2013年09月08日
土を楽しむJ-WINE 登美の丘ワイナリー 技師長が語る 特別ワイナリーツアー2013 秋篇(2)
サントリー登美の丘ワイナリーブロガーイベントに参加、の話の続き。
今回ご案内いただいたのは、前回と同じ技師長・高谷俊彦氏

これは2011年11月3日、つまり前回ご招待いただいたときに撮影したもの。
ワイナリー内で一番高いところ、給水塔の上から撮影している。

ちょっと画角が違いますがほぼ同じ位置から取ったカット。
手前に新しくぶどうが植えられているのがわかる。
植えて、うまく行ったらさらにケアをし、うまくいなかったら止めて、休ませて、別の植え方をする。
登美の丘の畑は生産装置でありながら、実験場でもある。

この垣根のつくり方にしても、畑の傾斜、風の流れ、作業のやりやすさを考慮して試行錯誤を重ねた結果編み出された最新型のものらしい。

作業用道路に対して斜めに組まれている。


垣根の間に草が生えている「草生栽培」
技師長からお伺いした話を自分なりにまとめると、
「かつては、欧州のぶどうを欧州と同じ形で育てて、欧州と同じ水準のワインを作ろうとしていた。しかし、土地はどうやっても同じにはならない。気候も違う。今は日本のワインとして日本の風土の中で作る高い品質のワインを目指している」。
確かに土壌は全然違うだろうし。フランスのワイン畑ってだいたい痩せた土地というか、ぶどうの木に最小限の水分と栄養分しか与えず、痛めつけて痛めつけてうまいぶどうを作らせるという感じだ。それに対して登美は火山性の土壌とはいえ、穏やかな森の土だ。
ボルドーの降水量850mmは日本平均(1600mm)の約半分だ。登美の丘は日本平均よりかなり少ない1100mmで「ワイン造りに適している」と言えるのだけど、でもやはりかなり違う。
土を楽しむのがワインだとすれば、その土にあった造り方が必要になる。
醸造においても、樽の使い方などは、大分変化してきたという。

「樽の使い方が違うので、ヨーロッパのワインのような獣臭はしません。そういう作り方をしています。日本らしいワインを目指しています」。

瓶貯蔵庫の隅にワイナリーの歴史が。

瓶熟庫の先にあるお部屋でテイスティング。
どれもなかなか自分では買えない高級ワイン。

左から
1.登美・白2008
2.登美の丘カベルネ・フラン2005
3.登美・赤2008
4.登美ノーブルドール1997(貴腐ワイン なんと1本52,500円)
そして5番目がサプライズ、2.のカベルネ・フランの1975 38年もの!
こういうビンテージもののワインを味わう舌を僕は持っていないのだが、確かに程よく枯れた風格が感じられた。でも、まだ若いけど2005もかなりいいですよ。こっちのほうが好きかもしれない。
技師長はこんなことをおっしゃった。
「同じカベルネ・フランでも、このころと今とでは、造り方がだいぶ違うんですよね」
と技師長。つまり上記の「日本の風土に合わせた、脱ヨーロッパ・ジャパンオリジナルの造り方」ということだろう。なるほどねえ。
海外に倣い、海外の手本にとにかく学ぶ時期があり、そこに限界と可能性を見つけ、ジャパンオリジナルを目指すようになる。産業界でも、音楽などさまざまな文化でも、そして食文化でも繰り返されてきたこの国の発展のスタイルを、ワインもまた歩んでいるんだなあと。
そういう意味ではサントリーのジャパンプレミアムシリーズをはじめとした日本ワインは、いまとても楽しい時期なんじゃないかなと思う。
今回の僕のお土産はこれ。
日本伝統種の甲州を使って丹念に作られた、キンカンのような香りが楽しい「和」のワイン。はっきり言って安い。お勧めです。
ということで、ワイナリーはこれから楽しい時期ですので見学してみるといいかと思いますよ。
こちらのサイトからどうぞ。
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