2017年10月22日
初回でいきなり大傑作 落語作家井上のかたち 柳家一琴の初物づくし 2017/09/02
満員御礼のらくごカフェで、傑作誕生の瞬間を目撃。
柳家小ごと 『道灌』
柳家一琴 『花見酒』
柳家一琴 『馬鹿竹』
仲入り
柳家一琴 『まんぷく番頭』(作 井上新五郎正隆)
一琴師三席は、いずれも根多下ろし
●柳家小ごと 道灌
初めて聴いた前座のお弟子さん。既に初々しさはなく、堂々としたもの。
上下がやや小さめな分、品よく見える。
●柳家一琴 『花見酒』
今日のネタおろし1。季節を先取りしたネタと(笑)
一琴師、たしかお酒は召し上がらないはずで、どうしてここまで意地汚い酒飲みの描写がうまいのだろうか。酒を運ぶ道中に佃煮屋と鰻屋の匂いを肴にして飲んでしまう。このあたり絶妙。酒屋から道具を一つずつ借りるところも面白い。もともと好きな噺だけど、一琴師の工夫でさらに楽しく。
●柳家一琴 『馬鹿竹』
演目すらまったく聴いたことがない噺が今日のネタおろし2。
お客さんのリクエストで古い噺を掘り起こした、ただし後味が悪いので一琴師がかなり改作したとのこと。谷中霊園の五重塔を作った竹次郎が主人公の職人もの。
酒が過ぎて妻に逃げられた竹次郎が、幼なじみの棟梁の力で復活、そして妻も……。というそれだけの噺だが、現存していない谷中の五重塔に関するエピソードから、竹次郎の駄目っぷり、棟梁の弟子が竹次郎を探す下りなどなど聴きどころ満載で、これはまたぜひ聴きたい。
仲入り
●柳家一琴 『まんぷく番頭』(作 井上新五郎正隆)
いよいよ期待のネタおろし3。あて
大人気ドージン落語から、昨年の『みつぼし』では見事に「"非ドージン"」のネタを発表、我々東京のの落語ファンにとっての「僕らの落語作家」として活躍されている井上新五郎正隆先生の書き下ろし。
いやあ、大傑作。
一琴師にあて書きしたことは一目瞭然なれど、落語としての普遍性が半端ない。この噺を聴いたら自分も演ってみたいと思う落語家は、たぶん山ほどいるはず。数十年前にタイムスリップして五代目小さんに見せたら演りたいと言いそうだ。
この素晴らしい落語台本に応える一琴師がまた素晴らしい。次から次へと食べる食べる食べる。前二席では、ふだんお飲みにならない酒を絶妙に飲んで見せた師は、今度はまずお菓子を山ほど食べて、さらに煎餅・おにぎり・麺類とひたすら食べる。店の小僧や旦那、訪問先の武士(麺打ちに凝っている!)とのやりとりがまた面白く、「まだ食うのか」「まだ食うのか」と、笑いの上に笑いが積みあがってくる展開に無駄なところ、分かりにくいところが一つもない。
作家と演者の絶対的な信頼関係がこの傑作を生みだした。と考えると感動的なのだけど、それより前にこんなゲラゲラ笑えた、ああ面白かった!と心から思えたことが落語ファンとして幸せなのだ。
一琴師は間違いなくこれを寄席に掛けるだろう。「女豹のポーズ」や「個撮」が出てくるドージン落語はちと難しいけど、この演目は寄席でも大ウケ間違いなく、楽屋もびっくりなのではなかろうか。そんな想像をしていたら、また楽しくなった。
その日の寄席の客席にいたいなあ。
初めて聴いた前座のお弟子さん。既に初々しさはなく、堂々としたもの。
上下がやや小さめな分、品よく見える。
●柳家一琴 『花見酒』
今日のネタおろし1。季節を先取りしたネタと(笑)
一琴師、たしかお酒は召し上がらないはずで、どうしてここまで意地汚い酒飲みの描写がうまいのだろうか。酒を運ぶ道中に佃煮屋と鰻屋の匂いを肴にして飲んでしまう。このあたり絶妙。酒屋から道具を一つずつ借りるところも面白い。もともと好きな噺だけど、一琴師の工夫でさらに楽しく。
●柳家一琴 『馬鹿竹』
演目すらまったく聴いたことがない噺が今日のネタおろし2。
お客さんのリクエストで古い噺を掘り起こした、ただし後味が悪いので一琴師がかなり改作したとのこと。谷中霊園の五重塔を作った竹次郎が主人公の職人もの。
酒が過ぎて妻に逃げられた竹次郎が、幼なじみの棟梁の力で復活、そして妻も……。というそれだけの噺だが、現存していない谷中の五重塔に関するエピソードから、竹次郎の駄目っぷり、棟梁の弟子が竹次郎を探す下りなどなど聴きどころ満載で、これはまたぜひ聴きたい。
仲入り
●柳家一琴 『まんぷく番頭』(作 井上新五郎正隆)
いよいよ期待のネタおろし3。あて
大人気ドージン落語から、昨年の『みつぼし』では見事に「"非ドージン"」のネタを発表、我々東京のの落語ファンにとっての「僕らの落語作家」として活躍されている井上新五郎正隆先生の書き下ろし。
いやあ、大傑作。
一琴師にあて書きしたことは一目瞭然なれど、落語としての普遍性が半端ない。この噺を聴いたら自分も演ってみたいと思う落語家は、たぶん山ほどいるはず。数十年前にタイムスリップして五代目小さんに見せたら演りたいと言いそうだ。
この素晴らしい落語台本に応える一琴師がまた素晴らしい。次から次へと食べる食べる食べる。前二席では、ふだんお飲みにならない酒を絶妙に飲んで見せた師は、今度はまずお菓子を山ほど食べて、さらに煎餅・おにぎり・麺類とひたすら食べる。店の小僧や旦那、訪問先の武士(麺打ちに凝っている!)とのやりとりがまた面白く、「まだ食うのか」「まだ食うのか」と、笑いの上に笑いが積みあがってくる展開に無駄なところ、分かりにくいところが一つもない。
作家と演者の絶対的な信頼関係がこの傑作を生みだした。と考えると感動的なのだけど、それより前にこんなゲラゲラ笑えた、ああ面白かった!と心から思えたことが落語ファンとして幸せなのだ。
一琴師は間違いなくこれを寄席に掛けるだろう。「女豹のポーズ」や「個撮」が出てくるドージン落語はちと難しいけど、この演目は寄席でも大ウケ間違いなく、楽屋もびっくりなのではなかろうか。そんな想像をしていたら、また楽しくなった。
その日の寄席の客席にいたいなあ。
コメント一覧
1. Posted by ますめっど 2017年10月22日 21:04
そそるネタ。
2. Posted by 4k
2017年10月22日 22:43
どのネタも素晴らしかったです。特に『まんぷく番頭』は絶品。