2019年02月16日
名演の中に刺客が 連雀亭新春特別興行夜席 この人の古典を聴け! 2019/01/05 柳家小太郎 立川寸志 桂伸三 桂伸べえ
連雀亭の企画がいろいろ良すぎるわけですが、僕はこの日をチョイス。
寸志さんトリだからね。
会場 : 神田連雀亭
柳家小もん『黄金の大黒』
三遊亭好吉『しの字嫌い』
桂伸べえ『新聞記事』
柳家小太郎『おすわどん』
仲入り
桂伸三『七段目』〜奴さん〜
立川寸志『三方一両損』
木戸銭1,500円
●柳家小もん『黄金の大黒』
この会に相応しい開口一番、かな。●三遊亭好吉『しの字嫌い』
じわじわうまくなっている。ここまでの流れは会の名前通りな。●桂伸べえ『新聞記事』
ここで刺客登場。「登場人物全員がアワアワしている"伸べえ落語"」が炸裂。台詞のなかで「これ古典落語なのか」とか、言葉が出てこなくて友達から助けを受けるところで、アワアワしながら「サンクス」と言い放ったところで腹がよじれるほど笑った。ぐにゃぐにゃした語りで、リズムが「あるといえばある」。こういうの、一つのスタイルとして確立していくのだろうか。心地よくはないんだけどね。●柳家小太郎『おすわどん』
「芸協にはすごい人がいますね。ギリギリアウトでしょう。サンクスって言ってましたよ」これだけで大爆笑。落語界きっての妖怪好きである小太郎さん、こういう怪談めいた噺はやっぱりうまい。「おすわど〜ん」の怪しい声と、リズムの緩急がもう極上。しっかり笑えて、心地よい。
仲入り
●桂伸三『七段目』〜奴さん〜
これまた楽しい七段目。丁稚が可愛いんだよねえ。そして驚愕したのは踊り。道楽亭の高座って天井低いですからね。ずーっと姿勢を低く一定に保ったまま踊り切った。●立川寸志『三方一両損』
この流れで寸志さんトリは嬉しい。政談を滑稽噺に転化した後半の工夫は、前半のイキの良さと軽快なリズムがあってますます引き立つ。ほとんど変えていないのに意味が全然変わっちゃった落ちも見事。終わってみると「この人の古典を聴け」というのは「この人だからこういう古典」ということなのであって、それぞれの個性が楽しめて愉快な会でございました。