2016年02月14日

爽やか若武者の船出と濃すぎる老練たち 新宿末廣亭二月中席昼の部 主任・可楽 雷門音助二ツ目昇進 2016/02/11


音助さん二ツ目昇進おめでとう!



桂伸しん『小噺』
笑福亭羽光『読書感想文』
やなぎ南玉 独楽曲芸
雷門音助『狸札』
三笑亭可龍『狂言マック(作・桂枝太郎)』
宮田陽・昇 漫才
桂歌蔵『熊の皮』
三遊亭遊之介『浮世床(将棋・本)』
新山真理 漫談(血液型)
三遊亭笑遊『蝦蟇の油』
三遊亭円遊『のんちゃん』
林家今丸 紙切り
春風亭小柳枝『粗忽長屋』
 
仲入り

神田きらり『宮本武蔵伝 狼退治』
新山ひでや・やすこ 漫才
柳家蝠丸『お七の十』
桂米丸『ドローン出前』
鏡味健二郎 太神楽
三笑亭可楽『景清』


●桂伸しん小噺
ごめん、小噺だったような。あまり印象ないです。


●笑福亭羽光『読書感想文』
羽光さんらしい、細かくしっかりと笑いをとる新作、映画の予告編も入っています。


●やなぎ南玉 独楽曲芸
いつもの見事。


●雷門音助『狸札』
待ってました。めでたいめでたい二ツ目昇進。羽織が似合うねえ。
顔には緊張があふれ出てたが、噺はしっかり。
こういう誰でも知ってる噺を、別にいじることもなくしっかりと客を沸かせるあたりは流石としか言いようがない。
前にも書いたが、人並み外れた技術とセンスを持ちながら、ちっとも見せびらかさないのが素敵。
間違いなく期待の新二ツ目。


●三笑亭可龍  『狂言マック(作・桂枝太郎)』
まず枝太郎師の台本がとてもよくできてる。シンプルだけどしっかりグルーヴする構造を作り込んである。可龍師がまた、これをうまく料理しているのねえ。狂言師の立ち振る舞いが無駄にかっこいいのがまた面白い。


●宮田陽・昇  漫才
いまや東京漫才の最高峰。呼吸困難になるほどの爆笑。
途中「DAIGOのウィッシュ」のつもりで、新山ひでや・やすこの「最高最高最高」をやる、というギャグをかましたんだけど客のほとんどが知らなくて見事に不発。これがのちに奇跡を呼ぶ。

 
●桂歌蔵『熊の皮』
賑やかで華やかな語り口。いいですね。


●三遊亭遊之介 『浮世床(将棋・本)』
代演。寄席にはこういう、しっかりうけて、しっかりつなぐ人が必要なんですなあ。 


●新山真理 漫談(血液型)
着物の袖がレース編みみたいになっているのが面白い。落語風に座布団での漫談。
新作落語みたいなしっかりした作りだけど、ちゃんと漫談。


●三遊亭笑遊『蝦蟇の油』
まくらなかったのが残念でありましたが、噺は絶好調で。どうでもいいところで大きな声を使うのがめちゃくちゃ面白い。「居酒屋が、ある!」だけで場内爆笑。僕も爆笑。同じ調子で『天災』やってほしいなあ。


●三遊亭円遊『のんちゃん』
生では初めて。古典の大ベテランもこんな自作ネタもってるんですね。孫のエピソードを小気味よくつないで笑いをしっかり取っていた。


●林家今丸 紙切り(恵比寿 五郎丸 花魁 宝船 似顔)
珍しいことに五郎丸選手以外に注文が出なかった。この師匠の持ち味はやはり似顔。


●春風亭小柳枝『粗忽長屋』
 もうさすがの安定感。まくらの先代小柳枝の話から、とんとんとんとん進んでいく噺までが完成度高い。

 
仲入り


●神田きらり『宮本武蔵伝 狼退治』
客をいじる。笑いをとる。ピシッと決める。このバランスが素晴らしい。クイツキのざわついた空気をしっかり整えた。


●新山ひでや・やすこ 漫才
寄席らしい奇跡。さっき宮田陽・昇がかまして不発だったギャグ「最高最高最高」が伏線となってドカンドカン受ける。

 
●柳家蝠丸『お七の十』
こういうほかにやり手のいない噺で寄席を沸かせるのがこの師匠らしい。落ちに地口が二つ入っていて、二回繰り返すというのがまた珍しい。


●桂米丸『ドローン出前』
出ました。ずーっとまくらを語り続けていたのでこのまま漫談で終わるのかと思ったら、御歳90歳の新作のテーマはなんとドローン。特に爆笑するわけではないんだけど、現代人が抱えるちょっとした嫉妬とか新しもの好きの感覚とか、ふわふわと笑えてしまう。それこそドローンのようなフワフワ感が素敵。

膝がお悪いそうで、釈台の上にマイク置いて、踏み台に腰かけての高座。元気いっぱいでしたが、もう少しいい椅子を用意して差し上げたいなあ。どんなのがいいのかな。


●鏡味健二郎  太神楽
この方もお元気ですねえ。難しいことやるというより所作の美しさで見せる芸。あとで可楽師の紹介で知ったけど、先代今輔の息子なんだそうで。

 
●三笑亭可楽『景清』
網膜のご病気で眼がお悪いそうで、前座に付き添われて登場。もう時間ないというのに、まくら喋る喋る。細かい世相をきっちりつかんで笑いに変えてしまうのがすごい。この日何度もネタになったマイナンバーの話題は可楽師が一番面白かった。

で、時間もないし、どうするのかなあと思ったら景清ですよ。
これが、いいんだ。 
いまの可楽師のために書かれたんじゃないかと思うくらい、いい。 歩きながら歌うシーンでジワリ伝わってくる寂しさなんてもう只事じゃない、でも重くならない。素敵。


まあとにかく、つないでつないでいく寄席の魅力と、老練メンバーの芸に足する欲の深さに圧倒される。いい芝居でした。
こんな日に二ツ目昇進した音助さん、絶対に出世するよ。 


m_shike at 19:42コメント(0)落語 | 生落語感想 このエントリーをはてなブックマークに追加

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