2020年12月30日
転換点の鼠穴と完成度高い新作 第40回談吉百席 2020/12/19
●立川談吉『子ほめ』
おっと、これは驚いた。談吉さんのこの噺は初めてかな。心地よく聴けたけど、いつもの唄い口調も以前とはちょっと違うトーンで、なにやらクラシックな雰囲気。3席のスタートとしてはこういのもいいかな。
●立川談吉『竹とんぼ』(自作新作)
渋谷らくご創作落語大賞を受賞した『生モノ干物』のような、ひたすらナンセンスにイリュージョンをぶっかましていく談吉新作も大好きだけど、最近の『とり』といい『竹とんぼ』といい、ストーリーの完成度が高くて驚く。もちろんシチュエーションは極めてシュールでイリュージョンを感じさせるんだけど、展開がわかりやすく、またわりとシンプルなギャグも入ってくるので、今までの新作よりちょっとだけ幅広い層に受ける気がする。
「NASAのキャベツ」が好き。
仲入り
●立川談吉『鼠穴』
二つ目昇進披露の会(2011/11/27) のときから談吉さんが大事にしている噺を、この年末も。今回もまた、細かいところを丁寧に調整しているのがよく分かる。
台詞の抑揚が的確で説得力があり、特に金を返してすぐ帰ろうとする弟を止める兄の台詞がよりリアルに、心に響いた。
談吉オリジナルの落ちはそのままに。今年も満足度高い一席。
自粛期間とテレワーク落語会などの取り組みを通じて、談吉さんの落語がまた少しずつ変化している。独特の唄い調子をベースにしたメロディ感満載の語り口が持ち味なのは変わっていないけど、台詞の組み立て方をさらに工夫しているし、新作も家元直伝のイリュージョンを更に発展させつつ、以前より多くの客を意識した作風に挑戦している。
来年はネタおろしの会を始めるとのこと。


というわけで来年も隔月開催。
次回はこちら。平日で開演時間もいつもと違うのでご注意ください。
談吉百席 第四十一回 #落語 2021年2月12日
というわけで、来年も談吉落語は楽しいよ。よろしくお願いいたします。