2011年09月04日
充実の二人会 天どんくんと一之輔くん5(2011/09/03) #rakugo #落語
二人会、それも土曜日とあれば行くしかない。場所はなかの芸能小劇場。中野駅北口サンモールを抜けてブロードウェイの前を左、通りにでて右にある。通りの一本前を右でもいいけどそんなに詳しく説明しなくてもいい。
席に段差のきちんとついた、音響もいい感じの小屋で気に入った。
例によって早く行きすぎて整理券番号は003。
前から二番目の席をゲット。
前から二番目の席をゲット。
■おしゃべり
高座の上に二つの座布団。天どんさんと一之輔さん、並んで座ってなにやら険悪なムードを装ったトーク。ま、予告編ですね。
この会では一之輔さんが天どんさん作の新作をやることになっているが、送られてきた台本が手書きで修正は入りまくりなので読めないとかなんとか。
■前座 春風亭朝呂久 『風呂敷』
楽屋でもあの二人はあんな風に言い合うので怖いとこぼしながら風呂敷。うまいね。メリハリがきちんとしていて、トチってもうまく拾ってカバーして、大変楽しかった。
■三遊亭天どん『釜泥』
初めて聴く天どんさんは古典。釜の中のじいさんが妄想に走ったり、その妄想を聴いていたばあさんがとたんに機嫌が悪くなったり、古典を独自のリズムでドライブしている感じが心地よい。緩急自在。
■春風亭一之輔『寄席の神様』
天どん作『特別研修』をやると言っておきながら、どう考えても違う噺。死にたいなあと考えていた男の前に寄席の神様が現れて(ここはもちろん『死神』のパロディ)、都内の寄席の楽屋を案内されるという業界内輪噺。
天どんさんの師匠である円丈師へのオマージュ、があるかないかは知らないが、その内容はとてもこんなところには書けません。書くなって言われたし。噺の構成も演出も見事すぎるので面白すぎて怖いです。二度とやらないそうです。
えーと、最後に「こちゃんじ会長」が出てきてました。以上です。
■三遊亭天どん 『鰻の封間』
天どんさんまた古典。
鰻屋の描写、店のお姐さんの口調、そこにつっこむ封間が面白すぎて苦しいほど笑う。なけなしの札を出すときの一八の情けなさがいい。
封間の噺はペーソスが決め手。ん、なんか前と違うこと言っているけど気にしない。
達者だなあ。よかった。
中入り
■三遊亭天どん 『子供の作文』
「なぜ三席もやると言ってしまったのでしょう私は。軽いのやります」」と、やっと自作に。
前二席同様、きっちり自分のペースで客席の空気をつかみ、噺をぐっドライブさせる感じがいい。明日同じ噺を書けたらまた別の展開で聴かせてくれるんじゃないか、なんて思えるのだ。
前二席同様、きっちり自分のペースで客席の空気をつかみ、噺をぐっドライブさせる感じがいい。明日同じ噺を書けたらまた別の展開で聴かせてくれるんじゃないか、なんて思えるのだ。
■春風亭一之輔 『船徳』
「もう九月なのに鰻の封間ですからねえ。では私も行く夏を惜しんで演りますか」と噺へ。
これはもう素晴らしかった。切るところはばっさり切り捨て、大胆なクスグリを入れながらも噺は全く崩れることなく、天どんさんの噺に出てきたキャラも見事に取り込んで、もうすっかり魅了されました。
いい小屋で、いい前座のあとに実力派二人がお互いを利用したり引き立て合ったりしながらビシッと自分の落語空間を創造する、そんな展開をめいっぱい楽しむことができたいい会でした。行ってよかったよ。『寄席の神様』はたぶんもう二度と聴けないし。ああ、こちゃんじ師匠。