2018年08月18日
阿武松と合掌 談吉百席 第二十六回 2018/04/21
いつもの東池袋、師匠・立川左談次逝去後、初めての談吉百席。
会場 : アートスペースサンライズホール(東池袋)
立川談吉『長短』
立川談吉『長屋の花見』
立川談吉『阿武松』
木戸銭1,500円(予約)
●立川談吉『長短』
まくらは極めて明るく。でも噺に入ると気が付く。ああ、左談次師の得意ネタだ。
談吉さんの得意なタイプのネタで、特に長いほうの緩やかな口調に音楽的な心地よさがある。長いほうの間がいいので、やや破壊的なくらいトントンといく短いほうのキャラが生きる。
●立川談吉『長屋の花見』
春の季節ネタとしてよく掛かるけど、料理が難しいネタなのではないだろうか。酒の噺でありながら飲まないし、長屋の貧乏ぶりもちょっと辛いし。談吉さんの軽快でメロディアスな語り口はそんな課題はさっくりとクリアし、花見の楽しさも感じられていい感じ。最後までやるのも珍しい。ただ、これは何度でも書くけど、談吉さんに限らず「卵の値段」についてはまくらで仕込むべきだと思う。そんなにしつこくもわざとらしくもないと思うのだが。
これだけ卵が安い時代に「卵の代わりに沢庵」というのは相当にわかりづらいんじゃないだろうか。時代によっても違うのだろうが、蕎麦十六文の時代にゆで卵二十文という説があるらしいので、現代の立ち食いそばが400円として、ここから換算するとゆで卵500円。実際はコンビニでどんなに高くても100円はしない。なので卵の値段はいまのざっと5倍と考えられるのではないか。雑な計算だけど。築地なんかで売ってる玉子焼きを600円とすると、5倍で3,000円くらいで、お重に詰めたら1万円を軽く超えちゃう。戸なし長屋には高嶺の花だね確かに。
グッとくる「古今亭」 門前駿菊噺の会 2016/03/21
●立川談吉『阿武松』
ひょっとしたらこのネタで来るかなあと思っていたら、やはり来ました。家元逝去後に、師匠・立川左談次がもっとも多くかけたネタ。それについてはこちらの記事に書いた。
地噺の、地の語りというのはこんなに難しいものかと思った。談吉さんきちんと稽古しているのは間違いなく、ちゃんと語れているのに、リズムのなかの味わいが薄く感じられる。もっとも前の週に桂文字助師の凄い『阿武松』を聴いちゃったので、どうしても比べてしまうため、これは仕方がない。
おそらく、談吉さんがもともと得意としているリズムとは違う時間の流れ方がある噺なんだな。
師匠・左談次の背中はまだ遠く、それだけに目指すべき目標なのだろう。
終演後、左談次師匠の最期と葬儀(ある落語家さんに「談吉君は今回本当に大変だった、よく頑張った」と聞いた)についての報告があり「落語会の最後に相応しくないとは思いますが、ひとつみなさん、合掌をお願いいたします」とのことで、客全員が手を合わせた。
家元の時も思ったことだが、左談次師はよい弟子を持ったのだと思う。
コメント一覧
1. Posted by ますめっど 2018年08月18日 15:33
談吉さん、いろいろありながらも今日も進んで行く…
たまごって、ほとんど値段が変わっていないんですよね。だから時代とともに上がっていったもの「ラーメンが200円だった頃、卵も200円でありまして…」なのがよいのですかね。
たまごって、ほとんど値段が変わっていないんですよね。だから時代とともに上がっていったもの「ラーメンが200円だった頃、卵も200円でありまして…」なのがよいのですかね。
2. Posted by 4k
2018年08月18日 16:38
いつもコメントありがとうございます。
この次の百席で談吉さんは大ブレイクしたと個人的には思っています。このブログ、基本聴いた順に書いているので、なかなかたどり着かないのですが、そのうち必ず書きます。
卵は、おそらく戦後に養鶏場が今のスタイルになって量産が効くようになってから全然別の価値になったと思うんですよね。深川江戸資料館の展示見ているとほんとに高級食材扱いですから。
この次の百席で談吉さんは大ブレイクしたと個人的には思っています。このブログ、基本聴いた順に書いているので、なかなかたどり着かないのですが、そのうち必ず書きます。
卵は、おそらく戦後に養鶏場が今のスタイルになって量産が効くようになってから全然別の価値になったと思うんですよね。深川江戸資料館の展示見ているとほんとに高級食材扱いですから。