2019年04月22日
後継者たち Y.Tatekawa Blood 〜江戸の新風〜 こしら・談吉・吉笑・寸志 ゲスト松岡ゆみこ
奇跡的に仕事が片付いたので池袋芸術劇場。だだっ広い会場なのにいい入りで。
なんとか当日券確保。
会場 : 東京芸術劇場 シアターウエスト(客席287)
立川こしら『子ほめ』
立川談吉『田能久』
仲入り
立川吉笑・立川談吉・松岡ゆみこ・立川こしら・立川寸志 トーク
立川吉笑『何時材』
立川寸志『黄金餅』
木戸銭2,800円(当日)
●立川こしら『子ほめ』
油断して3分遅れて入場したところ真打が開口一番という。てっきりかしめさんが前座で出るものかと。訪問したばかりのニューヨークに関する枕をもう少し聴きたかった。おなじみの前座話も、やっぱりこしらワールド仕様で、「褒めるペットの名前」が「道楽」には大笑い。そして 終盤の赤ちゃんを褒めるところも、もとの話は見事にひっくり返されるめちゃくちゃの展開で相変わらず楽しい。
●立川談吉『田能久』
前に出たこしら師のことを「さすが真打、真打です。素晴らしいですね真打は」。そこにこしら師乱入。枕はこれだけでさらっと田能久へ。出だしのところの地名を読み上げるあたりで『阿武松』同様にまた上手くなってるということを感じる。ウワバミのじじいが空気をジトッと重くしたあとにカツラのギャグで笑いを取る、このタイミングがいい。
家元得意ネタの中から、このネタを持ってくるのが、いかにも談吉さんらしい。
仲入り
●トーク
四人で座ったところに ゲストの松岡ゆみこさん登場。言わずとしれた家元の娘。ビン・ラディンの T シャツを着ている。家元が手を通した遺品だそうだ。冒頭の挨拶が「……泰葉です」 ぶははは。
吉笑さんの司会で進行。トークの内容は、ここにはほとんど書けないですね。だってゆみこさん本人にまつわる現在進行系の話ばかりで。あの人とあの人はめんどくさいとか。うん、面白かったですけどね。
●立川吉笑『何時材』
先日の表参道ラパン・エ・アロの独演会でも話していた「作業場引っ越し」がやはりおかしい。突き詰めると「松岡家はケチ」ということになる話なんだから。『何時材』は典型的な吉笑落語というか、一つのアイディアがむくむくと巨大化していく。笑いもまた右肩上がりに増えていく。●立川寸志『黄金餅』
「トークで喋らなかったのは緊張していたからです」と軽く笑いを取ってからすぐに黄金餅。願人坊主の説明なども取っ払ってシンプル・スピーディな展開。言い立てもよどみなく進んだところでなんと!高座上で扇子がなくなり、寺の戸を叩くシーンで仕方なく拳で高座をゴンゴンする珍しい場面も。その後見つかって火葬場の戸はちゃんと扇子で。ふとした仕草が家元そっくりなのは、わざとなのか無意識なのか。それよりも貧乏の悲惨をクールに語ってみせるところに家元の影響を感じる。
四人ともやはり、立川談志という偉大な落語家の「ある部分」だけを遺産相続している気がする。まるで形見分けのように。
「パパは売れている人が好きだった。誰かがガンガン売れて、談志を継いでほしい」とは、ゆみこさんの弁。
まあ名前はともかく、この四人にはもっともっと売れてほしい。
この企画も、続けていただきたい。お客こんなに来るんだし。