『シェアする落語』次回は7/7です。

2020年11月01日

昇進直前の充実 第2回粋歌・正太郎ひざふに二人会 真逆の巻 2020/10/31


もうすぐ改名襲名・真打昇進の二人はどこか頼もしい雰囲気。20201031_162814_HDR


会場 : 江戸東京博物館小ホール(両国)

粋歌・正太郎・彦三 オープニングトーク
春風亭正太郎『権兵衛狸』
三遊亭粋歌『雛鍔』

仲入り

林家彦三『染色』
三遊亭粋歌『すぶや』
春風亭正太郎『当たり屋本舗』

木戸銭2,500円(予約)

お囃子 太田その
落語家3人にお囃子。太鼓もあるから前座さんもいたのかな?贅沢贅沢。

●粋歌・正太郎・彦三 オープニングトーク

真打昇進を控えた二人が登場。粋歌さんなんと5年ぶりの古典落語ネタおろしと聴いてびっくり。正太郎さんはもらった台本だけで落語を作り上げていく苦労について語る。
彦三さんは初めて見た。若いなあ。

●春風亭正太郎『権兵衛狸』

「昇進準備が全然進まない。私は昇進できるのでしょうか」結婚式などさまざまなイベントが延期になってしまい、来年2月のホテルが全然取れないのだそうだ。なるほど。
末廣亭(主任は師匠 正朝師)に一本(10日間フル出演・二ツ目は交互出演が多い)で入れてもらって、楽屋がベテランばかりで素敵だったというエピソードから、深いところで時間も長めだったから掛けたかったけど、後の師匠方に遠慮して掛けなかったネタを、と、この噺へ。
ずいぶん前に聴かせてもらったことがあったけど、伸び伸びとおおらかな正太郎さんの持ち味が更に強く前に出ていて、いいよね。前座時代の坊主エピソードをうまく挟んでいたのもいい。

●三遊亭粋歌『雛鍔』

「オープニングトークでいっぱい喋りましたから」とまくらもそこそこに噺へ。
新作でも古典でも粋歌さんの丁寧さは変わらない。ご隠居が出てきてちょっと人情噺風になる辺りのしっとりした感じは、むかし聴かせていただいた『里帰り』を思わせるものがあって懐かしかった。
終盤、金坊が若様の真似をするあたりのわざとらしさは、粋歌新作に出てくる生意気な子供を連想させてやたら笑える。

そう、粋歌さんの古典は、新作を作り続けるなかで磨いてきた人物造形が生きている。
またご自身でも仰っていたけれど、古典に取り組むことが、創作に生かされるだろう。
年1本でもいいから、古典ネタおろしで楽しませてほしいなあと。

仲入り


●林家彦三『染色』

初めて観た。若い!いろいろ若い!
でもこういう噺を選んでくるのはいいセンス。頑張ってほしい。
しかしなんか『城木屋』みたいなネタだね。
林家彦三「染色(そめいろ)」
 二代目圓歌が得意としたネタを、三代目圓歌に林家正雀師匠が勧められて演じたネタ。紺屋の若旦那が遊郭遊びが過ぎて勘当され、花魁を身請けして所帯をもった。だが、その元花魁の女房は若旦那を裏切って、50両の借金を残して家出してしまう。世を儚んだ若旦那は橋から身投げするのだが。助けられた船に乗っていた男に一部始終打ち明けるところ、「一通り聞いてくださいまし」と芝居台詞っぽく語るところ、惹きこまれた。ここに三味線が入ると、なお良いかも。

【二ツ目勉強会 やっちゃう?!】個性の違う4人が切磋琢磨する場として順調なスタート! | 演芸のまわり、うろちょろ。

●三遊亭粋歌『すぶや』

「よーしこれで普通に喋れる!!」ネタおろしの重圧から開放されてイキイキしている粋歌さん、今度は自作のなかでも鉄板ネタのひとつ。
なんでこの噺は何度聴いても爆笑してしまうのだろう。
ほんの僅かに恋の苦味、別れの寂しさが漂うからだろうか。

●春風亭正太郎『当たり屋本舗』

粋歌さんが「自分でもあまり掛けたことがないし、だいたい今の御時世でこれを掛けるのは危険。わざわざこれを選ぶとは」と。まあね。ちなみに僕は『新作コレクション』で聴いたことがある。
ほとんど新作演らない正太郎さんが、現代の家族を演じるのはかなり新鮮。
不慣れなのか、重要でないところではちょいちょい噛んでたけど、粋歌さんの勧めもあり、オリジナルのギャグを多数突っ込んで噺の流れがとてもスムース。十分楽しめた。正太郎さんにより粋歌さんの創作力が改めて感じられたのが嬉しい。また、どっかで掛けていただきたい。


それにしてもこのお二人、来年3月には真打に昇進して、弁財亭和泉・春風亭柳枝になるのかあ。
おふたりとも『シェアする落語』に2回ご出演いただいたこともあり、個人的な思い入れも強い。
お名前が変わることについても、めでたさと寂しさの両方が心を過ぎる。不思議な気持ちだ。

それでも大名跡を襲ったり、自ら新しい亭号を創ったり、芸人は次の段階へと進化していく。
次の正太郎・次の粋歌の誕生を待つ楽しみもあるよね。  粋歌・正太郎 ひざふに二人会|比嘉盛雄|note

というわけで、この二人と同時昇進する、柳家小太郎さんの『シェアする落語』12/26開催です。
お席、残り少なくなって参りました。
ご予約、お待ちしております。

ひざふに2
ひざふに3



m_shike at 20:40コメント(2)落語 | 生落語感想 このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント一覧

1. Posted by ますめっど   2020年11月14日 07:24
ワタクシ、粋歌さんで一番初めに聴いたのが「出来心」でありました。
古典のネタおろしもドンドンやってほしいものです。
柳枝を襲名する正太郎さん、どんな落語家になっていくのか期待ですな。
2. Posted by 4k   2021年01月03日 19:03
おお、出来心!僕は『金明竹』聴いたことがあります。

正太郎さんはじっくりマイペースで柳枝になってほしいです。

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星
 
 
 
note 話芸(落語・講談・浪曲)×IT・マーケティング
サイト内検索
最新コメント
記事カテゴリ
メッセージ
パートナーブロガー 一覧 | アジャイルメディア・ネットワーク
記事検索
月別アーカイブ
アクセスカウンター
  • 累計: