2018年01月09日
伝統ある居酒屋寄席に潜入 新橋炉ばた 春雨や風子 2017/11/20
妙に仕事が早く片付いたので、二ツ目時代の三遊亭圓橘師が立ち上げた伝統ある「新橋炉ばた」の落語会へ。この日の出演は春雨や風子さん。
高座は炉端のなかにある。客は逆Uの炉端カウンターをと横のテーブルから飲みながら落語鑑賞。
昔からこのかたちなのかな。普通に飲みに来た人もいるみたいで、演者にとってかなり過酷な状況。
春雨や風子『偉人の言葉』
春雨や風子『はれはれ』
●春雨や風子『偉人の言葉』
難しい会場に難しい客。笑点メンバー中心に業界内幕を絡めた漫談で様子を見つつ、「最近は新作やってまして」と自作へ。
噺のプロットは非常に優れている。物凄く融通が利くのだ。
『偉人の言葉』と、関係あるような、それほどないような小噺をくっつければ一つの「部品」になる。この「部品」を並べていけば、この噺はきちんと成立してしまう。並べ方にテーマ性があってもいいし、なくてもいい。どこで終わっても問題ないから時間調整が効くし、受けなかった「部品」だけ新しいものと入れ換えたりすれば段階的バージョンアップも可能。
ただ、まだ熟成の途中なのか、ところどころ噺が「止まって」しまう。間をおいている訳ではなく、あまり効果的でない「笑い待ち」みたいな。受ける「部品」と受けない「部品」の差が激しいからかもしれない。
ここはひとつ、受ける受けないを気にせずに、リズムよくポンポン進めてしまったらどうだろう。勢いで押しきる感じで。
ここはひとつ、受ける受けないを気にせずに、リズムよくポンポン進めてしまったらどうだろう。勢いで押しきる感じで。
「次の圓歌」三遊亭歌之介師の傑作『爆笑!龍馬伝』あたりが参考になりそうな気がする。
●春雨や風子『はれはれ』
こちらも、どうも今一つこなれていない。なんというか、構成要素が多すぎるのかな。嫁姑の類型的なキャラ設定のなかに、ちょいちょい新しいものが入ってくるんだけど、あまりうまくミックスしきれてないというか。
もうちょっと練り直すとぐっと面白くなる気がするんだけど。
もうちょっと練り直すとぐっと面白くなる気がするんだけど。
と、珍しくやや辛口なことを書いてしまったけど、「居酒屋のなか」という落語を掛けるにはなかななか厳しい環境のなかで、落語通から特に興味ない人まできちんと自分の世界に引っ張り込んでいたし、終演後に若い客が「おもしろかったねー」と言っていたのも聴いた。もともと力のある人だと思うので、これから新作にがっちり取り組むなら、ちょっと楽しみである。
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コメント一覧
1. Posted by ますめっど 2018年01月11日 10:34
雷蔵一門で新作解禁までちょっと時間がかかったり、芸協さんは女流の方が少ないからなかなか大変なのかもしれません。
2. Posted by 4k
2018年01月12日 00:24
以前聴いた『ラーメン屋』はメチャクチャよかったので、新作作るなら他落語家の作品からも勉強していいの作って欲しいです。