2021年09月12日

『THE北斎 ―冨嶽三十六景と幻の絵巻―』すみだ北斎美術館で烏亭焉馬とのコラボを見た


両国亭で三遊亭圓橘師の落語を楽しんだあと、近くのすみだ北斎美術館へ。
北斎通りを錦糸町方面に歩くと、けっこうすぐ着いてしまう。
「THE北斎 ―冨嶽三十六景と幻の絵巻―」チラシ1
「THE北斎 ―冨嶽三十六景と幻の絵巻―」チラシ2



いやあ、充実した内容で満足しました。
富嶽三十六景がずらっとあって、北斎漫画もあって、展示も非常に凝っていて分かりやすくて。

なかでびっくりしたのは『隅田川両岸景色図鑑』。


何がびっくりって、これ、烏亭焉馬(うていえんば)とのコラボなんすよ。焉馬が発注して焉馬の家(本所竪川相生町)で描いたらしい。焉馬は狂文を書いている。

烏亭焉馬、ご存じの方も多かろうと思いますが、戯作者・狂歌師・浄瑠璃にして五代目市川團十郎の後援者であり、落語中興の祖と呼ばれる人。

ものすごくざっくりいうと、
  • 江戸で落語を始めたのは鹿野武左衛門(元禄・徳川綱吉の頃)
  • しかしデマを流した疑いをかけられ流刑(されていないとの説も)
  • 約90年後(天明・田沼意次〜寛永・松平定信の時代)、烏亭焉馬が自分の書いたおもしろ文章をみんなの前で読む「落とし噺の会」を開くようになり、これが落語へと進化する
  • 焉馬などの影響を受けて三笑亭可楽が下谷で寄席を開く。江戸職業落語家の誕生
こんな感じですかね。 焉馬は竪川沿いに住んでいたので、立川焉馬とも名乗っていた。
はい、「立川」という亭号はここからはじまるんですよ。弟子に初代・立川談笑と初代・三遊亭圓生がいる。すごいでしょ。

後に家元・立川談志が「談十郎(現・土橋亭里う馬師)・左談次・談四楼」と、自分の弟子に歌舞伎・市川一門の名跡をパロディにしてつけていったのは、多分焉馬が五代目市川團十郎の後援者であったことにちなんでいるのではないかと思う。これは裏とってないので、いつか立川談四楼師にお伺いしてみようかと思ってる。

そんな江戸落語のパイオニア・烏亭焉馬が北斎とコラボしていたとは、無知にして全く知らなかった。

『隅田川両岸景色図鑑』は、柳橋から隅田川を遡上して山谷堀まで、つまり隅田川・吉原通いルートを描いた絵巻物で、『お初徳兵衛』『船徳』『あくび指南』『花見小僧』などなど、いろんな江戸落語が、ちゃんと調べればまだまだいくらでも出てくる。
絵巻の最後はいきなり吉原遊廓の室内・遊びの様子が描かれている。もー、いくつ落語家詰まっているのかわからないくらいの作品。

うーん、感激しました。
他にもさっき両国亭で聴いたばかりの三遊亭圓橘師『三人旅』の馬子唄が脳内再生されるような『富嶽三十六景・東海道程ヶ谷』も素晴らしいです。ポストカード買いました。

常設展示だけでも素晴らしいけど、『THE北斎 ―冨嶽三十六景と幻の絵巻―』これ素敵でございます。9/26(日)までやってます。ご興味ある方はぜひ。


※ちなみに4代目烏亭焉馬は、2代目三遊亭圓橘なんですよ。またびっくり。




m_shike at 23:06コメント(0)落語 | 落語コンテンツ このエントリーをはてなブックマークに追加

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