2011年08月29日

二回聴けた『一回こっくり』経堂さばの湯・立川談四楼独演会(2011/08/24) #rakugo


前回の独演会で感銘を受けた談四楼師作の創作落語『一回こっくり』。 一回こっくり


さっそく小説版を読んでみた。この落語を創るに至るまでの落語家の半生を綴った物語。

もうこれがね。泣ける泣ける。
第一章から泣けるんだもの。主人公の小学生が、重病で入院している弟のところに駆けつけるシーンの心理描写がもう絶品で、そこからあと全部、もう唸りっぱなし。特に、泣かせるけど臭くはならないところが値打ち。みんな読んだほうがいいよ。

で、談四楼師は前回の北沢八幡参集殿の他に、経堂のさばのゆというお店でも定期的に独演会を開いている。経堂は遠いけど20時開始、仕事の後でも間に合いそうなので、行ってみた。



さばの湯は想像していたよりずっと小さな「呑み屋カフェ」。レトロ基調としながらも押し付けがましさがなくて心地いい空間。受付でいきなり師匠のおかみさんにご挨拶をいただきびっくりする。このブログをお読みいただいたことがあるという。ひえい恥ずかしい。

この日は集中豪雨でダイヤが大幅に乱れたこともあってか、お客さんは10数人。なんか贅沢な話だ。

●立川こはる『目黒のさんま』
「先日の談四楼師匠独演会でもやりましたが」と、詫びながらこの噺。いいんだよ前座なんだから。やや慌てていた前回よりずっとまとまっていい感じに落ち着いていた。まくらを若干入れ替え、時間調整かな。


●立川談四楼『粗忽長屋』
前半はたっぷりとまくら、福島の浜通りに行ってきた話。テレビや新聞では絶対にでてこない生の情報をあくまで重くならないように。
さらっと噺に入る。いつもの談四楼師通り、緩急・強弱が自由自在。一度掴んだお客を決して離さない。聴いている方は噺に身を委ねて愉快になっていればいい。

●立川談四楼『一回こっくり』
先日の独演会で聴いたばかり。小説も読んだばかり、それなのに涙が流れる。素晴らしい創作落語。
誰か談四楼師に習いに来なさい。早めに習って自分なりに熟成させてください。

そんなこと僕がここに書いてもしょうがないのだけれど、思わず書いてしまう。

息子の幽霊が可愛いのはもちろんだけど、僕はあの棟梁が好きだ。人間の大きさ暖かさを感じる。
あと、今回は真正面の至近距離から観たので、所作の本当に細やかな部分が、落語全体に影響しているのだということが実感できた。多分殆どのお客さんから見えないような些細な仕草もきちっとやることで、語りにリアリティが生まれる。話芸とはそういうものだろう。

お盆の話だから来年まで聴けないと思っていた。ここでもう一度聴けて本当に良かった。


終了後は師匠を囲んで飲み物は各自払いの「ゆるい懇親会」。
すっかり有名になった「石巻で被災した鯖の缶詰」を頂く。これがまたうまいの何の。びっくりした。

前回に引き続き、落語の話・小説のお話・立川流のお話など師匠から直接お伺いして、心底楽しかった。ファン同士の交歓も大変面白かったけど、このブログを読んでいただいている方が結構いらして、いきなり緊張してしまった。すみません、あんまり大したこと書いていませんが、今後とも宜しくお願いいたします。


というわけで、次回は9/9の金曜日だそうだ。僕は残念ながら参加できないけど、お時間確保できる方はぜひ。


m_shike at 12:38コメント(0)トラックバック(0)落語 | 生落語感想 このエントリーをはてなブックマークに追加

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