2020年01月26日
高みを目指すための『包丁』 寸志ねたおろし! 第24回 2020/01/25 #立川寸志
当時の時刻の数え方と、東京周辺の様々な立ち食いそば品評からの『時そば』は「蕎麦すするのが苦手で忌避してた」と言っているわりに十分なできで、さらに"まずい方の蕎麦"(もちろん寸志さんらしい趣向が練り込んである)の食い方がめちゃくちゃ上手で、きちんと笑いにつながるところがいい。「永坂」(麻布永坂)という地名の使い方もさり気なくいい。
むかし立川談幸師が家元に言われて「日本中の麺類づくし」を織り込んだまくらをつくったように、立ち食いそば屋づくしの寸志まくらを作り込んでもいいかも。
5年半分ぶり『初音の鼓』も三太夫の微妙な立ち位置と、ちょっと武張った感じのなかに可愛らしさがある「コン」の仕草がコミカルで、良いです。ここで仲入り。
再び幕が上がり、高座に上がると羽織をすっと脱ぎ、まくらなしで『包丁』。まず久次・寅の鰻屋シーンがいい。会話が歌うように生き生きとしている。ここで寅が「元相撲取り・いま用心棒」 であることが提示される。この寸志オリジナル設定が、このあとの寅vs女房にめちゃくちゃ効いてくる。
つまり、歌だ。皆まで言わないよ。わかるでしょ。ちなみに歌の文句も寸志オリジナルで程よく破礼(バレ、つまりエロ)。ちょっと家元の『野ざらし』を思い出したりして。
女房の変心については一言のセリフで、スタンダード(≒圓生)よりずっとスムースになり、この女があまりずるく見えない。ここは家元の影響が強いんだそうだ。なるほど。
自分の『包丁』は「逃げ」かも知れないと言った寸志さん。
確かに、圓生や、その流れをくむ(直接教わっているかも)三遊亭圓橘師に比べると、小唄『八重一重』は新たな工夫に差し替えられている。しかしそれは逃げではないだろう。
大胆な設定追加から細かな工夫まで、全ては落語家・立川寸志が『包丁』を自分の肉体に馴染ませるための「攻め」のカスタマイズ。
ねたおろしの時点でこの「攻め」がかなり成功しているところが、寸志さんの凄いところだ。
ただ、これも寸志さんの常だけど、尺がやや長い。いきなり鰻屋のシーンから始めるなど、縮める工夫も考えているのではないか。うまくいったら持ち時間長めのシブラクで掛けて欲しい。サンキュータツオさんに聴いて欲しい。あと四噺のトリとかね。
「この型で死ぬまでやっていこう」とのこと。
では、こちらも生きている限りは、聴かねばならない。
あ、立川縄四楼『たらちね』うん、頑張れ。こんだけ良いお手本があるんだからね。
というわけで次回は3/28です。
ご予約はこちらのページから。
当方ソ連兵から逃げてはいませんが、他いろんなものに追われています。
なので、いい落語を聴きたいのです。寸志さんの『和歌三神』とかね。
むかし立川談幸師が家元に言われて「日本中の麺類づくし」を織り込んだまくらをつくったように、立ち食いそば屋づくしの寸志まくらを作り込んでもいいかも。
5年半分ぶり『初音の鼓』も三太夫の微妙な立ち位置と、ちょっと武張った感じのなかに可愛らしさがある「コン」の仕草がコミカルで、良いです。ここで仲入り。
再び幕が上がり、高座に上がると羽織をすっと脱ぎ、まくらなしで『包丁』。まず久次・寅の鰻屋シーンがいい。会話が歌うように生き生きとしている。ここで寅が「元相撲取り・いま用心棒」 であることが提示される。この寸志オリジナル設定が、このあとの寅vs女房にめちゃくちゃ効いてくる。
つまり、歌だ。皆まで言わないよ。わかるでしょ。ちなみに歌の文句も寸志オリジナルで程よく破礼(バレ、つまりエロ)。ちょっと家元の『野ざらし』を思い出したりして。
女房の変心については一言のセリフで、スタンダード(≒圓生)よりずっとスムースになり、この女があまりずるく見えない。ここは家元の影響が強いんだそうだ。なるほど。
自分の『包丁』は「逃げ」かも知れないと言った寸志さん。
確かに、圓生や、その流れをくむ(直接教わっているかも)三遊亭圓橘師に比べると、小唄『八重一重』は新たな工夫に差し替えられている。しかしそれは逃げではないだろう。
大胆な設定追加から細かな工夫まで、全ては落語家・立川寸志が『包丁』を自分の肉体に馴染ませるための「攻め」のカスタマイズ。
ねたおろしの時点でこの「攻め」がかなり成功しているところが、寸志さんの凄いところだ。
ただ、これも寸志さんの常だけど、尺がやや長い。いきなり鰻屋のシーンから始めるなど、縮める工夫も考えているのではないか。うまくいったら持ち時間長めのシブラクで掛けて欲しい。サンキュータツオさんに聴いて欲しい。あと四噺のトリとかね。
「この型で死ぬまでやっていこう」とのこと。
では、こちらも生きている限りは、聴かねばならない。
あ、立川縄四楼『たらちね』うん、頑張れ。こんだけ良いお手本があるんだからね。
というわけで次回は3/28です。
心の底からおすすめします。ぜひ。昨日25(土)寸志ねたおろし!ご来場多謝。寸志『時そば(初演)』縄四楼『たらちね』寸志『初音の鼓』(仲)寸志『庖丁(初演)』。『時そば』は従来のクスグリを細かに入れ替え。『庖丁』は設定を調整して誰もが得心のいくように。毎回新しい試みにトライしてます。次回3/28(土)。ぜひ一度。#落語 pic.twitter.com/uIsfHPM9Lp
— 立川寸志【告知&報告+雑談】 (@tatekawasunshi) January 26, 2020
ご予約はこちらのページから。
四家正紀(シェアする落語3/20かしめ)@shike『いだてん』のパロディだということはお気づきいただけましたよね?立川寸志の『包丁』は絶品。 #落語
2020/01/25 20:54:52
あ、死なないよ俺。
しかしネタおろしでこのレベル!
当方ソ連兵から逃げてはいませんが、他いろんなものに追われています。
なので、いい落語を聴きたいのです。寸志さんの『和歌三神』とかね。