けている。
というわけで、いいネタを持ってらっしゃる。語り口がスムースで疲れない。

●のだゆき 音楽パフォーマンス

同じ音ネタでもさらに工夫を重ねて、さらに面白くなっている。
寄席の流れのなかでいいアクセントになるゆるい語り口によって、その存在感はさらに増している。

●柳家勧之助『長短』

技術はしっかり見せてもらった。

●金原亭馬玉『紙入れ』

いい声にいいリズム。すでに聴き飽きているはずの「町内の間男小噺」が面白くてしょうがない。力量を感じる。

新さんは呉服屋。女将さんの色気はほどよく、そんなに悪い感じがしない。
もっと聴いてみたい人。

●伊藤夢葉 奇術

「趣味のムチ」が好きすぎて、わームチだあ、とわくわくしてしまう。
師匠である故・伊藤一葉の話もちらりと。

●宝井琴調『人情匙加減』

「つい最近まで講談界の小室圭と呼ばれて」ガハハ。
寄席の持ち時間でこのネタなので、もうギューッと濃縮。がっつり聴きたい人は12月下席(12/21-12/26)の鈴本へ。夜の部です。

●古今亭菊太楼『締め込み』

なんと初めて聴く師匠。お名前はかねがね。

ギャグの入ってくる角度が想定外で面白い。
やっぱり、仕草や語り口のなかに先代圓菊の雰囲気がある。締め込まないでサゲた。

●翁家社中 太神楽

和助さんに小花さん。夫婦漫才太神楽が楽しい。
前座のさく平さんを呼んで寝かせて、上で出刃包丁皿回し。笑っちゃうねえ。

●五街道雲助『粗忽の釘』

他の出演者同様に、まくら短めですぐ噺に。
それでも時間が足らないらしく引っ越し完了後からスタート。釘を打つシーンも短め。短めだけど指しゃぶるところがやたらと可笑しい。

ここからはもう爆笑一直線。おかみさんもキャンキャン言わないし、ご近所さんたちも穏やか。行水の話も出ない。なのに可笑しい。さすがの一席。

というわけで仲入り前までは古典中心の寄席らしい展開、それが。

仲入り



●林家きく麿『優しい味』

クイツキから新作シリーズに突入。いつも面白いきく麿師ではあるけど、この日はさらに凄かった。
爆笑に次ぐ爆笑で、めでたく2階席が開いた末廣亭の寄席空間に、仲入り前とは全く違う熱気が立ち込める。

とにかく実によくできたネタで、アイディアの秀逸さと落語的な緩い空気の会話が見事なまでにまとめ上げられている。
頭から離れなくなってしまう「アルデンテ」のギャグも効果的で、落ちもピタリと決まって非の打ち所がない。
落語初めての人が大爆笑できる、そんなストライクゾーンの広い傑作。

もちろん、きく麿師の雰囲気・肉体があっての噺なんだけど、誰か教わって挑戦してほしいなあと思う。

●江戸家小猫 動物物まね

「ただいまきく麿師匠、大層ご満悦の様子でございました」この受けの一言が絶妙。
あくまでさり気なく、爽やかに演られるので気付きにくいが、寄席色物としての親しみやすさを極めつつ、伝統の芸をより知的なエンターテインメントとして再構築しようとされている先生だと思う。
マニアックなモノマネにゲラゲラ笑ったあと、ゴリラについてちょっと調べてみたくなるのだ。

●柳亭左龍『初天神』

ここで左龍師は顔付けの妙。
空調の音に負けそうになるギリギリのところまで声量を落としておいて、一気にボリューム上げて子どもを叱りつける。技だなあと。

●林家彦いち『二月下旬』

この日唯一まくらに時間を費やした高座。何を掛けるか本気で迷ったみたい。
結局、喬太郎師の『八月下旬』に着想を得たらしいこのネタへ。『初天神』のあとにあえて父と子どもで出かける噺をぶつける趣向。

途中に出てきた「尾崎豊と金原亭馬遊師」のエピソードがあまりにもおかしすぎて、窒息するように爆笑。

まあ、これ『二月下旬・序』てしたな。たぶん全体の1/3くらい。全編聴いてみたい。

●林家正楽 紙切り

はさみだめしはいつもの相合い傘。客席の注文は『白川郷』と『ハワイの雪』。
いやあいいお題を出しましたなあ。


●柳家喬太郎『ハワイの雪』

だんだんと解禁になる飲食店についての爆笑まくらはとても短く。
さっと噺へ。

テレビ録画ではもう何回も聴いているこの噺。
やはり生は違う。

冒頭の爺と孫娘の会話からいきなり引き釣りこまれて、笑って笑ってしまう。
新聞に「鈴本演芸場11月下席昼の部・主任 柳家喬太郎」のチラシが入っている。これ、喬太郎師がよくやる手。でも何度もやられてしまう。高座のなかで虚構と現実の間をスムースに移動できるのは、いま、この人しかいないのではないか。

そして圧巻はライバルとの対決。末廣亭の面明かりが照らす師の腕が力強く、美しくて。やってることは爺さん同士の腕相撲なのに。

死ぬほどバカバカしい飛行機のシーンや、「江戸前の日系人」にまた大笑いしているうちに、やがて再会そして、穏やかな最後の会話へ。
三味線の切ない音が、高座のハワイに淡い雪を降らせ、そのままゆっくりと緞帳が降りてくる。

高座に降りしきる雪は、不思議なことに白く、冷たく感じる。

師の話芸だけが表現できる至高の虚構世界に、しばし浸りきっていた。浸っていたかった。

……それにしても、寄席とはなんと不思議な空間であることか。
笑いも涙も恐怖も安堵も愉快も不愉快もあるし、雪も降るのだ。

今年の初雪は、末廣亭のトリでした。

20211029_145740_HDR~2



m_shike at 22:48コメント(0)落語 | 生落語感想 このエントリーをはてなブックマークに追加

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