2010年01月18日

[映画]『秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE3 〜http://鷹の爪.jpは永遠に〜』 5


秘密結社鷹の爪 THE MOVIE3 グッズ


昨年、テレビ朝日で放送された『秘密結社 鷹の爪カウントダウン』ですっかり「鷹の爪」ファンになってしまった…ので初日に観てきた。

期待を裏切らない素晴らしい出来ばえ。
爆笑できるし、苦笑できるし、脱力できるし、なんとちょっぴり泣けたりもするんですよ。ストーリーがちゃんとしているから、けっこう感動できるんですよ。
三回くらい泣きましたよマジで。

それにしても、映画館の暗闇の中で「…ひどいな(笑)」というつぶやきを聞いたのは初めてだったよ。
あの山崎貴率いる白組が作った超緻密CGで描かれた「ミサイル50発の一斉発射」が、着弾の時には3歳児の絵みたいになってたからねえ。あれはひどかった(笑)


ま、ネタバレを避けつつ、私論をちょいと語ると。
この映画のテーマは「.jpは永遠に」だ。


もちろん、この.jpはプロダクトプレイスメントでこの映画に参画し、鷹の爪キャラクターを起用したCMも放送している日本レジストリサービスの「ネーミングライツ」なんだろう。

そうなんだけど。どうもそれだけじゃない気がする。

秘密結社鷹の爪 THE MOVIE3 0巻みたいなの
秘密結社鷹の爪 THE MOVIE3 0巻みたいなの posted by (C)[4k]shike

というわけでキーワードをいくつか。


■「落語」

本人が語っているように、FROGMANの作品は、非常に「落語的」なコンテンツだ。

FROGMANスタイルは、デジタル落語

F 最近、椎木ともよく話しているのは、蛙男商会のアニメは「デジタル落語」だということです。いや、落語と申し上げるのはおこがましいので、「デジタル馬鹿話」とか、そんなようなことなんだろうと自分では思っているんですね。落語ってオチは分かっていても、繰り返し見るじゃないですか。


竹熊 声優にしても、ほとんどのパートをFROGMANさん自身が演じているわけですし、本当にダイアログの面白さですよね。

F 絵付きの落語なんだろうなという。

椎木 落語家も座布団の上に座って、ある意味、上半身勝負でしょ。FROGMANのアニメだって胸から下は描いてないですからね、そういう意味では、落語と同じかもしれませんね。

【談話室たけくま】今だから「超小型」アニメに賭ける 〜蛙男商会(その2) :日経ビジネスオンライン



F 実際、「THE FROGMAN SHOW」の2話と3話に出てきたタンス男というキャラクターが、レギュラー化したのも、ネットで人気だったからなんですよ。

僕、本当にこれ(ウェブアニメ)は落語だなと思うんですよ。寄席の高座に出ると、最初なかなかお客さんは笑わない。笑わないんだったら、どこが笑えるんだろうとか、前回笑ってもらったから、それをもう少しオーバーにやって笑うようにしようとか、お客さんの顔や反応を見ながら考えますよね、噺家の方は。

 たぶん、今の時代になって、昔みたいなお客さんとの向かい合いが、再び生まれているのかな、と思うんですね。テレビって、何か業界の政治力で、みんなが別に評価してないタレントでもばんばん出たりとか、どこかで視聴者が置いてけぼりのところがあったわけじゃないですか。でもネット時代になって、実はまた、浅草の演芸場に戻ったみたいなところがあるのかもしれませんね。

竹熊 視聴者と直接つながるみたいな感覚。

F そう。デジタル時代になって、人とのコミュニケーションが希薄になるみたいなことを言う人もいますけれども、もしかしたらそれはウソで、テレビなんかよりもネットコミュニケーションの方が全然親密なのかもしれないなって。

【談話室たけくま】ネットには「落語的」コンテンツが最適? 〜蛙男商会(その3):日経ビジネスオンライン


いまFROGMANは超人的なスケジュールであちこちの映画館を回り、観客たちと「た〜か〜の〜つ〜め〜」しているのも、留守番電話を駆使して、作品の中に1万4千人のファンたちが「声優」として参加しているのも「お客さんの顔や反応を見ながら考えますよね、噺家の方は」という、落語という芸能において最も重要な「演者と客が直接つながる感覚」なのだ。

詳しくはこの本で。



そういや古墳ってのも.jpだわねえ。


■常識破りの工夫

『鷹の爪』についてもうひとつ注目したいのは「資金欲しさによる作家の妥協」で成立していたプロダクトプレイスメントという手法を「バジェットゲージ」というしくみで完全に作品の一部として取り込んでしまった点だ(これは第一作から)。




――劇場版『秘密結社 鷹の爪』のプロダクトプレイスメントは、“さりげなく”ではなく“思いっきり”商品が登場しますよね。このアイデアはどこから出たのでしょうか?

亀田: ディー・エル・イーを訪問してから2週間後に、FROGMANさんから電話をいただいて「いいことを思いついた」と言うんです。それが「バジェットゲージ」(注)だった。これはすごいアイデアで、あのバジェットゲージが出た瞬間、プロダクトプレイスメントをネタにしてしまったわけです。プロダクトプレイスメントで商品が出た瞬間に観客が笑うんですから。こうなると、商品を分かるように出さないといけない。そうでなかったら、ネタとして成立しないですから。

 これが一般的なプロダクトプレイスメントでは、さりげなく出さざるを得ません。あるのかないのか分からないことも多い。机の上に置いてあったとか、後ろの看板に写っていたとかね。商品を出したくない制作サイドの気持ちと、出したいクライアントの気持ちの、ものすごい妥協点なわけですよ。
 
第三弾公開!映画『秘密結社 鷹の爪』はなぜ元気?仕掛け人に聞く - エンタ - 日経トレンディネット


山崎貴の3DCGが登場すると予算がかかるので、ゲージが下がって、映画そのものがピンチになってしまう。
すると今度は広告主の商品が現れて予算が補填され、ゲージが上昇するという仕掛け。
今回はこのシステム、さらにバージョンアップして新しいゲージが登場、さらに、鷹の爪団がこのゲージを「武器」にしてしまう(ネタバレ回避)。

テレビ版「カウントダウン」から「サントリーがスポンサー降りた」という設定もすさまじい仕掛けだったけれど、鷹の爪にはこのような「メディアビジネスの常識を突き破って成果を得る」工夫がぎっちり詰め込まれている。まるで宮武外骨の『滑稽新聞』みたいだ。

でね。単純な僕は、単純にこんなことを考えた。

・激動する国際情勢の中で地位がどんどん低下し、国民の出生率は低下して自殺率はどんどん上がっている、最近ちっとも元気がなくなってしまったこの国、この先どうしたらいい?

その答えは、この映画こそ見つけられるんじゃないか?

・自分を信じて
・仲間を信じて
・とことんまで突き詰めて
・惰性を排除して、できることを全部やって
・先人の残した遺産に最大限の敬意を払いながら活用させてもらって
・現在この時、この時代にとことんしがみつき
・客とコミュニケーションを重ねて
・どんなに現実がきつくても、それを笑い飛ばして
・世界の平和を祈って世界征服を目指す!


それしかないんじゃないか。

惰性に頼ることなく伝統を革新に結びつけるときに「国」は「永遠」を目指すことが出来るんじゃないか。

だからタイトルは「.jpは永遠に」なんじゃないか、な。

そんなことを考えた。


…なんてことはどうでもいいから、まあ映画館に行って、爆笑したり苦笑したりしてきなさいな。



m_shike at 00:35コメント(0)トラックバック(1)映画  このエントリーをはてなブックマークに追加

トラックバックURL

トラックバック一覧

1. 『秘密結社 鷹の爪THE MOVIE3』フロッグマン監督インタビュー  [ あひるちゃんがゆく ]   2010年01月18日 01:05
オットくんのためメモ。 ■夢やぶれて、夢を叶えた逆転人生! 予算表示に込めた"蛙男"の想いとは?(前編) - 日刊サイゾー ■夢やぶれて、夢を叶えた逆転人生! 予算表示に込めた"蛙男"の想いとは?(後編) - 日刊サイゾー 秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE ~総統は二度死ぬ...

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星
 
 
 
ポッドキャスト
note 話芸(落語・講談・浪曲)×IT・マーケティング
サイト内検索
最新コメント
記事カテゴリ
メッセージ
パートナーブロガー 一覧 | アジャイルメディア・ネットワーク
記事検索
月別アーカイブ
アクセスカウンター
  • 累計: