2014年03月02日

津波、写真、それから —LOST & FOUND PROJECT


実は刷りだしを見ていたんだけど、本物を手にするとまた格別の感慨が。
万人が読むべき本と確信してお勧めしたい。
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もう三年近く前になるけど、縁あって宮城県山元町の写真修復ボランティア『思い出サルベージ』にちょっとだけ参加し、ちょっとだけお手伝いをさせていただいた。

宮城県・山元町で写真修復ボランティア(3)作業開始:裏[4k](ura_shike)落語・酒・デジタル など


津波に巻き込まれた写真を洗浄していると、時々こんな悲惨に遭遇した。 被災した写真
被災した写真 posted by (C)[4k]shike

写真の表面まで海水が浸入したせいで写真の表面が溶けて、判別できなくなってしまった写真も多い。溶け出した乳剤が、まるで被災者がその感情を表現したアクションペインティングのようにも見えてしまう。

もちろんそんなことはない、ただ激しい波の中で、思い出が失われてしまっただけなのだ。
宮城県・山元町で写真修復ボランティア(3)作業開始:裏[4k](ura_shike)落語・酒・デジタル など
こういった写真がどうなるのか、ずっと気になっていた。
丁寧に洗浄されて保管されているのちは知っていたが。

それが、2年前、このような展示イベントに繋がった。この本の著者である高橋宗正さんと、多くの支援者の手によって。
[イベント]LOST&FOUND PROJECT(宮城県・山元町 写真修復ボランティア「思い出サルベージ・オンライン」で救えなかった写真たち:裏[4k](ura_shike)落語・酒・デジタル など

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この「傷ついた写真の展示」は世界を回り、多くの人に生きることの意味・その中で写真が持つ意味を問いかけた。多くの人々の魂が揺さぶられた。

本書はこのプロジェクトの記録である。
と同時に、高橋宗正という一人の写真家が、多くの仲間を巻き込みながらこのプロジェクトを推進していくなかで、大震災を前にして見失ってしまった「写真の持つ意味」を通じて改めて発見するに至る「魂の記録」でもある。

現在、写真というものは常にぼくらの身近にあって、好きな時にいくらでも撮ることができます。
あまりに膨大にありすぎるために、普段その価値をちゃんと考えることはあまりありません。
ぼくは震災以降、津波に流された写真と関わることで、写真の持っている役割を改めて知りました。
いつでも複製可能であるはずの写真が世界にその一枚しかなくなった時、写真が本来持っている価値が見えてきました。
そして世界中の人と展示を通じて交流してきた中で、ぼくらの経験を形にして共有していくことには意味があると確信しました。
本の印税は全て山元町への寄付金になります。
ぜひこの本を手に取って下さい。

LOST&FOUND PROJECT実行委員長 高橋宗正 --著者による紹介文
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その理由をうまく説明する言葉が上手く見つからないのだけど、この大きな判型から伝わってくる静かな衝撃が、今を生きるありとあらゆる人たちにとって、とてつもなく大きな意味を持つことだけは、僕にはわかる。


是非、手にしてみていただきたいと、心からお勧め申し上げます。




津波、写真、それから --LOST&FOUND PROJECT / Tsunami, Photographs, and Then --LOST&FOUND PROJECT - AKAAKA



池袋の東京芸術劇場でイベントが開催されています。今週土曜日3/8には高橋さんも登場します。こちらも是非。
<写真の「現在」>   東京芸術劇場

「Moving Distance:2579枚の写真と11通の手紙 」   東京芸術劇場



m_shike at 16:56コメント(0)トラックバック(0)書籍 | 震災 このエントリーをはてなブックマークに追加

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