2021年08月07日
この時代に吹く風 弁財亭和泉の"新"新作びゅーびゅー」(第二回) 2021/08/01
昇進披露目以来、初の和泉師匠はらくごカフェで。いい入りで。
会場 : らくごカフェ
弁財亭和泉『保母さんの逆襲』
弁財亭和泉『二人の秘密』
仲入り
弁財亭和泉『夏の思い出』
弁財亭和泉『ヒーロー』
木戸銭1800円
●弁財亭和泉『保母さんの逆襲』(作:林家彦いち)
池袋演芸場、小八師の芝居に一本で(交替なし10日感連続で)出演したときの話からこの噺へ。和泉師いつものことだけど、いただいた新作は徹底的に練り直すので、その表現にもはや彦いち師の影は全く見えない。ただ後で登場人物のキャラや噺の構成やを思い返すとやっぱり彦いち作品だったりする。理想的なカヴァーである。
というか、小生意気な子どもと幸薄い女性をやらせたら、もう右に出るものはいない。笑わないわけがない。子ども、このあとも登場。
●弁財亭和泉『二人の秘密』
つづいて非常に人気の高い作品。年老いた夫の言動に戸惑いながらもゆったりと語る老妻の雰囲気を楽しむ噺だなと僕は思ってる。落ちの味わい深さも良いなあと。
仲入り
●弁財亭和泉『夏の思い出』
「前半短めな噺だったので、後半二席やります」おお、なんと豪華な。これねえ、大好きな噺。久しぶりに聴けて大満足。
やっぱり生意気な子どもをやらせたら弁財亭和泉師匠ですよ。冒頭の「愚問だね!」が最高です。
オンラインゲームというアイテムの取り入れ方も絶妙で、落ちもバッチリ。
深夜寄席で聴いたときの客の盛り上がりを思い出した。
「夏の顔色」も傑作だし、やっぱり夏にはスイカってことですかねえ。笑った笑った。
●弁財亭和泉『ヒーロー』
そしてどうしても聴きたかったけど聴けてなかった噺!嬉しい。で、やっぱり面白かった!
和泉新作における大きなテーマ「お仕事」を、こう持ってきたか!
いわゆる戦隊モノ・フォーマットの活かし方がまあ上手。舞台はカレー屋だし、「赤」と「ピンク」の会話が描写するキャラとその関係、そして「青」の雑な扱いにも笑ってしまった。
「赤」が悪役「黒」に対抗する手段がまた和泉師らしい現代の切り取り方で、とにかくわかりやすく笑える。名作ですねえ。
今回はネタおろしなかったけど、とにかくどの新作も分かりやすく共感しやすく、確実に笑えるのはやっぱり凄いことだなあと。隠し味に「ほろ苦さ」「せつなさ」「鋭さ」もしっかり効いている。
まあ二ツ目のころから変わっていないんだけど、その安定度・完成度はますます上がっている。この日の四席、どれも寄席でも掛けられるもの。
いま、この時代を生きる人達のために吹く風です。びゅーびゅー。