2021年10月30日
苦い文学の香り 第393回 三遊亭圓橘の会 2021/10/24
久しぶりの深川東京モダン館。なんか、ほっとしますな。

会場 : 深川東京モダン館
三遊亭萬丸『高砂や』
三遊亭圓橘『付き馬』
仲入り
三遊亭圓橘『不孝者』(作 : 岡本綺堂)
木戸銭2,500円(予約)

●三遊亭萬丸『高砂や』
好きな噺。やっぱり柳家とはちょっと違う型なのかな。ほぼ毎月聴いているのに、どっかしら進歩している気がする。羽織の裏地が素敵だった。●三遊亭圓橘『付き馬』
三遊亭圓生の得意ネタを掛けるということで、圓生師の形見分けの着物で登場。店を出て二人で浅草を歩くシーンがやはり圧巻。無駄に時間を引き伸ばす軽妙トークがたまらない。
早桶屋のおじさんに大小の声を使い分けて「図抜け大一番小判型」を発注するところもおかしくてしょうがない。また近いうちに聴きたいなあ。でも他にも聴きたいネタいっぱいあるからなあ。
仲入り
●三遊亭圓橘『不孝者』(原作:岡本綺堂)
岡本綺堂シリーズであるのだけど、謎解きの要素もなく勧善懲悪でもなければ人情ほろりもない。なんにもない。ただただ悲惨で痛ましく救いのない、苦い噺。はっきり言って、他の落語家が掛けたら聴けたもんじゃない。そんなネタを圓橘師は丁寧にきっちりと料理する。台詞には抑制されながらしっかりと込められた感情があり、地語りの格調は不条理な世の中を淡々としかし力強く訴える。聴き終えるとそこには感慨と満足感があるのが不思議でしょうがない。
文学だなあ、と思う。


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