2010年12月31日
2010年11月ハワイ旅行16 4日目(4)バー・スプラッシュ奇跡の夜
前回の続き。
部屋での夕食を済ませ、最後の一杯を飲みに部屋を出る。
ホテルのプールサイドにあるバー「スプラッシュ」には、弾き語り専用のとても小さなステージがあって、連日夜にライブをやっている。
今日のミュージシャンは、とてもいい感じの演奏だな。あれ?遠くから見ると座ってタイプライターを叩いているように見えるぞ。
バー・スプラッシュにて posted by (C)[4k]shike
どうやら普通のエレキギターを横に倒してスライドで演奏しているようだ。リードギターの裏にアルペジオが聞こえるので録音したバックトラックを使っているのかもしれない。使っていないなら超絶技巧だが、この際そんなことはどうでもいい。
そして彼は視覚障害者だった。おそらく全盲だろう。
しかしその事実すらも、彼が奏でる音楽の素晴らしさの前には霞んでしまった。それぐらい素晴らしいのだ。曲はオリジナルなのかカバーなのかわからない。素直で力強いボーカルのウエストコーストっぽいロックに、さりげなく美しい早弾きが入ってくる。
なんだろ、ジョン・マクラフリンみたいなギター?マクラフリンはジェイムズ・テイラーの曲で聞いたことしかないけど。
伝統音楽だけでなくて、ジャック・ジョンソンのような今のハワイ・ロックも聴いてみたかった。ライブハウスも探してみたけどなんかよく分からなかったのであきらめていたのだ。何という幸運。
急いで着席して、夫婦二人で一杯ずつチチをいただく。
バー・スプラッシュにて posted by (C)[4k]shike
これがまた素晴らしくうまい。ココナッツ好きにはたまらない。立川談志が前座時代の立川談春とハワイで飲んだカクテルだ。『赤めだか』に出てくる。
そのうち彼は『ペグ』を演奏し始めた。言わずとしれたスティーリー・ダンの名曲。ふつうは弾き語り用にテンポを落としたり省略を入れたりするもの。
しかし彼はなんら引くことなく、この曲のグルーヴを見事に再現し、しかも間奏の早弾きで新しい解釈を付け加えて見せた。すごい!
ステージの真ん前に移動してきた白人カップルはもうノリノリ。僕も思わずマイケル・マクドナルドを真似て
"Pe--g It will come back to you"
とコーラスを歌ってしまった。
ラストナンバーはこちらも名曲カバー、エヴァリー・ブラザーズのCrying the Rain。
僕は追加でオーダーした2杯目のチチにすっかり酔いしれて、ワイキキ最後の夜を心の底から満喫したのだった。
彼の前に置かれていた小さなかごに10ドルを入れた。
これは今回の旅行でもっとも有効なドルの使い方であり、もう少し多くてもよかったかもしれない。
Thank You For Your Beautiful Songs!
といって握手してもらった。柔らかい、大きな手だった。
帰り支度のミュージシャン バー・スプラッシュにて posted by (C)[4k]shike
名前を聞き忘れたのが残念だけど、彼とはまたどこかで会えるがする。
さて、この後の記憶はない。あるわけがない。
何とか部屋までたどり着き、メガネをかけたまま眠ってしまったらしい。
バー・スプラッシュにて posted by (C)[4k]shike
さて、この話には後日談がある。
帰国してから買い求めたスティーリー・ダンのDVD
彩(エイジャ) [DVD] スティーリー・ダン
『ペグ』が入っている傑作アルバム・彩(エイジャ) のメイキング。
『ペグ』の間奏ギターソロは、なんと8人のギタリストに演奏させて、その中で一番よかったジェイ・グレイドンのテイクを採用して、他は全部没にした。
これはファンの間では有名な逸話だが、当時の録音を聞きながら、だいぶ髪の毛が薄くなったウォルター・ベッカーが凄いことを言った。
「ハワイ風だね」
「このあと僕がハワイに逃げることを予兆しているな」
あのダブル・チョーキングはハワイ風だったのか。道理で、道理で。
というわけで、僕のハワイ旅行記は、ここでほとんどおしまいです。
こんな長い、独りよがりの文章を読んでくれてありがとう。では。
とおもったけど、やっぱり続きを書きました。
そして彼は視覚障害者だった。おそらく全盲だろう。
しかしその事実すらも、彼が奏でる音楽の素晴らしさの前には霞んでしまった。それぐらい素晴らしいのだ。曲はオリジナルなのかカバーなのかわからない。素直で力強いボーカルのウエストコーストっぽいロックに、さりげなく美しい早弾きが入ってくる。
なんだろ、ジョン・マクラフリンみたいなギター?マクラフリンはジェイムズ・テイラーの曲で聞いたことしかないけど。
伝統音楽だけでなくて、ジャック・ジョンソンのような今のハワイ・ロックも聴いてみたかった。ライブハウスも探してみたけどなんかよく分からなかったのであきらめていたのだ。何という幸運。
急いで着席して、夫婦二人で一杯ずつチチをいただく。
バー・スプラッシュにて posted by (C)[4k]shike
これがまた素晴らしくうまい。ココナッツ好きにはたまらない。立川談志が前座時代の立川談春とハワイで飲んだカクテルだ。『赤めだか』に出てくる。
そのうち彼は『ペグ』を演奏し始めた。言わずとしれたスティーリー・ダンの名曲。ふつうは弾き語り用にテンポを落としたり省略を入れたりするもの。
しかし彼はなんら引くことなく、この曲のグルーヴを見事に再現し、しかも間奏の早弾きで新しい解釈を付け加えて見せた。すごい!
ステージの真ん前に移動してきた白人カップルはもうノリノリ。僕も思わずマイケル・マクドナルドを真似て
"Pe--g It will come back to you"
とコーラスを歌ってしまった。
ラストナンバーはこちらも名曲カバー、エヴァリー・ブラザーズのCrying the Rain。
僕は追加でオーダーした2杯目のチチにすっかり酔いしれて、ワイキキ最後の夜を心の底から満喫したのだった。
彼の前に置かれていた小さなかごに10ドルを入れた。
これは今回の旅行でもっとも有効なドルの使い方であり、もう少し多くてもよかったかもしれない。
Thank You For Your Beautiful Songs!
といって握手してもらった。柔らかい、大きな手だった。
帰り支度のミュージシャン バー・スプラッシュにて posted by (C)[4k]shike
名前を聞き忘れたのが残念だけど、彼とはまたどこかで会えるがする。
さて、この後の記憶はない。あるわけがない。
何とか部屋までたどり着き、メガネをかけたまま眠ってしまったらしい。
バー・スプラッシュにて posted by (C)[4k]shike
さて、この話には後日談がある。
帰国してから買い求めたスティーリー・ダンのDVD
彩(エイジャ) [DVD] スティーリー・ダン
『ペグ』が入っている傑作アルバム・彩(エイジャ) のメイキング。
『ペグ』の間奏ギターソロは、なんと8人のギタリストに演奏させて、その中で一番よかったジェイ・グレイドンのテイクを採用して、他は全部没にした。
これはファンの間では有名な逸話だが、当時の録音を聞きながら、だいぶ髪の毛が薄くなったウォルター・ベッカーが凄いことを言った。
「ハワイ風だね」
「このあと僕がハワイに逃げることを予兆しているな」
あのダブル・チョーキングはハワイ風だったのか。道理で、道理で。
というわけで、僕のハワイ旅行記は、ここでほとんどおしまいです。
こんな長い、独りよがりの文章を読んでくれてありがとう。では。
とおもったけど、やっぱり続きを書きました。