『シェアする落語』次回は7/7です。

2019年03月09日

はじめての追善。 渋谷らくご3月立川左談次追善興行DAY1第二部 主任 : 立川談吉 2019/03/09


あれから1年。
葬式は、夜桜満開の下でした。
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#落語

Masanori Shike (四家正紀)(@m_shike)がシェアした投稿 -

会場 : ユーロライブ

サンキュータツオ・山岡光子(立川左談次夫人) 対談
柳家小八『もぐら泥』
柳家小りん『素人鰻』

インターバル

立川左談次『妾馬』(映像)
立川談吉『阿武松』

木戸銭2,500円


●サンキュータツオ・山岡光子(立川左談次師夫人) 対談

いつものようにタツオ氏の前説からの、サプライズ。山岡光子さん。
左談次師のおかみさん。ご尊顔は伝説のストリーミング番組『よしみつこ』で何度か拝見していた。落ち着いた知性を感じさせる素敵な奥様。
(『よしみつこ』……先代古今亭志ん五師のおかみさんで書家の篠崎芳陽さんと山岡光子さんの二人が出演していたユーストリーム番組)
左談次師とは二ツ目になったばかりの頃からの付き合いだったと。若いころはいろんな落語家を家に拉致して酒を飲ませていたとか、稽古はいつもベッドの上に正座してやっていたとか、一つ一つのエピソードが興味深く、うれしい。

●柳家小八『もぐら泥』

一年前、左談次師最後の高座でも開口一番は小八師だった。

shike.blog.jp


喜多八師と左談次師のエピソードから、あの日と同じ「くせもの仁王かあ」の小噺を振って、この日はもぐら泥。侍をやらせるとやたら上手いという印象があったけど、夫婦の会話も、泥棒の痛さも絶妙のメリハリで聴かせてくれた。

●柳家小里ん『素人鰻』

ものすごく久しぶりに小里ん師。左談次師とは前座修行仲間。同じ柳家一門で仲良かったんだろうなあ。「大変に酒癖の悪い人で」とやくざとも警官とも渡り合ったエピソードを披露。

で、酒癖の悪い職人の噺に。
渋くかっこいい。淡々と語るところと、ガツンとオーバーに演じるその落差、わざとこぼした酒を畳から吸い取る仕草のパワフルさ、いいなあ。

インターバル

●立川左談次『妾馬』(映像)

一度も足を運べなかった五十周年記念興行の一席。タツオ氏が事前に断っていたように資料用に撮影したもので映像はときどき不鮮明なれど、映像のなかの客と今スクリーンを見ている客の両方が笑い転げている不思議な空間が出来上がってしまう。

これがまた、これぞ立川左談次といいたくなるような軽妙洒脱。「軽妙でないくすぐり」はあっさりとカットされ、泣かせるところも一か所一瞬に集中。

ああ、こんな落語をもっと聴いていたかった。

●立川談吉『阿武松』

映像とはいえ、師匠の素晴らしいの後ではやりにくかろう。と思っていたらそんな素振りはみじんも見せず「映像の師匠と一緒にやるのは、前の前の師匠で慣れています」と会場を沸かせ。一門会の思い出でまた沸かせ「ここはあっさり行くのが左談次一門ではありますが」と、かつて家元の得意ネタであり、家元没後に左談次師がしきりと掛けていた阿武松へ。

ネタおろしの時にはまだコピーの段階で、やや平板に流れる感じがあったのに、わずかな期間で談吉さんはこの噺を完全にものにしていた。左談次師のフレーズをちょいちょいはさみながら、独自の明るくメロディアスな口跡で地語りを見事に歌い上げ、長吉の人物造形がまた素晴らしく、その見事さに打ち震えるほどだった。


まくらでも語られていたが、家元死去直後に開催された談吉さんの二つ目昇進の会で、大先輩の左談次師をヒザに使ったのが談吉さんであり、自分のニンではない鼠穴を掛けるかどうするか迷っていた談吉さんをみて、高座で「今日の談吉は鼠穴をやります。家元とのこーーーんな違いをお楽しみください」と軽くしっかり背中を押したのが左談次師匠だった。

いろんなことを思い出す。一門会の打上げのあと師匠に一回怒鳴られて、一回抱きしめられたこととか。

shike.blog.jp


左談次師の追善に泣くなんてのは野暮も野暮、愚の骨頂であると思いつつ、思いつつ、思いつつ。

いい会だった。いいお客さんがいっぱい入っていたし。


しっかりと柳家で固めた素晴らしい顔付けに、スペシャルゲストまで。
サンキュータツオ氏に心からのサンキューを申し上げます。

20190308渋谷らくご


m_shike at 17:31コメント(4)落語 | 生落語感想 このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント一覧

1. Posted by シネマおばちゃん   2019年03月12日 14:46
シネマおばちゃんって呼ばれたのは、映画鑑賞が好きだから。噺家 立川左談次も好きでした。過去形にはしたくないから…今も好きです。シブラク3月8日には行けなかったけれども、3月11日には辛うじて行く事ができました。詳しく知りたかった8日の事がたっぷり書いてあり、とても嬉しく読ませて頂きました。有難う御座います。立川左談次ファンの端くれより
2. Posted by 4k   2019年03月12日 21:12
コメントありがとうございます。僕は3/11には行けませんでした。大好きな立川寸志さんが町内の若い衆掛けたのに。左談次師匠のことは今でも大好きで、毎日写真見ながら仕事しています。CDを入手したので繰り返し聴くつもりです。

「裏4k 立川左談次」と検索していただくと昔の記事が出てくるかもしれませんよろしければぜひ。
3. Posted by ますめっど   2019年04月06日 17:21
シブラクに上がるようになって、多くのか方に魅力が伝わった左談次師匠。音源が残されるというのは、良いですな。こういう芸風の方の音源ってのはかつては残り難いものでしたから。
4. Posted by 4k   2019年04月06日 18:16
ほんとに、サンキュータツオ先生には感謝しております。録音を聴いていると、左談次師がもうこの世にいないという現実を一瞬だけ忘れることができます。

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