2012年04月18日
談四楼師の重厚なスピード感 第181回立川談四楼独演会
偶数月15日の開催ということで、土日に当たる確率は2/7。
今回はこの3割弱にあたる日曜日ということで、喜び勇んで出かけた北澤八幡、なのです。
立川寸志 『無学者は論に負けず』立川らく兵 『豊竹屋』立川三四楼 『AKB息子』立川談四楼 『権助提灯』
仲入り北芝健-立川談四楼 対談立川談四楼 『三軒長屋』
●立川寸志 『無学者は論に負けず(やかん の前半部分)』
どう見ても入門一年に満たない前座ではないですわね。ご隠居・大家あたりにいい味を出してくれるわけですが、今回は少し怒りっぽいおじさんでした。
そろそろ他のパターンの話も聞いてみたくて。
●立川らく兵 『豊竹屋』
祝・二ツ目昇進。
出のところからガチガチに緊張していて、枕は同じ話が何度も出てくるループ状態「エー落語に入ります」と三回くらい言ったかな。
しかし噺に入ると達者なもので「師匠の志らくに音痴と言われた」義太夫もちゃんとこなしていた。独自のくすぐりも入って大変楽しい一席。降りるときに高座返ししようとしたのは、あれはわざとやったと見た。
●立川三四楼 『AKB息子』
うーん。あのSF的な寿限無の輝きはどこへやら。
とにかく、自作なんだからもう少し自信持って淀みなく話そうよ。まくらの地語りがノッキングしてカックンカックンどうしようもない。AKBが「流行っているのか」「本当は流行っていないのか」すら、話の中でまとまっていない。最初はそのあまりの頼りなさに笑ってしまったけど、だんだん場の空気が薄くなる。
噺(台詞)に入ると、客から「エー」との声。このまま終わると思われていたのでしょう。でもここから急にしゃんとするのだけど(だからまくらは短めにすべき)、ところどころ面白いけどそれほど盛り上がる展開にもならず。
後でご本人と話もしたけど、どうにも迷いがあるみたいで。この題材も『アニソン和尚』も着眼点は悪くないのにまとめきれていない。何やってもいいけど自信持って掛けられるところまで高めてほしい。
●立川談四楼『権助提灯』
あんまりいい空気じゃなかったところをさすがのまくら。あっという間に温めなおす。
最近の時事ネタも面白いのだけど、もう何十回聞いたかわからない「旦那を坊主にする」小噺がなんでこんなに面白いのだろう。
最近の時事ネタも面白いのだけど、もう何十回聞いたかわからない「旦那を坊主にする」小噺がなんでこんなに面白いのだろう。
悋気の独楽かなと思ったら、余裕をもって『権助提灯』。
いやあ、この噺こんなに面白かったっけ?
四人の登場人物がきっちり描き分けられていて、全然ぶれがない。そしてこの日の談四楼師は、いつにもましてスピード感があった。談四楼師とくれば人情話の繊細、『らくだ』の豪快と連想してしまうのだけど、この日はテンポ・スピードだ。
重厚にしてスピーディ。軽快というより「重快」。でかいラグビー選手がすごい速さで走りこんでくるような迫力(ラグビーファンの皆さん、ジョナ・ロムーですよ)。この時点ですっかり満足。
仲入り
●北芝健-立川談四楼 対談
元エリート警察官の北芝氏との対談。話はめちゃくちゃ面白かったけど、落語会で聞くものかというと、どうなんだろう。
世田谷一家殺害事件 - Wikipedia とりあえず、やや長く感じられた。面白かったんですけどね。
●立川談四楼 『三軒長屋』
スピード満点「重快」な談四楼師の魅力はここでも炸裂状態。すんばらしいですね。
これといった噺の内容がない割に、やたら多い登場人物をこれまたきっちりと描き分けながら、ポンポンポーンと超特急で進んて行くのだから楽しくないわけがない。ひたすら堪能しました。
終演後は、その場でいつもの宴会。
おなじみさんたちと車座になって、酌み交わしながら語る時間の楽しいこと楽しいこと。師匠にも直接お話をお伺いすることができて、幸せで、もう。
翌日が仕事なので、この後の打ち上げに行けなかったのが残念ですが、もう、この日はこれで十分満足でございました。