2012年12月17日

ミックスされる満足感 『第185回立川談四楼独演会』


この会が開かれる偶数月の土曜日が土日祝日にかかることを望んでいるわけですが、幸運なことに12月15日は土曜日だった!

dandoku182

立川寸志『間抜け泥』
立川笑二『転失気』
立川春樹『子ほめ』
立川談四楼『天狗裁き』

仲入り

林家正楽『紙切り 談志百態』
立川談四楼『富久』



●立川寸志『間抜け泥』
相変わらず軽くて切れのいい語り。そろそろほかの噺も聴きたい。勉強会とか、始まるかな?


●立川笑二『転失気』
今日はおとなしくふつうに前座なのかなと思いきや、途中でいきなり新解釈による工夫が入った。これが余りにも見事で、やはりこの北澤八幡で聴いて衝撃を受けた兄弟子・立川吉笑さんの『てれすこ・序』を思い出した。どんな工夫かは伏せておくが、途中、ご住職の『あうっ!』は立川志らく師の江戸っ子だね。


●立川春樹『子ほめ』
こちらはスタンダード前座。師匠の立川談春師にちゃんと似ている。もちろん今はこれでいいのです。


●立川談四楼『天狗裁き』
談四楼師二席のうち最初の一席では、まくらからすっと空気が変わるのはこの会ではいつものこと。
選挙ネタなどで客を沸かせ、ちょうどいいくらいに受けて暖めたあと、噺に入るところで、客が妙にしーんとしている。

「あの、芝浜じゃございませんので」

ぶははは。確かにおかみさんが起こすところか始まるからなあ。
トリネタで『富久』出しているから、それはないですよ。

で、噺の方は前に館林でお伺いした『天狗裁き』に比べて時間もたっぷり、ギャグも増量。「夫婦って何?」「友達って何?」という滅茶苦茶おかしいフレーズ(三田誠広?)が連発。堪能しました。


仲入り

●林家正楽『紙切り 談志百態』
舞台にはスクリーン。座布団の横にはプロジェクター。すべての作品は投影。

鋏試しは相合い傘、そして藤娘。
ご注文で連獅子、天狗、小沢昭一。
小沢昭一は土管に座りハーモニカを持ったところ。なんという哀愁。

どれも感動のため息が。

いよいよ談志百態に入る前に「談志」との注文が。それ応えなくてもいいのにちゃんと切っちゃう正楽師。

で、いよいよ影絵アニメーションで家元・談志の生涯が、と思いきや、『真っ赤な太陽』『悲しい酒』と美空ひばりメドレー。ひばりちゃんが影絵になって躍動する。

そして曲は『川の流れのように』。
新宿末廣亭で五代目柳家小さん師に惚れて、ベレー帽姿の真山恵介に相談して、弟子入り……と、立川談志一代記が展開される。もう笑うやら泣けるやら。今年三月の新宿末廣亭余一会に比べてもネタがさらに増えていて、すばらしい出来映えだった。

後でお伺いしたところ、正楽師は家元にもの凄く可愛がってもらっていたんだそうだ。


●立川談四楼『富久』
「美空ひばりは談志とほぼ同い年ですね」なるほど。

宝くじの話をまくらに振って、さて談志直伝のこの噺、金と火事が絡んでるあたりが、いかにも談志十八番。
いつぞや聴かせていた『らくだ』と同様に、師匠の噺は重くそして速い。圧倒されそうになると穏やかな地語りに戻ってほっとしたり。久蔵のちょっとかたくななキャラ、旦那の大らかさ、火事場の忙しさ、夜道の寒さ。富突きの賑わい風景。

毎度のことながら堪能しました。


恒例の、会場で車座になって開催される打ち上げには、こしら師・キウイ師・こはるさんも加わって賑やかに。
正楽師匠とも大変親しくお話させていただいて、楽しかった。


生きのいい前座三人+紙切り名人芸+談四楼師の名人芸 
そして車座の打上げ。 このミックスが素晴らしい満足感を生む。
ほんとにいい会です。 

来年の偶数月15日は、どうなっているのかなあ。カレンダー見てみないと。
 
関連リンク
「立川談四楼独演会」北沢八幡神社 12月15日(土) - お江戸そーほー亭



m_shike at 09:30コメント(0)落語 | 生落語感想 このエントリーをはてなブックマークに追加

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