2015年05月07日

見えてきた新しい方向性 寸志ねたおろし2015春 立川寸志 2015/04/25


寸志さん橘家に帰ってきた。

 
四谷三丁目駅からすぐ。だけどたいていの人は道に迷うこの会場。かつて前座時代の寸志さんが勉強会を開いていた。ときどきビッグネームも使っている。

小粋な感じの会場で僕は好きなんだけど、全席座布団なので客が両端つまり壁際から埋まっていくのがなんか面白い。配られたプログラムにネタだし3席。

立川寸志『幇間腹』
立川寸志『西行鼓ヶ滝』 

仲入り

立川寸志『景清』 
 
 いいなあ。噺選びのセンスにうっとりする。
 

●立川寸志『幇間腹』
まくらで新聞おじさん新パターン。きっちり爆笑。
噺に入るところは幇間腹というより『つるつる』みたいな感じで一八は愛想ふりまく。このあたりのリズムがもう絶妙で。
若旦那と一八、二人のキャラクターの描き訳の鮮やかさに聴いていてニコニコしてしまう。


●立川寸志『西行鼓ヶ滝』 
師匠である立川談四楼師とは長年の盟友(この表現正しいのかな?)、小説のモデルにもなっている講釈師・神田愛山先生にこの噺を教わったとのこと。地噺とは違う「講釈種」の味わいが。地噺は自前のギャグをちょいちょい突っ込んで笑いを取りにいかないといけないけど、寸志さんはさらりと台詞を使うだけでちゃんと笑いも取るし、人物伝としての講談世界を少し落語側にずらして演じきった。さらりと綺麗だった。


仲入り


●立川寸志『景清』 
これがねえ。
もうこの噺を選んだ寸志さんの志に痺れますね。
地味な噺ですよ。笑わせるでもなく泣かせるでもなく、でも心にさっくりと刺さる、刺さった噺が心を温める。
気の毒な主人公の「意地っ張りで、ちょっとダメ」なところを軽妙に生き生きと演じて見せることで、メロドラマの罠を軽々と抜けて「落語を聴いた」満足感をくれる。
なんとなく『佐野山』の中で寸志さんが登場させた「取組前日に出くわす、小柄の男」にも通じる人物造形は、個人的にとても好ましく感じられる。軽妙でダメで哀しい。泣かせはしないがぐっとくる。
こういう人にもっと会いたい。落語はこういう人が世界を持つ活躍できる話芸だと思う。

というわけで、二ツ目立川寸志の進化から目が離せなくなった。前座の頃からその技術と噺を選ぶセンスは凄かったが、ここにきてどんどん新しい方向性が打ち出されていて、ますます楽しみになってきた。

なので、会をやることにしました。
シェアする落語 : 【開催決定!】シェアする落語 第10回 立川寸志 2015/07/11

皆様ぜひご予約よろしくお願い致します。




寸志ねたおろし2015春
寸志ねたおろし2015春
シェアする落語 : 【開催決定!】シェアする落語 第10回 立川寸志 2015/07/11




m_shike at 01:16コメント(0)落語 | 生落語感想 このエントリーをはてなブックマークに追加

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