『シェアする落語』次回は7/7です。

2021年03月28日

ダブルピースの花吹雪 柳家㐂三郎 真打昇進披露興行(鈴本演芸場3月下席昼7日目)2021/03/27


都合がつくかどうかわからなかったので、前売りは買ってなかったんだけど、やっぱり披露目は聴きたくて。なんとか当日券で潜り込めた。

座席半数とはいえ立見が出る盛況。
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会場 : 上野鈴本演芸場

林家木はち『寿限無』
アサダ二世 奇術
桃月庵白酒『壼算』
柳家さん喬『替り目』
すず風にゃん子・金魚 漫才
林家正蔵 『新聞記事』
柳亭市馬『狸賽』
柳家小菊 俗曲 
古今亭菊之丞『長短』

仲入り

白酒(司会)・正蔵・㐂三郎・さん喬・木久扇・市馬   新真打披露口上

鏡味仙志郎・仙成 太神楽
柳家権太楼『無精床』
林家木久扇 漫談
林家正楽 紙切り
柳家㐂三郎『愛宕山』

木戸銭3,500円(当日)


緞帳が上がってびっくり。
ピカピカのプロレスマスクが飾ってある。どちらから贈られたお祝いだろうか。額には「㐂三郎」の字が見えた。「㐂」が大きい。

●林家木はち『寿限無』

落語協会の場合、披露目の開口一番には二ツ目が出ていたような気もしたけど、前座さん。特に決まりはないのかも。
いい声が出ていて、聴きやすい前座。僕が知らないだけですでに人気あるのかも。

●アサダ二世 奇術

実は初めて。 お囃子に合わせながらのマジックがちょっと新鮮。 出てくる時は腰が曲がっているのにマジックに入る時と背筋が伸びるのがかっこいいね。

●桃月庵白酒『壺算』

こんな浅いところで白酒師、コロナから復帰後は初めて。店主のまぬけキャラの味付けがこの師匠らしい。 

●柳家さん喬『替り目』

俥屋さんが帰ったあと、おかみさんの「替り目」がやはり最大の見所か。滑稽噺もどっかきれい。

●すず風にゃん子金魚 漫才

金魚先生、こんなに歌がうまかったのか!
ちょっとびっくり。 これならもっと歌った方がいい。 にゃんこ先生のツッコミも両者のコンビネーションも進化したような気がする。「私達も年相応の漫才やるようになったね(笑)」だって。
金魚先生の頭に咲いた桜の花びらが高座の上に散らばって、あとで前座さんが拾っていた。

●林家正蔵『新聞記事』

桂宮治師披露目のときの春風亭柳橋師匠のように、軽い噺によるつなぎが見事。「副会長の落語」というのがあるのだろうか。
流れの中でちょうどいい加減の落語ちょうどいい加減の笑いを取って、自分の匂いはそれほど残さず降りる。
まくらの芸人いじりも楽しい

●柳亭市馬『狸賽』

「会長の落語」というのは特にないな。
いまさら噺の上手さについてあれこれ言う必要もないけど、たぬきサイコロの動きを追う目線の流れが素晴らしい。 ちょっと息を飲んでしまった。

●柳家小菊 粋曲

市馬師から小菊師匠への流れがなんとも落語協会らしいクラシックな雰囲気。都々逸がいいですなあ。

●古今亭菊之丞『長短』

仲入りにしては短めに、これもまたしっかりと空気を作ってつなげる寄席の落語。長いほうが上方育ちの型。

仲入り

●白酒(司会)・正蔵・㐂三郎・さん喬・木久扇・市馬 新真打披露口上

芸協・桂宮治師の披露目を観た直後なので、どうしても比較してしまう。まず司会による新真打の経歴披露、これが芸協にはなかったな。

で、この直後、この芝居が披露目司会初体験の白酒師が、副会長を「柳家……あっ!」
すかさず副会長は「柳家正蔵です
白酒師は木久扇師の紹介でも噛んでしまい、さんざんいじられることになる。まあおかげで盛り上がる。

木久扇師は、新真打が二ツ目の頃、貸し切りバスの仕事をしていたエピソードと、師匠・柳家さん喬師匠の「折り目正しい人柄→パーティーの料理を包んで持って帰らせる」という話で大爆笑を取る。この辺りが年の功。

柳亭市馬師匠はいかにも会長らしい、オーソドックスながらしっかりとめでたい口上。

師匠・柳家さん喬は「2回しか落語聴いたことないのに入門してきた、とんだバカ野郎です」と言いつつ愛情がにじみ出る言葉を。

手締めは会長。

鈴々舎馬風師がいない寂しさを林家木久扇師がしっかりと埋めてくれた。
まあ結局、協会の違いって、そんなにないかもね。

●鏡味仙志郎・仙成 太神楽

弟子たちは立派にやってますよ。師匠、観てますか。

●柳家権太楼『無精床』

口上に並ばなかったこともあり、新真打についてのコメントをいろいろと。

「今日は何をやってくれるんでしょうか。牡丹灯籠。やらないですね。道灌。そんな短い噺じゃしょうがない。先に酔っ払いの噺が出ているから酔っ払いの噺はできない。 前に出ている噺とつかずに、真打がやりやすいようにしなきゃいけない。ということで私も今悩んでいる」いつの間に自分の話にしちゃうあたりはさすが。

で、掛けたのは得意の無精床。申し分なし。さすがは芸歴五十周年。

ちなみに権太楼師も若い頃バスの仕事していた。写真みたことある。

●林家木久扇 漫談

ここで超ベテランの漫談というのかまた落語協会らしいところ。
やはりなんといっても立川談志のモノマネが絶品で、選挙がらみの話が何度聞いても面白い。

●林家正楽 紙切り

鋏調べは新真打にちなんで若駒。
客からのお題一つ目は『カエルの相撲』お囃子の二丁三味線が三味線がハーモナイズドギターみたいでかっこよかった。
最後は妖怪好きの新真打にちなんで『ろくろっ首』。
正楽師のあとに上がる新真打はさぞ嬉しかろう。

●柳家㐂三郎『愛宕山』

高座上がったらお約束のダブルピース、みんなでやるのは楽しいですな。
まくらは口上で林家木久扇師が紹介してくれた「バスの仕事」についての詳しい話。マイクロバスの補助席に座って落語やっていたと。気が付いてみると大したエピソードではないのに、やたらとおかしい。とんとんとんとん話は進み、さらりと愛宕山へ。昨年11月に江戸東京博物館小ホールで掛けていたね。

寄席・披露目向けに若干のチューニングを施しつつも、楽しさは変わらない。
身体全体を目一杯使って軽快に表現される幇間・一八の軽さといい加減さが、まあ心地よい。
特に身体を左右に使いながらのセリフに持っていかれる。いたずら好きで無責任な旦那のキャラも、いまの㐂三郎師に似合っている。
人物たちがあれだけ騒がしいのに、噺全体は春の山らしい暢気な雰囲気がしっかり出せているのもいい感じで。

鈴本に ダブルピースの 花吹雪

そしてこの日、楽屋には同時昇進の春風亭柳枝師が来ていたと。


披露目じゃない、ふつうの寄席でトリとるところを早く観たいものです。そのときはぎっちり満員がいいなあ。掛け声を掛けたいなあ。

㐂三郎師匠、おめでとうございます。

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20210328ちょっと寂しいプログラム。
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m_shike at 21:00コメント(0)落語 | 生落語感想 このエントリーをはてなブックマークに追加

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