2020年09月21日
ニコニコとさらりと、芸を見せる 赤坂ひとり寄席 雷門音助らくご会 第二十七回 2020/09/20
●雷門音助『高砂や』
前回、高座の前に置かれていたアクリルプレートが、高座横に追いやられている。人数が予定より増えたら使用することになっていたそうだ。ソーシャルディスタンス確保の座席はピッタリの満員「最近は慣れてしまって空席がないと気持ちが落ち着かない」などとまくらを振ったあとのさらっと入った一席目はけっこう手強い噺へ。この噺に関してはどうしても柳亭市馬師の印象が強すぎる僕個人の問題はさておき、音助さんらしい人物の柔らかさで全体きちんと楽しくまとめられていた。歳を重ねると、謡のあたりにもっと味わいが出てくるんだろうな。
●雷門音助『長短』
雷門の型は、気の長い甚兵衛さんが上方出身。なんでこんなに楽しいのかと思ったら、仕草と表情のシンクロが完璧なのね。涼しい顔で凄いことをやってるのが音助さん。仲入り
●雷門音助『妾馬』
びっくり、羽織袴で登場。とても似合っている。「袴も少し出してやらないと」とのこと。あくまで軽快に楽しい噺に仕立ててあって、ことさらに身分の格差を強調したりして涙を誘ったりはしないのだけど、八がみんなに妹を宜しくお願いいたしますと頭を下げるところでやはり視界が滲む。「湿っぽくなりましたね」というほど湿っぽくはない。ここからの都々逸もいい声。馬に乗るところまでもってきてからサゲた。満足。
確かな実力を持つ二ツ目の挑戦する姿は、それだけで観る価値がある。今回も楽しかった。スタッフの方々にも感謝したい。早く以前のようにぎっちり椅子が並べられるように、お祈りいたします。