2018年01月08日
啖呵の手前に技がある 寸志ねたおろし 2017/11/18 立川寸志
毎回楽しませてもらっているこの会、今回はことさら楽しかった!
立川寸志『和歌三神』
立川志ら松『南極探検』
立川寸志『替り目』
仲入り
立川寸志『大工調べ(序)』
●立川寸志『和歌三神』
演目しか知らなかったこの噺、初めて聴いたら実に素晴らしかった。風流を求めて雪の中で外出、おこもさん三人と歌を詠み酒を飲む。なんと言う素晴らしい人生の無駄。僕にとってはこれぞ落語。
演目しか知らなかったこの噺、初めて聴いたら実に素晴らしかった。風流を求めて雪の中で外出、おこもさん三人と歌を詠み酒を飲む。なんと言う素晴らしい人生の無駄。僕にとってはこれぞ落語。
こういう緩く美しい世界観に、寸志さんの柔らかく落ち着いた語りがあまりにもよく似合う。
●立川志ら松『南極探検』
寸志さんの趣向により、前座なのにこの出番。もちろん、我が国ではあたくしひとりの春風亭柳昇師の傑作で、これを家元・立川談志が「師匠これ俺やってもいいよね!」と強引に?引き継ぎ、さらに立川談之助師が引き継いで、志ら松さんが談之助師に教わったと。
とんとんとんと良く回る語り口が、この噺にとても合ってる。
こういうところで前座を立てるのは、方法は違うけど師匠の立川談四楼師みたいで、ちょっとかっこいい寸志さん。
●立川寸志『替り目』
本日ねたおろしの1。
定番のネタですが寸志さんのアレンジが効いている。最初の車屋と大将で、まあ引っ張る引っ張る。ニャンコ先生まで出てくる。いまニャンコ先生っていうと別の漫画なんだってね。混乱するぞなもしかして―。
女房がいなくなったところで、ひそかに女房に感謝するところに一本筋を通して、より感情移入しやすくするところがいい。
オチは「元帳見られた」よりも素敵な一言。良いです。
仲入り
●立川寸志『大工調べ(序)』
本日ねたおろしの2。
なんか微妙なんですよね二ツ目の大工調べ。なんか啖呵のコンテストみたいになっちゃって。NHKの落語ディーパーでもそんな感じで取り上げられてたし。まあ、主に客が悪いんですが。お約束の中手(噺の最中の拍手)は何か違和感が。
そんなわけで、噺全体を「歌」としてグルーヴさせることにより、中手の入る隙間を与えない立川談吉さんの『大工調べ』が好きな私です。
さて寸志さん。
啖呵も工夫があってよかったが、僕が惚れたのは啖呵の手前。棟梁が必死にこらえながら道具箱を返して欲しいと大家説得にあたるところです。
ここがもう、うっとりするほどスムースでメロディアス!
啖呵の後にはやはり中手がきたけど「中手は困る!テンポが乱れる」とやんわり押し返して、今度は与太郎へ。前は「与太郎は苦手」と言っていた寸志さんが、見事に与太郎を創り切っている。「大家大家大家大家大家大家大家大家大家大家」と大家を連発するところでは啖呵以上にスカッと笑えた。
改めて申し上げますが、これ、ねたおろしですからね。
どの噺も満足で、ここを起点にさらに噺が成長するかと思うと楽しみでしょうがないわけですが、なかでも『和歌三神』の落語的無駄の美しさにほれぼれしました。
次回は自分の会と被ってて行けないので、うちの会に来れない人はこの会に行って、感想教えてもらえるとありがたいです。
いいなあ。みんなもっとこういうのやろうよ。ギャグが面白いんじゃない、寒い日の外出にぶーたれる下男以外は対立すらほとんどない、出てくる人たちがみんなふわりと面白い落語。
●立川志ら松『南極探検』
寸志さんの趣向により、前座なのにこの出番。もちろん、我が国ではあたくしひとりの春風亭柳昇師の傑作で、これを家元・立川談志が「師匠これ俺やってもいいよね!」と強引に?引き継ぎ、さらに立川談之助師が引き継いで、志ら松さんが談之助師に教わったと。
好きな噺でして、CDで何度も聴いたなあ。
とんとんとんと良く回る語り口が、この噺にとても合ってる。
こういうところで前座を立てるのは、方法は違うけど師匠の立川談四楼師みたいで、ちょっとかっこいい寸志さん。
●立川寸志『替り目』
本日ねたおろしの1。
定番のネタですが寸志さんのアレンジが効いている。最初の車屋と大将で、まあ引っ張る引っ張る。ニャンコ先生まで出てくる。いまニャンコ先生っていうと別の漫画なんだってね。混乱するぞなもしかして―。
女房がいなくなったところで、ひそかに女房に感謝するところに一本筋を通して、より感情移入しやすくするところがいい。
オチは「元帳見られた」よりも素敵な一言。良いです。
仲入り
●立川寸志『大工調べ(序)』
本日ねたおろしの2。
なんか微妙なんですよね二ツ目の大工調べ。なんか啖呵のコンテストみたいになっちゃって。NHKの落語ディーパーでもそんな感じで取り上げられてたし。まあ、主に客が悪いんですが。お約束の中手(噺の最中の拍手)は何か違和感が。
そんなわけで、噺全体を「歌」としてグルーヴさせることにより、中手の入る隙間を与えない立川談吉さんの『大工調べ』が好きな私です。
さて寸志さん。
啖呵も工夫があってよかったが、僕が惚れたのは啖呵の手前。棟梁が必死にこらえながら道具箱を返して欲しいと大家説得にあたるところです。
ここがもう、うっとりするほどスムースでメロディアス!
啖呵の後にはやはり中手がきたけど「中手は困る!テンポが乱れる」とやんわり押し返して、今度は与太郎へ。前は「与太郎は苦手」と言っていた寸志さんが、見事に与太郎を創り切っている。「大家大家大家大家大家大家大家大家大家大家」と大家を連発するところでは啖呵以上にスカッと笑えた。
改めて申し上げますが、これ、ねたおろしですからね。
どの噺も満足で、ここを起点にさらに噺が成長するかと思うと楽しみでしょうがないわけですが、なかでも『和歌三神』の落語的無駄の美しさにほれぼれしました。
次回は自分の会と被ってて行けないので、うちの会に来れない人はこの会に行って、感想教えてもらえるとありがたいです。
03月10日(土)第14回 寸志ねたおろし!出演:立川寸志(初演二席+一席)会場:三越前・お江戸日本橋亭開演:13時30分木戸銭:予約1500円/当日1800円
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コメント一覧
1. Posted by ますめっど 2018年01月11日 10:30
寸志さんの進化が止まらない感じですね。
2. Posted by 4k
2018年01月12日 00:22
シブラクの受賞など、そろそろ世間にその実力がバレつつあります。
文化放送のサンキュータツオさんの番組で『佐野山』が流れ、女子アナが「鼻濁音・n音・長音が完璧、寸志さん凄い!」とアナウンサー目線で絶賛していました。
文化放送のサンキュータツオさんの番組で『佐野山』が流れ、女子アナが「鼻濁音・n音・長音が完璧、寸志さん凄い!」とアナウンサー目線で絶賛していました。