2011年03月29日
いま読む本『からくり民主主義』(高橋秀実)
いまだ楽観できない事態が続く福島第一原発事故。
事故発生から2週間。
関係者の懸命の努力にもかかわらず、事態はむしろ悪化しているようにも見える。
報告の不手際も相次ぎ、マスメディアの論調も混乱気味。計画停電がもたらす緊張感もあいまって、人々が抱えるストレスもひどいことになりつつある。
そのせいで、ネットを飛び交う声も、地震直後より荒っぽい、断片的な情報を根拠にしたよりとげとげしいものが目立つ気がする。
いま東京電力を罵倒する事は簡単だろう。罵倒されても仕方ないからだ。
それでも原発の必要性を説くことは可能だろう。必要だからだ。
政府の発表を信じることも疑うことも可能だ。
いくらでも語ることができる。
しかし、ひとつの立場から語ることに本当に意味があるのか。
からくり民主主義 (新潮文庫)

この本の中で取り上げられた若狭湾原発銀座の話(第7章 危険な日常)を読んでほしい。推進派の電力会社・国会議員兼ゼネコン会長・政府・自治体・地方議会から反対派住民、共産党までが、表向きは対立構造の中にいるはずの人たちが、まるでひとつの「大きな物語」の中のキャストとして「対立」という与えられた役割をこなしているように見えてくる。
なにしろ「反対運動が頑張ってくれるから補償金も取れるし安全管理にも力を入れてくれる」と、平然と言ってのける町職員がいるくらいなのだ。
「反対運動は推進のための機能なのである。」
みんながそれぞれの役を忠実に演じていく中で、とんでもない矛盾が吹き上がっても、誰も直視しようとはしていない。
どうしようもないくらい巨大な「物語」の中で、社会全体がバランスを保っている。
もちろん、大自然の脅威の前では、そんな危ういバランスなど即座に木っ端微塵になることは、この状況の中ではもはや誰もが理解できるはずだ。
しかし、原発がなぜ「そこに建っているのか」その理由を構造として捉えない限り、たぶん何の解決も導き出すことはできない。
それはしんどい作業だ。ニュースに感想つけてツイートすれば済む話ではない。
でも、いまこそ、簡単に結論の出ない問いに立ち向かう、つまり考えるべきなのではないか。
というわけで本書をお薦めします。
文庫版は品薄のようなので単行本をこちらに。
からくり民主主義

村上春樹の解説も素晴らしい。
ぜひどうぞ。
なにしろ「反対運動が頑張ってくれるから補償金も取れるし安全管理にも力を入れてくれる」と、平然と言ってのける町職員がいるくらいなのだ。
「反対運動は推進のための機能なのである。」
みんながそれぞれの役を忠実に演じていく中で、とんでもない矛盾が吹き上がっても、誰も直視しようとはしていない。
どうしようもないくらい巨大な「物語」の中で、社会全体がバランスを保っている。
もちろん、大自然の脅威の前では、そんな危ういバランスなど即座に木っ端微塵になることは、この状況の中ではもはや誰もが理解できるはずだ。
しかし、原発がなぜ「そこに建っているのか」その理由を構造として捉えない限り、たぶん何の解決も導き出すことはできない。
それはしんどい作業だ。ニュースに感想つけてツイートすれば済む話ではない。
でも、いまこそ、簡単に結論の出ない問いに立ち向かう、つまり考えるべきなのではないか。
というわけで本書をお薦めします。
文庫版は品薄のようなので単行本をこちらに。
からくり民主主義

村上春樹の解説も素晴らしい。
ぜひどうぞ。







