2014年08月10日
東都が唸る ノベルな落語世界 お江戸 de ハナシをノベル!! vol.5 月亭文都 2014/08/02
去年一番刺激的だった落語会に、今年も行ってまいりました。
月亭秀都 前説
月亭文都『あるいはマンボウでいっぱいの海』(田中啓文 原作)
月亭天使『ひらのかげ』
月亭文都『まち娘』(飯野文彦 原作)
仲入り
田中啓文とザ・ノベラーズ『トークdeノベル』
(浅暮三文 我孫子武丸 牧野修 田中啓文 飯野文彦 田中哲弥 着席順)
月亭文都『虫女房』(牧野修 原作)
●月亭秀都 前説
入門3ヶ月?だったかな。ひたすら初々しく拙い幕前前説。
●月亭文都『あるいはマンボウでいっぱいの海』(田中啓文 原作)
「昨年までお江戸日本橋亭で2回興行だったのを、今年からこちら深川資料館で1回興行にしたんですが、日本橋亭1回でよかったような」と、確かに大幅拡張となった客席には空席がちらほら。
噺は『あるいは牡蠣でいっぱいの海』(エイヴラム・デイヴィッドスン )のパロディ版である筒井康隆『あるいは酒でいっぱいの海』のさらにパロディかな?
根問ものの新作としてさすがの出来。でも師匠、「上方落語には根問ものというのがありまして」って東京落語にも仰山ありまっせ。まあ、上方からもろたんでしょうが。
●月亭天使『ひらのかげ』
まだまだつたないなー。まくらは落としどころが見えないまま話している気がするし、噺は思い出しながら話しているというか、筋を辿っている風に感じられた。開口一番でよかったのでは。
●月亭文都『まち娘』(飯野文彦 原作)
すぱんとまくらなしで噺に入ったのが気持ちいい。米朝作『一文笛』でもお馴染みの子ども向けおもちゃ楽器"一文笛"を絡めた人情噺。筋に斬新さはないがディティールが素晴らしく、これを文都師が抜群の演技で描写するので半端ない緊張感が。これがたまらない。
仲入り
●田中啓文とザ・ノベラーズ『トークdeノベル』
司会の田中啓文先生が「このコーナーはなくてもいい」と仰っていた通りで、まあ、作家さんたちのファンにはたまらないんでしょうが、それ以外の客には苦笑ばかりがあふれてくる座談会。作品の背景にもっと触れてくれるとありがたいんですけどね。豆知識とかどうでもいいから。
何となく終わったあと、高座を作り直す弟子たち。膝隠しの位置が明らかに中央から外れている。
●月亭文都『虫女房』(牧野修 原作)
座った文都師、すかさず膝隠しの位置を真ん中に直す。弟子は反省するように。
で、正直ここまでは「面白いけど去年ほどではないな」という気分だった。去年は何度も何度も終わって始まるタイムリープ落語『わあわあ言うております』(作 田中哲弥)があったからね。
しかし最後が凄かった。
いわゆる異類婚姻譚 なわけですが、虫ですからね。押しかけ女房が虫。しかもあの虫。ネタ割りたくないので伏せますけどよりによってあの虫。しかもあの虫じゃなくて、ほんとはあの虫。それを文都師は「説明しよう!」とスケッチブックに昆虫図鑑の写真貼り付けて説明するんだわ。これがまた不気味極まりないの。気持ち悪いの。んで笑っちゃうの。畳みかけるような不条理が、これまた、たまりません。
結局は今年も唸らされましたね。
落語の可能性、そのだだっ広さをしめしてくれるも素晴らしい会であり、また来年も聴きたいと思う。
同時に、もっと宣伝してほしいし、東都の落語家はこぞって勉強しに来いよと思った。
誰か来てたのかなあ。
あと、文都師の古典を東都で聴く機会も欲しいですなあ。
入門3ヶ月?だったかな。ひたすら初々しく拙い幕前前説。
●月亭文都『あるいはマンボウでいっぱいの海』(田中啓文 原作)
「昨年までお江戸日本橋亭で2回興行だったのを、今年からこちら深川資料館で1回興行にしたんですが、日本橋亭1回でよかったような」と、確かに大幅拡張となった客席には空席がちらほら。
噺は『あるいは牡蠣でいっぱいの海』(エイヴラム・デイヴィッドスン )のパロディ版である筒井康隆『あるいは酒でいっぱいの海』のさらにパロディかな?
あるいは酒でいっぱいの海 (集英社文庫 79-C)
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筒井 康隆
集英社
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根問ものの新作としてさすがの出来。でも師匠、「上方落語には根問ものというのがありまして」って東京落語にも仰山ありまっせ。まあ、上方からもろたんでしょうが。
●月亭天使『ひらのかげ』
まだまだつたないなー。まくらは落としどころが見えないまま話している気がするし、噺は思い出しながら話しているというか、筋を辿っている風に感じられた。開口一番でよかったのでは。
●月亭文都『まち娘』(飯野文彦 原作)
すぱんとまくらなしで噺に入ったのが気持ちいい。米朝作『一文笛』でもお馴染みの子ども向けおもちゃ楽器"一文笛"を絡めた人情噺。筋に斬新さはないがディティールが素晴らしく、これを文都師が抜群の演技で描写するので半端ない緊張感が。これがたまらない。
仲入り
●田中啓文とザ・ノベラーズ『トークdeノベル』
(浅暮三文 我孫子武丸 牧野修 田中啓文 飯野文彦 田中哲弥 着席順)
作家の皆さんによるトーク。司会の田中啓文先生が「このコーナーはなくてもいい」と仰っていた通りで、まあ、作家さんたちのファンにはたまらないんでしょうが、それ以外の客には苦笑ばかりがあふれてくる座談会。作品の背景にもっと触れてくれるとありがたいんですけどね。豆知識とかどうでもいいから。
何となく終わったあと、高座を作り直す弟子たち。膝隠しの位置が明らかに中央から外れている。
●月亭文都『虫女房』(牧野修 原作)
座った文都師、すかさず膝隠しの位置を真ん中に直す。弟子は反省するように。
で、正直ここまでは「面白いけど去年ほどではないな」という気分だった。去年は何度も何度も終わって始まるタイムリープ落語『わあわあ言うております』(作 田中哲弥)があったからね。
しかし最後が凄かった。
いわゆる異類婚姻譚 なわけですが、虫ですからね。押しかけ女房が虫。しかもあの虫。ネタ割りたくないので伏せますけどよりによってあの虫。しかもあの虫じゃなくて、ほんとはあの虫。それを文都師は「説明しよう!」とスケッチブックに昆虫図鑑の写真貼り付けて説明するんだわ。これがまた不気味極まりないの。気持ち悪いの。んで笑っちゃうの。畳みかけるような不条理が、これまた、たまりません。
結局は今年も唸らされましたね。
落語の可能性、そのだだっ広さをしめしてくれるも素晴らしい会であり、また来年も聴きたいと思う。
同時に、もっと宣伝してほしいし、東都の落語家はこぞって勉強しに来いよと思った。
誰か来てたのかなあ。
あと、文都師の古典を東都で聴く機会も欲しいですなあ。