『シェアする落語』次回は7/7です。

2015年12月29日

只四楼初高座と 談四楼・寸志の絆 立川談四楼独演会 2015/12/15


平日参戦久しぶり。偶数月15日は北澤八幡。
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立川只四楼『浮世根問』
立川仮面女子『穴子でからぬけ』
立川だん子『狸札』
立川寸志『井戸の茶碗』

仲入り
小林のり一『てぶ子ちゃんと私』

立川談四楼『芝浜』
 

●立川只四楼『浮世根問』
初高座。ずいぶん口が回ると思ったら元ピン芸人だったらしい。
ただ声量はもっとあった方がいい。これからだ。いずれにしても期待の新人登場、喜ばしい。

 
●立川仮面女子『穴子でからぬけ』
喋りが前座らしくなってきた。しかし何といってもあの立川こしら師の弟子である。只四郎楼さんの初高座をちょっと批評して見せたり『浮世根問』のさわりを語って客を脅かしたり、曲者っぷりを発揮。でも若者らしい爽やかさがあり嫌みにならない。
 
●立川だん子『狸札』
そろそろまくらで何かそれらしいことを喋ってみて欲しい。噺の方は本を読んでいるように聴こえるところが気になったが、狸の噺は雰囲気にあっているような気もする。

 
●立川寸志『井戸の茶碗』
何と!のどを痛めた談四楼師の代演!
「むちゃくちゃ緊張します」そりゃそうでしょ。
僕としてはこの前四谷三丁目・橘家の『寸志ねたおろし』を早退したため聴き損ねた噺だったので、嬉しい。

これが"素晴らしかった。これこそ僕が求めていた井戸茶だ。

かねてから「正直者」「いい人」だらけの井戸茶はあんまり好きになれなかったわけですよ。
なので、終盤の台詞一発で世界観をひっくり返す柳家喬太郎師の『井戸茶』(喬太郎師には、これとは別に『歌う井戸茶』もある)や、最後にもう一回「殿様お買い上げ」を入れてこれまた世界観をひっくり返す快楽亭ブラック師の『井戸茶』が好きだったわけです。

でもこれはどちらも「豪快な大技一発」だ。

寸志さんは、キャラクターの設定から見直した。ある登場人物の「正直者」を止めたのだ。
これがまあびっくりするくらい噺を生き生きさせた。お調子者が出現し、台詞は見事に新しくなり、より落語っぽい、ダメな人たちの噺になった。

かなりの細工だったので、後で談四楼師が「俺に教わったのにあんなにいじりやがって」と笑いながら言っていたが、寸志さんに聞いたら「大好きな談四楼師の『井戸茶』」をヒントにして、この改変を思いついたと。

これぞ、よい師弟の見本みたいなもんじゃないですか。落語ってこういうものですよ。


仲入り

●小林のり一『てぶ子ちゃんと私』
衝撃が走りました。
噂には聞いていたが、ここまでとは。
ものすごく説明しにくい。幇間のようでもあり、ボードビリアンのようでもあり。
おどおどした振りをして次々と繰り出されるネタは、どれも「超」のつくくだらなさ。でものり一先生が演ると信じられないくらい面白い。そして(談四楼師も仰っていたが)「昭和の東京」っぽい。

この芸が一部の通人のモノになっているのは何か惜しい気がする。テレビでも行けるんじゃないか。

とにかく面白くて、しかも出すぎない。きっちりとヒザである。かっこいい。

蛇足ながら付け加えると、三木のり平の息子さんです。


●立川談四楼『芝浜』
どちらかというと芝浜が苦手な(本当は芝浜の「夫婦愛」ばかりを持ち上げる客が苦手なのだが)僕にとって、談四楼師の芝浜は「男は馬鹿である」ことをきっちりと描くという点で、とても納得がいく、好きな落語なわけでありますが。

喉を傷めていたせいか、いつもより抑え気味の語りが、よりさっぱりとした雰囲気に。
さらにこの日は、前半で「酒をとてもうまそうに飲んだ」これがでかい。
だって要は、酒飲みが失敗する話なんだから。
まあ、実にうまそうだった。

終盤に僕の嫌いな台詞も入らず、 のり一先生のギャグも自然に取り込むなど笑いどころも多い、素敵な芝浜でありました。


毎回この落語会は楽しいわけですが、今回はまた際立って楽しかった。落語いいなあと思いました。
 


m_shike at 11:30コメント(0)落語 | 生落語感想 このエントリーをはてなブックマークに追加

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