2010年05月18日
立川流夜席 お江戸広小路亭 2010/05/15 立川談笑 濱野矩随
立川談笑師が『浜野矩随』を掛けるとの情報をご本人のTwitterでキャッチしたので、急遽予約。
広小路亭に電話かけたら「ああ、もうそろそろなくなるなあ」と。まだ木曜日なのにぎりぎりセーフ。
間に合って良かった。
調べてみたら、なんと去年も同じ日に来ていた。
裏[4k]:立川流夜席 お江戸上野広小路亭 5/15
去年は金曜今年は土曜、そのまま比べるわけにいかないけど、
今年は客の入りが全然違う。
一時間前くらいに行くつもりがいろいろあって遅れてしまい、20分もう長蛇の列。すごい人気だ。
もっとも都内開催の談笑師独演会チケットはあっと言う間にソールドアウトらしいから、不思議でも何でもないんですけど。
■前座 立川談吉 孝行糖
えー、こんな前座いたんだーという新鮮な驚き。家元談志の直弟子なんだね。
でかい声で、ひたすら明るく表情豊か(というかグニャグニャ)に与太郎話。
途中で話が分かんなくなっても踏ん張ってごまかしながら、それでも前へ前へと持っていったのには感心。
前座は元気なのがいいなあ。
次の談奈から「ただいまの前座は芸術協会から借りてきました(客笑)いやあ、誰にも似てないんですよ。誰に習ったのか。でもなんか好きになっちゃう」と言われる。
■立川談奈 六尺棒
いつもきっちり折り目正しい芸でその分ちょっと笑いが少ない談奈さん。
今回は浅草三社祭についてのマクラからのびのびとした語りでクスグリも多め。受けてた。
聴く度に好きになる感じ。かつての快楽亭ブラックの弟子の名前を読み上げるところで思わず爆笑してしまった。
■立川談大 子ほめ
初見。「うーんまた子ほめか」と思ったら細かいところに気の利いた工夫があって大変楽しく聴けた。また聴きたい。
■立川談幸 寝床
あれ、とおもったらぜん馬師と左談次師の二人分代演だと。たっぷり1時間の熱演。
談幸師の演じる人物は100%で怒らない。
誰も来ないことに腹を立てる寝床の大家さんも「店立てだあ」と怒鳴りつつ、どっか柔らかいものを残してある。顔の端っこがちょっとだけ緩んでいる。
そこが何とも素敵。あと登場人物の多い噺が本当に巧いと思う。
中入り
■立川キウイ 漫談+五分間で反対俥
こんども短命だったらどうしようかと思ったが、真打ち昇進話で快調に漫談を飛ばしていく。
これが面白い。このまま漫談で終わるのかなと思ったら残り五分で反対俥 。
円蔵仕込みの爆走ギャグから、高座の上でどこぞの尊師の空中浮遊のような「ジャンピングドラム缶飛び越し」まで見事に騒々しく終了。高座降りるときにガッツポーズしていたような。
もうキウイさんはこれでいいと思う。漫談がっつり5分で古典のキウイスタイル。いくら立川流原理主義者に嫌われても、このままバッタンバッタンと落語を壊しまくればいい。高座は壊さない方がいいと思うけど(壊れるかと思ったよ)。
今宵は広小路寄席 | 立川キウイの小部屋
■桂文字助 漫談
事前に同行の妻と二人で「まずキウイをバカにして、相撲の話をちょっとして、談笑のために早めに上がりますと言って落語やらないで終わり」と予想していたら、ほんとにそのまんまだったw
僕にとって文字助師はとにかくかっこいい江戸言葉を聴かせてくれるだけでありがたい存在なんで、それでもいいんだけと、まあ、落語やって欲しいよねほんとは。
談笑師のヒザはもう少し若い人のほうがいいかもしれませんな。
※しかしキウイさんといい文字助師といい「存在が落語」で素敵。
■立川談笑 濱野矩随
「今日は中入りから楽屋入ったんですが、なんか漫談大会みたいな(笑)」
キウイ真打ち話などのマクラで空気を慣らしたところで「濱野」現代の視点から見たらまるで理解不能なこの噺を談笑師がどう料理するか、本当に楽しみにしていた。
良かった。
実に良かった。久しぶりに落語で涙が出た。
キャラの位置づけから展開の細部までが丁寧に改作され、ストーリーにしっかりと感情移入できるようになった。
それだけではない、クライマックス無言の演技が絶品。
客席を制御する凛とした空気。その中で熱い涙。このままずっと余韻に浸っていたいという気持ち。
まったく、よくぞここまでこしらえたものだと思う。
しかも、これだけきっちりと、寄席空間の空気を完全にコントロールしきった一席を演じきっても、この「濱野」はまだまだ進化する余地が感じられる。方向は定まったけど、さらにさらに磨きをかけていくんだろうな。
落語の明日はどっちだ?!『浜野矩随』
それにしてもこの日の夜席、電話予約したら1500円なんだもの、立川流はお得だ。
鈴本になかなか2700円払えなくなるなあ。
追記 やっぱり客の入りには波があるみたい。談笑師が人気あるってことだね。
OL,落語にハマる:立川流広小路夜席
えー、こんな前座いたんだーという新鮮な驚き。家元談志の直弟子なんだね。
でかい声で、ひたすら明るく表情豊か(というかグニャグニャ)に与太郎話。
途中で話が分かんなくなっても踏ん張ってごまかしながら、それでも前へ前へと持っていったのには感心。
前座は元気なのがいいなあ。
次の談奈から「ただいまの前座は芸術協会から借りてきました(客笑)いやあ、誰にも似てないんですよ。誰に習ったのか。でもなんか好きになっちゃう」と言われる。
■立川談奈 六尺棒
いつもきっちり折り目正しい芸でその分ちょっと笑いが少ない談奈さん。
今回は浅草三社祭についてのマクラからのびのびとした語りでクスグリも多め。受けてた。
聴く度に好きになる感じ。かつての快楽亭ブラックの弟子の名前を読み上げるところで思わず爆笑してしまった。
■立川談大 子ほめ
初見。「うーんまた子ほめか」と思ったら細かいところに気の利いた工夫があって大変楽しく聴けた。また聴きたい。
■立川談幸 寝床
あれ、とおもったらぜん馬師と左談次師の二人分代演だと。たっぷり1時間の熱演。
談幸師の演じる人物は100%で怒らない。
誰も来ないことに腹を立てる寝床の大家さんも「店立てだあ」と怒鳴りつつ、どっか柔らかいものを残してある。顔の端っこがちょっとだけ緩んでいる。
そこが何とも素敵。あと登場人物の多い噺が本当に巧いと思う。
中入り
■立川キウイ 漫談+五分間で反対俥
こんども短命だったらどうしようかと思ったが、真打ち昇進話で快調に漫談を飛ばしていく。
これが面白い。このまま漫談で終わるのかなと思ったら残り五分で反対俥 。
円蔵仕込みの爆走ギャグから、高座の上でどこぞの尊師の空中浮遊のような「ジャンピングドラム缶飛び越し」まで見事に騒々しく終了。高座降りるときにガッツポーズしていたような。
もうキウイさんはこれでいいと思う。漫談がっつり5分で古典のキウイスタイル。いくら立川流原理主義者に嫌われても、このままバッタンバッタンと落語を壊しまくればいい。高座は壊さない方がいいと思うけど(壊れるかと思ったよ)。
今宵は広小路寄席 | 立川キウイの小部屋
■桂文字助 漫談
事前に同行の妻と二人で「まずキウイをバカにして、相撲の話をちょっとして、談笑のために早めに上がりますと言って落語やらないで終わり」と予想していたら、ほんとにそのまんまだったw
僕にとって文字助師はとにかくかっこいい江戸言葉を聴かせてくれるだけでありがたい存在なんで、それでもいいんだけと、まあ、落語やって欲しいよねほんとは。
談笑師のヒザはもう少し若い人のほうがいいかもしれませんな。
※しかしキウイさんといい文字助師といい「存在が落語」で素敵。
■立川談笑 濱野矩随
「今日は中入りから楽屋入ったんですが、なんか漫談大会みたいな(笑)」
キウイ真打ち話などのマクラで空気を慣らしたところで「濱野」現代の視点から見たらまるで理解不能なこの噺を談笑師がどう料理するか、本当に楽しみにしていた。
良かった。
実に良かった。久しぶりに落語で涙が出た。
キャラの位置づけから展開の細部までが丁寧に改作され、ストーリーにしっかりと感情移入できるようになった。
それだけではない、クライマックス無言の演技が絶品。
客席を制御する凛とした空気。その中で熱い涙。このままずっと余韻に浸っていたいという気持ち。
まったく、よくぞここまでこしらえたものだと思う。
しかも、これだけきっちりと、寄席空間の空気を完全にコントロールしきった一席を演じきっても、この「濱野」はまだまだ進化する余地が感じられる。方向は定まったけど、さらにさらに磨きをかけていくんだろうな。
落語の明日はどっちだ?!『浜野矩随』
それにしてもこの日の夜席、電話予約したら1500円なんだもの、立川流はお得だ。
鈴本になかなか2700円払えなくなるなあ。
追記 やっぱり客の入りには波があるみたい。談笑師が人気あるってことだね。
OL,落語にハマる:立川流広小路夜席
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1. 落語天才少年? [ 裏[4k] ] 2010年05月22日 19:26
そんなわけで談笑師の濱野がとてもよくて、行ってよかった上野広小路亭だったのだが、ちょっと面白い話が。
座敷に座っていた。隣は前の席に移動する人のために空けてあった。
中入りでトイレに行って帰ってきたらそこに小学生、それも明らかに低学年の男の子が座ってい....