2014年12月25日

渋谷に吹雪が 渋谷らくご 入船亭扇辰 立川志ら乃 柳亭小痴楽 立川談吉 2014/12/14


先月より始動したサンキュータツオ・キュレーション『渋谷らくご』12月シリーズの2日目昼の部へ。

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立川談吉『たらちね』
柳亭小痴楽『大工調べ』
立川志ら乃『反対俥(反対車)』
入船亭扇辰『鰍沢』    
 

●サンキュータツオ・しまおまほ『トーク』
しまお氏が「落語」を目の前にして緊張してしまっている形が良く見える。頭の中で「古典だから古典だから私よく知らないから」。

落語については「一般の人」。のリアクション。


●立川談吉『たらちね』
元映画館の暗い会場とやや重い空気の中、まくらは談吉さん悪い時の逡巡が見られた。噺はしっかり快調で僕は満足したけど、演者には重さが感じられたのではないだろうか。



●柳亭小痴楽『大工調べ』
●夜の部の「まくら王」に出るのでそっちで頭がいっぱいといいつつ、いつものスピード感は全く失われず、若さと荒々しさが前面に。でもやはり演者側に納得感が今一つだったのでは。勝手な推測だけど。


●インターバル
初心者が立て続けに落語を聴くと疲れるので着席のまま3分間の休憩。意図は分かるがトイレ行く客が続出してあんまり意味がない。ここは俗曲が欲しい。CDでもいいから。


●立川志ら乃『反対俥(反対車)』
前の二人とは「重めの空気」に対応する力が違うなあと。まくらでしっかり温めしっかり探り、それから反対俥へ。むかし明大落語会で聴いたことがあるけど、今回のほうが面白かったかな。


●入船亭扇辰『鰍沢』
雪は大嫌いだというまくらから、さらっとこの噺へ。
一言申し上げますと「まいりました」。
素晴らしかったですね。
想像力に乏しい僕でもはっきりと見えるほどの雪。手を温める、足の雪を落とす、まずい冷たい卵酒を飲む、そして悶絶する……。

元映画館の暗い会場を完全に味方につけて、極上の落語空間を創出。凄い。

●サンキュータツオ・しまおまほ・立川志ら乃・入船亭扇辰『トーク』

扇辰師はともかく、熱演のわりにちょっと客が重い。30分という持ち時間もなかなか難しいのかもしれない。
前述の通り、噺と噺の間に無音状態が続くところがあり、あれはなんかお囃子を入れたほうがいい気がした。

あとは宣伝。会場の大きさから考えて、なんとか100人で聴きたい。土曜昼で35人はちと淋しい。皆さんも来て下さい。
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扇辰師匠の「鰍沢」は、イメージすることの気持ちよさを体感させてくれる、まさに落語の神髄がつまった一席であった。冬の大ネタ祭り、ということで今回は「芝浜」と「文七元結」をネタだししているが、「鰍沢」まで飛び出すとはありがたすぎて泣きそう。

落語のスピードが観客の想像するスピードにほど良い。決して置いていかれることなく、寒い雪の晩、外の吹雪の音までずっと鳴っている残像が脳裡にやきついていて、そこに人間の動きであるとか心の動きであるとかが、ほんの小さい目線やシグサで確実に表現されていた。「純米大吟醸は下戸でも呑める」と私は言い続けているが、この日の扇辰師匠もまた一級品の純米ダイン吟醸であった。客席に子どもが二人いたが、決して子どもだからといって寄せるわけでもなく、とはいえ置いていくわけでもなく、人間の想像力と落語の力を信頼した演じ方で最後まで魅了し続けた。扇辰師匠、素敵!

 
「渋谷らくご」(#シブラク)12月13日レビュー #rakugo | サンキュータツオ教授の優雅な生活 


m_shike at 19:50コメント(0)トラックバック(0)落語 | 生落語感想 このエントリーをはてなブックマークに追加

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