2018年05月19日
ふつうに落語であることが凄い落語 第2回井上新作落語 みつぼし 色恋ばなし 2018/02/17
●林家たけ平『須田町こまち』
トップバッターは林家の若頭。個人的には一番好きな林家。賑やかでキレがある。井上先生はこのたけ平師の「賑やかでキレ」に合わせて、美人に入れ込む若い男がいっぱい出てくる噺をあつらえた。これがまた絶妙のシンプルさで、寄席で掛けるのに何の支障もない。
でもこれ、ドージン落語でも同様のあったような。いや筋は全然違うけど。改めてドージン落語は骨格がしっかりと落語だったなあと。
噺が進めば進むほど、たけ平師にぴったりだなあと思いながら笑っていた。
●桂夏丸『綾子に捧げるのど自慢』
もうすぐ真打昇進の夏丸さん(当時)が井上先生に指定したのは「清楚系実はくそビッチ女子高生」ここに「夏丸さんと来れば歌」となると、なるほど、もうこの展開しかない。ちょっと学園ものマンガっぽい台詞も入れつつ意外な展開で大爆笑。落ちは見えていたけどやっぱり爆笑。あの落ちはぜひ前座さんの手を借りたい。仲入り
●春風亭三朝『隠居の遊び』
持ち前のハイテンションから、深みというか味わいをじわじわと装備しつつある三朝師に、井上先生は「遊び好きの隠居」というキャラを持ってきた。これがまたもう、ぴったり。ストップをかけようとする若旦那とのやり取りがもう自然に落語。
●鼎談
はい、お賑やかに。「色恋ばなし」ということでちゃんといい感じの色気もあるし、とにかく、三席とも「びっくりするくらいふつうに楽しい落語」。新作でここまでの「新作っぽさがない」のは凄いことだと思う。
柳家一琴師のために書かれた『まんぷく番頭』も凄いと思ったが、三席いっぺんに来るとこれがまた凄い。
井上先生の才能には本当にびっくりさせられる。
井上新五郎正隆先生作の落語、次にお披露目されるのこの会です。
ではまた、神保町でお会いしましょう。【あと2ヶ月】6月2日(土)午後7時00分から神保町のらくごカフェで「第2回落語作家井上のかたち〜柳家小せんの新作江戸めぐり」を開催致します。柳家小せん師匠が江戸を舞台の新作落語「御落胤(ごらくいん・原作は井上新五郎正隆)」を御披露。らくごカフェにメールかお電話での御予約を何とぞお早めに。 pic.twitter.com/aNj8eLCViR
— 井上新五郎正隆 (@inoueshin56) 2018年4月2日