2015年12月29日
只四楼初高座と 談四楼・寸志の絆 立川談四楼独演会 2015/12/15
●立川只四楼『浮世根問』
初高座。ずいぶん口が回ると思ったら元ピン芸人だったらしい。
ただ声量はもっとあった方がいい。これからだ。いずれにしても期待の新人登場、喜ばしい。
初高座。ずいぶん口が回ると思ったら元ピン芸人だったらしい。
ただ声量はもっとあった方がいい。これからだ。いずれにしても期待の新人登場、喜ばしい。
●立川仮面女子『穴子でからぬけ』
喋りが前座らしくなってきた。しかし何といってもあの立川こしら師の弟子である。只四郎楼さんの初高座をちょっと批評して見せたり『浮世根問』のさわりを語って客を脅かしたり、曲者っぷりを発揮。でも若者らしい爽やかさがあり嫌みにならない。
喋りが前座らしくなってきた。しかし何といってもあの立川こしら師の弟子である。只四郎楼さんの初高座をちょっと批評して見せたり『浮世根問』のさわりを語って客を脅かしたり、曲者っぷりを発揮。でも若者らしい爽やかさがあり嫌みにならない。
●立川だん子『狸札』
そろそろまくらで何かそれらしいことを喋ってみて欲しい。噺の方は本を読んでいるように聴こえるところが気になったが、狸の噺は雰囲気にあっているような気もする。
そろそろまくらで何かそれらしいことを喋ってみて欲しい。噺の方は本を読んでいるように聴こえるところが気になったが、狸の噺は雰囲気にあっているような気もする。
●立川寸志『井戸の茶碗』
何と!のどを痛めた談四楼師の代演!
「むちゃくちゃ緊張します」そりゃそうでしょ。
僕としてはこの前四谷三丁目・橘家の『寸志ねたおろし』を早退したため聴き損ねた噺だったので、嬉しい。
これが"素晴らしかった。これこそ僕が求めていた井戸茶だ。
かねてから「正直者」「いい人」だらけの井戸茶はあんまり好きになれなかったわけですよ。
なので、終盤の台詞一発で世界観をひっくり返す柳家喬太郎師の『井戸茶』(喬太郎師には、これとは別に『歌う井戸茶』もある)や、最後にもう一回「殿様お買い上げ」を入れてこれまた世界観をひっくり返す快楽亭ブラック師の『井戸茶』が好きだったわけです。
でもこれはどちらも「豪快な大技一発」だ。
寸志さんは、キャラクターの設定から見直した。ある登場人物の「正直者」を止めたのだ。
これがまあびっくりするくらい噺を生き生きさせた。お調子者が出現し、台詞は見事に新しくなり、より落語っぽい、ダメな人たちの噺になった。
何と!のどを痛めた談四楼師の代演!
「むちゃくちゃ緊張します」そりゃそうでしょ。
僕としてはこの前四谷三丁目・橘家の『寸志ねたおろし』を早退したため聴き損ねた噺だったので、嬉しい。
これが"素晴らしかった。これこそ僕が求めていた井戸茶だ。
かねてから「正直者」「いい人」だらけの井戸茶はあんまり好きになれなかったわけですよ。
なので、終盤の台詞一発で世界観をひっくり返す柳家喬太郎師の『井戸茶』(喬太郎師には、これとは別に『歌う井戸茶』もある)や、最後にもう一回「殿様お買い上げ」を入れてこれまた世界観をひっくり返す快楽亭ブラック師の『井戸茶』が好きだったわけです。
でもこれはどちらも「豪快な大技一発」だ。
寸志さんは、キャラクターの設定から見直した。ある登場人物の「正直者」を止めたのだ。
これがまあびっくりするくらい噺を生き生きさせた。お調子者が出現し、台詞は見事に新しくなり、より落語っぽい、ダメな人たちの噺になった。
かなりの細工だったので、後で談四楼師が「俺に教わったのにあんなにいじりやがって」と笑いながら言っていたが、寸志さんに聞いたら「大好きな談四楼師の『井戸茶』」をヒントにして、この改変を思いついたと。
これぞ、よい師弟の見本みたいなもんじゃないですか。落語ってこういうものですよ。
仲入り
●小林のり一『てぶ子ちゃんと私』
衝撃が走りました。
噂には聞いていたが、ここまでとは。
ものすごく説明しにくい。幇間のようでもあり、ボードビリアンのようでもあり。
おどおどした振りをして次々と繰り出されるネタは、どれも「超」のつくくだらなさ。でものり一先生が演ると信じられないくらい面白い。そして(談四楼師も仰っていたが)「昭和の東京」っぽい。
この芸が一部の通人のモノになっているのは何か惜しい気がする。テレビでも行けるんじゃないか。
とにかく面白くて、しかも出すぎない。きっちりとヒザである。かっこいい。
蛇足ながら付け加えると、三木のり平の息子さんです。
●立川談四楼『芝浜』
どちらかというと芝浜が苦手な(本当は芝浜の「夫婦愛」ばかりを持ち上げる客が苦手なのだが)僕にとって、談四楼師の芝浜は「男は馬鹿である」ことをきっちりと描くという点で、とても納得がいく、好きな落語なわけでありますが。
喉を傷めていたせいか、いつもより抑え気味の語りが、よりさっぱりとした雰囲気に。
さらにこの日は、前半で「酒をとてもうまそうに飲んだ」これがでかい。
だって要は、酒飲みが失敗する話なんだから。
まあ、実にうまそうだった。
終盤に僕の嫌いな台詞も入らず、 のり一先生のギャグも自然に取り込むなど笑いどころも多い、素敵な芝浜でありました。
毎回この落語会は楽しいわけですが、今回はまた際立って楽しかった。落語いいなあと思いました。
噂には聞いていたが、ここまでとは。
ものすごく説明しにくい。幇間のようでもあり、ボードビリアンのようでもあり。
おどおどした振りをして次々と繰り出されるネタは、どれも「超」のつくくだらなさ。でものり一先生が演ると信じられないくらい面白い。そして(談四楼師も仰っていたが)「昭和の東京」っぽい。
この芸が一部の通人のモノになっているのは何か惜しい気がする。テレビでも行けるんじゃないか。
とにかく面白くて、しかも出すぎない。きっちりとヒザである。かっこいい。
蛇足ながら付け加えると、三木のり平の息子さんです。
●立川談四楼『芝浜』
どちらかというと芝浜が苦手な(本当は芝浜の「夫婦愛」ばかりを持ち上げる客が苦手なのだが)僕にとって、談四楼師の芝浜は「男は馬鹿である」ことをきっちりと描くという点で、とても納得がいく、好きな落語なわけでありますが。
喉を傷めていたせいか、いつもより抑え気味の語りが、よりさっぱりとした雰囲気に。
さらにこの日は、前半で「酒をとてもうまそうに飲んだ」これがでかい。
だって要は、酒飲みが失敗する話なんだから。
まあ、実にうまそうだった。
終盤に僕の嫌いな台詞も入らず、 のり一先生のギャグも自然に取り込むなど笑いどころも多い、素敵な芝浜でありました。
立川談四楼@Dgoutokuji夕べの芝浜を振り返る。中低音を頼りに低く出たのが幸いした。しかし後半、張らねばならない。炎症を起こした声帯はそこでひっくり返るのだが、勝五郎と女房のやりとりに妙なリアリティーが出て、何とかやり切った。出ない声での高座は、晩年の談志の苦闘を反芻することでもあり、勝手に満足している。
2015/12/16 14:39:08
毎回この落語会は楽しいわけですが、今回はまた際立って楽しかった。落語いいなあと思いました。