『シェアする落語』次回は7/7です。

2018年08月18日

五枚笹の匂いと絶品きゃいのう 東のさん生 西の鶴二 2018/04/23


神楽坂の毘沙門天で、さん生師と鶴二師。こういうベテラン同士の二人会も好きなのです。


会場 : 毘沙門天善国寺 書院(神楽坂)

笑福亭竹三『ぜんざい公社』
笑福亭鶴二『餅屋問答』
柳家さん生『抜け雀』

仲入り

柳家さん生『きゃいのう』
笑福亭鶴二『子は鎹』


●笑福亭竹三『ぜんざい公社』

笑福亭鶴光師の弟子で芸協所属。当日の見台を用意したと。会の趣旨を心得た内容にまとめてきっちりと客席を温めるあたり、なかなか。

●笑福亭鶴二『餅屋問答』

六代目(と言ったら笑福亭松鶴のこと)最後の弟子。多分初めて。適度な緩さを持つ語り口が心地いい。直弟子が語る六代目の逸話は、これはもう面白いに決まってる。
ネタも初めて聴くもので、蒟蒻問答を大阪に移植したものだという。多くの古典落語が上方発祥のなかで、たまーにある「東京→大阪」のパターン。なるほど、上方言葉で聴くならこっちのほうが面白い。

●柳家さん生『抜け雀』

実は初めて。陽気でとんとんと軽く繰り出されるリズムはベテランの味か。まくらは時事ネタに深入りしすぎてやや空回り気味であったが、噺のほうはしっかりスタンダードにまとめた。

仲入り

●柳家さん生『きゃいのう』

こちらがもう絶品でありました。芝居のバックステージの雰囲気、売れない役者の悲哀と床山親方の親分肌、どれも生き生きと躍動的で、歌舞伎にあまり興味を持てない僕でも思わず引きづりこまれてしまう。落ちのばかばかしさも芝居口調がきれいに決まって、大満足。

柳家わさびさんが惚れて、弟子入り志願に至った芸とは、例えばこういうものなのかなと想像してみる。

●笑福亭鶴二『子は鎹』

こちらも「東京→大阪」。初代春風亭柳枝が幕末ごろに創作した『子別れ』を、三遊亭圓朝が 当時の風習に倣って母親が出ていく『女の子別れ』にアレンジ。これを二代目三遊亭圓馬によって上方に移植した、と。

(参考 : 子別れ(こわかれ) : 落語あらすじ事典 千字寄席)

現代では珍しい型だが、「六代目」笑福亭松鶴が得意ネタにしていた、とのこと。このあたり東京の客に対して鶴二師の説明が親切。
聴いてみると特に何の違和感もなく、特に女性同士の会話がとても新鮮で、東京との味わいの違いが楽しめる。
声質が全然違うにもかかわらず、鶴二師の落語には、他の直弟子と同じように、やはり六代目の匂いのようなものが漂う。生で六代目を聴きたかったなあと思いつつ、鶴二師のいろんなネタを聴いてみたいと思う。たまには上方に遊びに行きたいよ。

というわけで、東西のベテランによる二人会。予想以上に満足なのでありました。
秋にはこの会、大阪で開催するそうです。
さん生鶴二
一部、字が間違ってますね。
さん生鶴二



m_shike at 15:59コメント(2)落語 | 生落語感想 このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント一覧

1. Posted by ますめっど   2018年08月19日 18:28
六代目のお弟子さんだから「女の子別れ」持ってるんですね。家には六代目のCDがあって、たまに聴いたりしております。
2. Posted by 4k    2018年08月20日 00:15
ああ、六代目のCD、欲しいですね。そのうち買います。

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