『シェアする落語』次回は7/7です。

2020年02月22日

仲蔵に涙 松之丞改め神田伯山真打昇進襲名披露 浅草初日 2020/02/21 #神田伯山


末廣亭はあまりの熱狂ぶりに引いてしまった。でもやっぱり披露目興行、行きたい。
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休みとった。
朝から行ったら、整理券41番だって。あはは。

前から二番目の席に陣取る。
会場 : 浅草演芸ホール 夜の部

柳亭楽ぼう『無筆の小噺』
古今亭今いち『雨乞い村』
ねずっち『漫談』
桂伸三『続・寿限無』
雷門小助六『初天神』
マグナム小林 バイオリン漫談
桂米福『熊の皮』
神田紫『秋色桜』
宮田陽・昇 漫才
三遊亭遊三『替り目』

仲入り

米福(司会)・松鯉・伯山・円楽・遊三  真打昇進披露口上

春風亭柳橋『魚根問』
三遊亭円楽『落語家の出(ものまね)』
神田松鯉『水戸黄門記 雁風呂の由来』
ボンボンブラザース 曲芸
神田伯山『中村仲蔵』

木戸銭3,500円


●柳亭楽ぼう『無筆の小噺』

この前座さんはいいと思う。ちゃんとしているし、ちょっとクール。らく兵さんみたいな。

●古今亭今いち『雨乞い村』

フリを全て地口で落とす、シンプルでよくできた新作。「チェ・バラ」がツボすぎてゲラゲラ笑いすぎて、高座から「局地的に受けている」と言われてしまった。

羽織代わりにサスペンダーを外すのもおかしくて、伯山ティービィーで伯山先生から「お前、仲蔵だな」と言われてた。おかしすぎる。

●ねずっち『漫談』

いつもの謎掛け中心。本人言っていたけど完璧なステージング。途中の客いじりのタイミングまで含めて。ほんと面白い。

●桂伸三『続・寿限無』

スペイン人が出てくるロング・バージョン。これまたふわりと面白い。もうすぐ真打。

●雷門小助六『初天神』

さらに見事な寄席の高座。客を疲れさせない。しかも僕が嫌いな「やや汚いシーン」が全カット、これは素晴らしい。

●マグナム小林 バイオリン漫談

オープニングが米津になった以外は、ほぼいつもどおりなのに、ゲラゲラ笑わされてしまった芸の強さ。

●桂米福『熊の皮』

これまた、バッとわかせてしっかりつなぐ。いい感じの「寄席の落語」。米福師トリも聴きたいなあ。

●神田紫『秋色桜』

そろそろ講談欲しいなと思っていたところで、手堅いネタで。

●宮田陽・昇 漫才

こちらもほとんどいつものネタなのにまあ笑った笑った。元から大好きだけど、またうまくなった気がする。あ「アフリカの地図」は初めてみました。

●三遊亭遊三『替り目』

申し訳ない、この師匠の声がどうしても苦手なんだけど、この噺ならそんなに違和感なかった。しっかり大御所らしい貫禄もあるし、仲入り前にふさわしい。

仲入り


●米福(司会)・松鯉・伯山・柳橋・円楽・遊三  真打昇進披露口上

なぜか米福師がガチガチに緊張。全くギャグが挟めない。まず伯山先生の頭を上げさせるのを忘れる。
松鯉先生がさり気なく弟子の頭を上げさせて、歴代の伯山について興味深い逸話を披露。
柳橋師は「本来なら昇太が。でも家庭のも揉め事が」。
ここでなんと、司会・米福師、円楽師を飛ばしてしまう。
もちろん円楽師はややふてくされ、それでも子どもの頃から聴いてきた講談(馬琴・貞丈・貞鳳・服部伸)の話をしっかり今に結びつける素晴らしい口上。
改めての遊三師は「すごい人気、動物園で言えばパンダです。パンダ伯山」これは可愛くて良かった。
遊三師の手締め。

●春風亭柳橋『魚根問』

今日はほんとに寄席の連携プレーを堪能できる展開。シンプルな根問物をかる〜く、客が疲れない程度に笑わせる。プロ。

●三遊亭円楽『落語家の出(ものまね)』

「存在感ないです」と口上飛ばされたことを愚痴り「まともにやる気がなくなりました」とものまねへ。
圓生・彦六の正蔵・談志(機嫌悪い)・談志(機嫌いい)・歌丸・小遊三と、それぞれの出囃子に合わせて
芸協の芝居で木賊刈というのも乙だね。

●神田松鯉『水戸黄門記・雁風呂由来』

とにかく嬉しそう。こちらも嬉しい。
そこに雁風呂。いやぁ、しみじみといいわあ。
この演目、三遊亭圓橘師で聴くのも最高ですが、松鯉先生の講釈はまた楽しくて美しくて。

●ボンボンブラザース 曲芸

いつもの楽しさ。
伯山ティービィーで伯山先生が「改めてみると、こんなに面白かったんですね」と。

そんな芸。

●神田伯山『中村仲蔵』

2階席に空席があることを「もう落ち目」とまずは自虐。
口上司会でしくじった桂米福師が、かつてひとり昇進で40日間毎日ネタ変えたという逸話を紹介。「米福師匠にお伺いしたら、変えないほうがいいねって」というわけで、大初日の新宿で掛けた『中村仲蔵』へ。
評判は聴いていたが、びっくりした。

冒頭、少年時代の回想から「血(≒家柄)の無い役者・仲蔵」というテーマが繰り返し提示される。
他の役者たちのやっかみ、というより差別がものすごい。
死物狂いの工夫をもってこの差別を乗り越えようする、仲蔵の「絶望と希望」が、伯山のほとばしる激情とともに叩きつけられ、息を止めるシーンが何度も何度も。蕎麦屋の声すら凄まじい緊迫感。

もっとも素晴らしいのが「芝居好きの親父」仲蔵五段目のアンバサダーだな。
「弁当幕じゃねぇ。仲蔵が変えやがった」。

大初日までは仲蔵は独身だったらしいのだが、この日はなんと女房が登場「あたしは日本一の役者だと思っているよ」という台詞に涙止まらず。


ラスト「堺屋! 堺屋! 堺屋! 堺屋!」と市村座が沸き返るシーンでさらにまた涙、涙、涙が止まらない。
濃密な緊迫と静寂からの歓声。
ほんとにここは浅草演芸ホールなのか。



神田松之丞を初めて聴いたのが2012年の3月25日、当時は前座。
神楽坂赤城神社の地域貢献ルーム。高座は畳の上に組まれているのに、畳の周りにある椅子に座るという不思議な会場。客は20人くらいだったか。
『あかぎ寄席』主宰していたのは、現在の六代目神田伯山夫人である「いたちや」女将。
前に出たがらない方なので詳しく書かないけど、多少の面識がありまして。思い出が、ちょっとだけ。

だからね『中村仲蔵』にあんな女房が出てくると、やっぱり、泣いてしまうんですよ。

この度は誠におめでとうございます。


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「昼の部主任」と間違っているのがレア。

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m_shike at 19:30コメント(2)講談 | 落語 このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント一覧

1. Posted by ますめっど   2020年02月22日 22:23
「仲蔵」はもっていかれますな。
長く見ていると感慨深いです。「今寄席でトリ取ってるんだよね」って思っただけで読み物が変わって聴こえる。
伯山もスゴいんでしょうが、こっちがきっと2割増しぐらいで見ているんでしょうな。
お客さんが減っているのは新型コロナのせいでしょうね。
年齢層が高いイベントは完売って言ってたのに1/4から1/3くらい来ないものもあるみたいです。
2. Posted by 4k   2020年02月22日 23:55
おっしゃるとおりです。
そんなに熱心なファンではないですけど、ずーっと聴いてきていたし、お話したこともあるし、奥様も存じ上げている。そうしたことの集積が大入りの寄席のトリというところでもう2割増です。

とはいえ、僕はますめっどさんから「かつては荒川十太夫、いまは中村仲蔵がいいよ」とお伺いしたので、やっと聴けて、嬉しかったです。あの浅草演芸ホールの空間をここまで変えることができるのかと、心の底から感動しました。

コロナがなければ浅草も満員だったというのもそのとおりだと思いました。落語家の仕事は激減していますよね。

本日土曜日はちゃんと立ち見が出たそうです。

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