2016年01月18日
華やかで暖かな葬儀としての傑作コメディ映画『の・ようなもの のようなもの』
ほんとに僕はこの映画を愛している。そして、森田芳光があんなに若くして亡くなってしまったことが悔しくてならない。
の・ようなもの 追悼・森田芳光監督:裏[4k](ura_shike)落語・酒・デジタル など
そしたら、こんな話が舞い込んできたわけです。
(急募)故森田芳光監督のデビュー作「の・ようなもの」の続編、「の・ようなもの のようなもの(仮)」エキストラ:裏[4k](ura_shike)落語・酒・デジタル など
もちろん速攻で応募ですよ。ネット上で告知のお手伝いもさせていただきました。
初体験のエキストラはそれはそれは楽しいものでありました。
落語会の客の役ですから。ふだんと何も変わらない。座ってたまに拍手するだけ。
内海桂子師匠が台詞いうところも見れたし。
エキストラは数百人いたし、ずいぶん後ろの席だったので、まあ映らないと思っていたら、
お弁当食べて、サプライズで何と古今亭志ん丸師『火焔太鼓』まで聴かせてもらって。
そしたら「次の人たちは残って下さい」と言われて。
数百人が数十人になったんですよ。
今度は高座をもっとアップで撮影すると。
これけっこう映っちゃうじゃないの?
ドキドキしながら『(登場人物の一人)』が演じる『(古典落語)』を聴いたのを覚えてます。
志ん丸師にいろいろ聴きながら、何度もやっていたなあ。
で、しばらく音沙汰がなくなって、心配していたわけですが。
『の・ようなもの のようなもの』2016年1月16日(土)公開:裏[4k](ura_shike)落語・酒・デジタル など
やっと封切が決まって、ずっと楽しみにしていたんです。
でも、冒頭書いたとおり、心配もあったんです。
『の・ようなもの』が、あまりにも好きで、もし万一、ただの同窓会みたいな映画になっちゃったらやだなあと。
で、期待と不安を抱えつつ、封切の日、映画館に足を運んだわけですよ。
これがね、
よかった。
冒頭のシーンは、きっちり前作と同じ「ベンチのシーン」から始まる。同じように可笑しい。けどいきなり結婚式場にの場面に切り替えるようなぶっ飛んだことはやらない。けど、バックにはヘリコプターの音がかなり大きく入る。
ヘリコプター?
この音『家族ゲーム』だろ?
オープニングから、これがどんな映画になるか宣言している。
「続編ですからモリタ的仕掛けはどんどんぶち込みますけど、35年も経ってますから、ちょっとサラッと行きますよ」
そこからはもう仕掛けのオンパレード。
何気ないシーンではさまれる「猫の声」。これは前作で主人公・志ん魚(伊藤克信)が師匠(故・入船亭扇橋師ですよ)に稽古をつけてもらっているシーンで使われていたもの。
そして今回の主人公、前座の志ん田(松山ケンイチ)の入浴中に、師匠・志ん米(尾藤イサオ)がバースデーケーキを持ってくる。風呂場にケーキ。
墓場でそばを食うシーンもある。
訳が分からない。けどおかしい。それが「の・ようなもの」の世界。
続編だから同じ役者が出てくるのは当然としても、他の様々な森田芳光監督作品に出演していた役者が次から次へと登場し、さらに、既に芸能界を引退した小林まさひろ・大野貴保が実にいい芝居を見せてくれたり(この「一時復帰」は映画の中の志ん魚ともろにかぶる)、懐かしい。いや懐かいのだけれど、それよりも先に「面白い」が前にドーンと来て、後で懐かしの香りが立ち上る感じ。
キャスティングも仕掛けも、全くもってクドくない。
前作を知らずに観たとしても、実にいい調子のコメディで、誰もがすんなりと最後まで笑って笑って、力入れることなくすんなり笑って、最後に大きな満足をくれる。あんまりさしたる解説もいらない。
いい映画としてお勧めできる映画。
でも、『の・ようなもの』の大ファンである僕のような人間や、森田芳光ファンにとっては、ほんとうにもうたまらない。楽しくて懐かしくてしょうがない。
森田芳光に関わったたくさんの役者とスタッフによって作れらたこの映画は、ふつうに素晴らしいコメディ映画でありながら、監督・森田芳光の仕事と人となりを称え、そのあまりにも早い死を惜しむ「華やかで暖かな葬儀」でもある。
ふつうこんなもの両立しないでしょ。凄いことだ。
でもその「凄さ」は全く前面に出てこない。あくまで軽やか。ふつうに素晴らしいコメディ。
落語ファンにとっては、古今亭志ん橋師の存在感ある芝居が嬉しいと思う。
そして、なんとなんと、古今亭志ん八さんのあの新作落語がドーンと出てくるんですね。僕の好きな演目です。いやあこれは嬉しかったなあ。映画のために作ったのかな?この落語がないと映画が成り立たなくなるという要になってる。すごい。
で、やっぱり内海桂子師匠が全部持ってくと。
ダラダラ書きましたが、とにかくいい映画です。
心の底からお薦めします。
あ、僕ですが、後頭部がバッチリ、それもけっこう長時間映ってました。
心の底から光栄なことだと思っております。
あ、パンフレットは面白いけどネタバレ満載なので、ちゃんと見た後に読みましょう。
『の・ようなもの のようなもの』2016年1月16日(土)公開

前作の予告編はこちら
そしたら、こんな話が舞い込んできたわけです。
もちろん速攻で応募ですよ。ネット上で告知のお手伝いもさせていただきました。
初体験のエキストラはそれはそれは楽しいものでありました。
落語会の客の役ですから。ふだんと何も変わらない。座ってたまに拍手するだけ。
内海桂子師匠が台詞いうところも見れたし。
エキストラは数百人いたし、ずいぶん後ろの席だったので、まあ映らないと思っていたら、
お弁当食べて、サプライズで何と古今亭志ん丸師『火焔太鼓』まで聴かせてもらって。
そしたら「次の人たちは残って下さい」と言われて。
数百人が数十人になったんですよ。
今度は高座をもっとアップで撮影すると。
これけっこう映っちゃうじゃないの?
ドキドキしながら『(登場人物の一人)』が演じる『(古典落語)』を聴いたのを覚えてます。
志ん丸師にいろいろ聴きながら、何度もやっていたなあ。
で、しばらく音沙汰がなくなって、心配していたわけですが。
やっと封切が決まって、ずっと楽しみにしていたんです。
でも、冒頭書いたとおり、心配もあったんです。
『の・ようなもの』が、あまりにも好きで、もし万一、ただの同窓会みたいな映画になっちゃったらやだなあと。
で、期待と不安を抱えつつ、封切の日、映画館に足を運んだわけですよ。
これがね、
よかった。
冒頭のシーンは、きっちり前作と同じ「ベンチのシーン」から始まる。同じように可笑しい。けどいきなり結婚式場にの場面に切り替えるようなぶっ飛んだことはやらない。けど、バックにはヘリコプターの音がかなり大きく入る。
ヘリコプター?
この音『家族ゲーム』だろ?
オープニングから、これがどんな映画になるか宣言している。
「続編ですからモリタ的仕掛けはどんどんぶち込みますけど、35年も経ってますから、ちょっとサラッと行きますよ」
そこからはもう仕掛けのオンパレード。
何気ないシーンではさまれる「猫の声」。これは前作で主人公・志ん魚(伊藤克信)が師匠(故・入船亭扇橋師ですよ)に稽古をつけてもらっているシーンで使われていたもの。
そして今回の主人公、前座の志ん田(松山ケンイチ)の入浴中に、師匠・志ん米(尾藤イサオ)がバースデーケーキを持ってくる。風呂場にケーキ。
墓場でそばを食うシーンもある。
訳が分からない。けどおかしい。それが「の・ようなもの」の世界。
続編だから同じ役者が出てくるのは当然としても、他の様々な森田芳光監督作品に出演していた役者が次から次へと登場し、さらに、既に芸能界を引退した小林まさひろ・大野貴保が実にいい芝居を見せてくれたり(この「一時復帰」は映画の中の志ん魚ともろにかぶる)、懐かしい。いや懐かいのだけれど、それよりも先に「面白い」が前にドーンと来て、後で懐かしの香りが立ち上る感じ。
キャスティングも仕掛けも、全くもってクドくない。
前作を知らずに観たとしても、実にいい調子のコメディで、誰もがすんなりと最後まで笑って笑って、力入れることなくすんなり笑って、最後に大きな満足をくれる。あんまりさしたる解説もいらない。
いい映画としてお勧めできる映画。
でも、『の・ようなもの』の大ファンである僕のような人間や、森田芳光ファンにとっては、ほんとうにもうたまらない。楽しくて懐かしくてしょうがない。
森田芳光に関わったたくさんの役者とスタッフによって作れらたこの映画は、ふつうに素晴らしいコメディ映画でありながら、監督・森田芳光の仕事と人となりを称え、そのあまりにも早い死を惜しむ「華やかで暖かな葬儀」でもある。
ふつうこんなもの両立しないでしょ。凄いことだ。
でもその「凄さ」は全く前面に出てこない。あくまで軽やか。ふつうに素晴らしいコメディ。
落語ファンにとっては、古今亭志ん橋師の存在感ある芝居が嬉しいと思う。
そして、なんとなんと、古今亭志ん八さんのあの新作落語がドーンと出てくるんですね。僕の好きな演目です。いやあこれは嬉しかったなあ。映画のために作ったのかな?この落語がないと映画が成り立たなくなるという要になってる。すごい。
で、やっぱり内海桂子師匠が全部持ってくと。
ダラダラ書きましたが、とにかくいい映画です。
心の底からお薦めします。
あ、僕ですが、後頭部がバッチリ、それもけっこう長時間映ってました。
心の底から光栄なことだと思っております。
あ、パンフレットは面白いけどネタバレ満載なので、ちゃんと見た後に読みましょう。

前作の予告編はこちら