桂文字助
2022年10月23日
何度か、桂文字助の落語を聴いたことがある。
幸運なことに。
『笑点』の初代座布団運びだったという話を聞いたのは、ずっと後のことだったと思う。
落語『芝浜』の冒頭、まだ日の出にはかなり早い朝。「ちょいとお前さん起きとくれ」続きを読む
飲んだくれて十日間も仕事を休んでいた魚屋勝五郎は、女房に起こされて嫌々ながら目を覚まし、河岸へと出かける。
「ちょいとお前さん起きとくれ」と女房に起こされても「仕事に行くことなく、ただ飲んだくれていた人」それが桂文字助だと思う。
間違いなく腕は良いのに、仕事を取ることも芸を磨くこともなく、偉い方々をヨイショし、師匠・立川談志を困らせ、あるいは酒に溺れ喧嘩に明け暮れ、妻子に去られ、ますます酒に溺れていった。
でも芸人として、かっこはつけたがった。
落語家としての矜持、いや体面だけで生きていたのだろう。
でも僕は知ってる。高座の文字助師匠は本当にかっこよかった。
なかなか本気でネタを掛けてくれず、漫談に逃げることが多かったけど、まくらで普通に喋っているだけて江戸の匂いがした。トリのときにはがっちり相撲噺を演じてくれた。
惚れ込んだ僕は一時期、師匠の落語会を開きたいと本気で考えたくらいだ。
後に立川流を脱退、落語家としてはほぼ引退状態になり、ボランティアとして近所の公園掃除に勤しんでいた文字助師の「最後の話し相手」だった弟弟子・立川談四楼師匠が、その仰天エピソードをTwitterで連載し、これをまとめた「文字助コンフィデンシャル」は大好評。多くの人が魅了され、ついには文字助師30年ぶりのテレビ出演にまでつながった。
その一つ一つが上質の短編小説として成立していた談四楼師のツイートは、その完成度があまりにも高く、きっとこのまま書籍化されるものと、ファンの誰もが思っていた。
ところが談四楼師はこの「珠玉の短編小説群」にさらに逸話と傍証を加え、再構築することで、その破天荒ぶりばかりがクローズアップされてきた落語家・桂文字助の真実の姿に迫ろうとする。
その過程の中で浮かび上がってきたのは、なんと……。
……あ、ネタバレしそうになったのでこの辺にしておく。
俗な世間が求めるような「古き良き破天荒芸人のエピソード」にはとても収まらない、驚愕と笑いの中に深い味わいを持つこの小説を、ぜひご一読いただきたい。
2022年02月08日
2018年08月05日
2012年11月28日
2012年11月25日
よみうりホールはもちろん満員。
でかいホールのちょうど真ん中くらいの席で、楽しませていただきました。
『立川流誕生前の巻 』続きを読む
2012/11/23(金祝) 12:00開演
『一門挨拶』
立川談幸『片棒』
立川龍志『家見舞い』
柳家小菊『俗曲』
立川志の輔『バールのようなもの』
仲入り
桂文字助『谷風情相撲』
毒蝮三太夫 立川左談次『毒蝮三太夫ショウ』
立川談四楼『人情八百屋』
2012年08月31日
2012年07月05日
2011年09月19日
勤めの都合で平日に落語を聞くのは難しい。でも今回は会場が職場に近く、なんと言っても談奈さんの会なので、本人から直接前売り券を買い、仕事を早めに切り上げて足を運んだ。
紀尾井ホール(小)は(小)でも定員180250人。これがほとんど埋まっていたのだから大したものだ(追記 実際の来場者は195名だったそうだ)。こんなに集客力があったとは。ツイッターでの宣伝もずいぶんRTされていたが効果はあったのか。志らく師の芝居もずいぶんツイッターで捌いたようにみえたけど、どうなんだろう。
続きを読む2011年08月14日
圓朝祭りには行ったんだよ。
すっかり出遅れたからブログ書かないかもしれないけど。
で、全生庵のある千駄木から、湯島に出れば広小路亭はすぐ。
というわけで急遽立川流夜席に行くことにした。
他にもそんな人が、いたようないなかったような。
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2010年05月22日
そんなわけで談笑師の濱野がとてもよくて、行ってよかった上野広小路亭だったのだが、ちょっと面白い話が。
座敷に座っていた。隣は前の席に移動する人のために空けてあった。
中入りでトイレに行って帰ってきたらそこに小学生、それも明らかに低学年の男の子が座っている。
こんなところに来て、クイツキでキウイがまた短命だったどうしようと思ったりしたのだが、そこが通路代わりの空間だと気がついたのか、あるいは座布団がないから辛かったのか、幕が開く前に後ろの方に行ったみたい。
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2010年05月18日
立川談笑師が『浜野矩随』を掛けるとの情報をご本人のTwitterでキャッチしたので、急遽予約。
広小路亭に電話かけたら「ああ、もうそろそろなくなるなあ」と。まだ木曜日なのにぎりぎりセーフ。
間に合って良かった。
調べてみたら、なんと去年も同じ日に来ていた。
裏[4k]:立川流夜席 お江戸上野広小路亭 5/15
去年は金曜今年は土曜、そのまま比べるわけにいかないけど、
今年は客の入りが全然違う。
一時間前くらいに行くつもりがいろいろあって遅れてしまい、20分もう長蛇の列。すごい人気だ。
もっとも都内開催の談笑師独演会チケットはあっと言う間にソールドアウトらしいから、不思議でも何でもないんですけど。続きを読む
2010年03月15日
日曜ゆえか、中トリが談笑師のせいか、トリが龍志師のせいか、いい入りでした。予約したらひとり1500円。安い。
立川松幸 真田小僧
普通に立川流の前座。前座としてよしよし。
立川吉幸 権助魚
メリハリと愛嬌がウリ。楽しかったけど前回聞いた幇間ばなしの印象が強くて。
立川キウイ 短命
ご隠居聞いてくださいよ。キウイさんまた「短命」なんですよ。この一年くらいで3回目ですよ聴いたの。
桂文字助 相撲漫談
やはりトリじゃないと落語はやらないのかなあ。喋ってるだけでかっこいいからいいんですけどね。「キウイってのは、あれは本物のバカです」で始まって「今日はみんな談笑目当てでしょ。俺がトリならこんなに客は来ない」ってふだんから落語やれば来るんじゃないですかね。いや、漫談も面白いんですけどね。
立川談笑 金明竹津軽弁バージョン
いやー凄まじかったですね。前から三番目の座敷に座ってたんだが、高座から降りかかる談笑師の拳を思わずよけたよ。前日の独演会(通算100回!)で熱演しすぎて肋骨を折ったかもしれないというのに痛みをこらえてのオーバーアクション。そして津軽弁。めちゃくちゃ難しいと思うんだけどまったく言いよどまない。メロディとリズムが最高。もう一度聴きたい。
中入り
立川らく里 花見の仇討ち かっぽれ
なかなか器用でよかった。春らしい話がここまで出てないしいいネタ持って来た。
終わったあと、いきなりかっぽれを踊り始めたので、ほう立川流は落語ばっかりなので踊りをはさむのはいい趣向だと思ったら、どうやら次の里う馬師匠が来るまでの繋ぎだったようで。
土橋亭里う馬 たぬき
電車の事故で入りが遅れて、汗を拭きながらの高座。たぬきの可愛いらしさになんとなく柳家の香りが。
立川龍志 駒長
龍志師は様子も語りも「これぞ江戸前」って感じでかっこいい。初めて聴く噺だけど『包丁』の別バージョンみたいな。はい、楽しかったです。
広小路亭 畳を減らして和風のベンチみたいな椅子を入れていた。あれってなんていうんだろう、茶屋とかにある長い椅子。
いびきうるさい人・袋ガサゴソうるさい人・なんと写真撮影した人(前座に注意されていた)客の入りがいいと、中に変な人も混じるのかねえ。
2009年12月16日
立川春太 出来心(間抜け泥棒)
初めて。前座としてはかなり結構。やはり師匠に似ている。
立川吉幸 元犬
初めて。もとブラック門下、現在の師匠である談幸師の明るさが感じられていい感じ。
泉水亭錦魚 河豚鍋
あんまりうまいと思わなかったけど終わってみると鍋が食いたくなる不思議。
立川談幸 黄金の大黒
月番の人が長屋の変人たちに手を焼きながらも、目が優しく笑ってるのがなんともいい。
立川左談次 浮世床・夢の逢瀬
左談次師、相変わらずカッコいい。今年は合計4回聴いた。もう一回聴かせて頂きたい。
-- 仲入り --
立川平林 唖の釣り
初めて。一時期ブログに心中いろいろ書きすぎていて心配していたのだが、ネタ下ろしなのにしっかりした芸。
立川談修 長短
お気に入りのひとり。『長短』はテレビで見た花緑が絶妙で、どうしても比べてしまうのだが、談修バージョンもなかなか。
桂文字助 阿武松
ついに出会えました。伝説の喧嘩文字助。前座を魚河岸に送り込んだ文字助。郵便局を怒鳴りつけて現金書留を中華料理屋に持ってこさせ「よし民営化はちょっと待ってやる」といった文字助。家賃払わない文字助。
とまあ、自分の中では情報ばかりが先行していた文字助師。初めて聴いて驚いた。
なんとまあ、さっぱりと美しい江戸言葉だろうか。
ここまで口調がカッコいいと、もう笑うどころではない。うっとり聞惚れるというのが正直なところ。まことに結構でございました。
根っからの相撲好きで、サゲかなと思ったらその後でさらに相撲知識を披露した後「円楽師匠を偲んでの阿武松でございました」と。
また聴きたい。
今回は、二つ目と真打でキャリアの差がありすぎではあったけど、それもまたいい感じであった。
ああ、毎度思うことだけど、立川流の寄席はなんと安いのか。
また行こう。