2014年06月01日

宮治、文学と数学に挑む 桂宮治vs立川吉笑 vol.4 2014/05/27


この会も四回目となると、新しい趣向が必要なんでしょうね。
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桂宮治 立川吉笑『トーク』
立川吉笑『道灌』
桂宮治『暴れ牛奇譚』
仲入り
桂宮治『舌打たず』
立川吉笑『粗忽長屋』

噺家が闇夜でコソコソの効果もあったか会場は超満員。
しかし女性率低し。なぜだ。
女性はみんな春吾さんのところ行くのか。





●桂宮治 立川吉笑『トーク』
いつもは宮治さんが最初からグイグイ言って、吉笑さんが圧倒されるというパターンだが今回は宮治さんが明らかに挙動不審。新作二作は相当に荷が重いらしい。
そんな中でも宮治さん「春吾をテレビで見ると、なんかかっこよくて、俺でもカカれてもいいなと思っちゃう」というのには笑った。


●立川吉笑『道灌』
吉笑さんの道灌面白いのはよく知ってるからさー。ここは違うの掛けてほしかったなー。
しかし!
まくらが素晴らしかった。吉笑さん独特の数学的センスではなく、シュールながらも『二階ぞめき』的な落語のセンスの小噺。こういうのがあるからこの人からは目が離せない。何が素晴らしいってこの噺、落語以外でやってもちっとも面白くないから素晴らしい。

カレーの話です。


●桂宮治『暴れ牛奇譚』
これは来ると思ってました。前に二回くらいかけていたはず。
でも主人公がタミコじゃなくて●●師匠になっていた。ルリちゃんは●●さん。
僕は●●師匠にタミコのひがみ根性は感じられないので、●●さんのほうがいいんじゃね、と思うのだが●●さんだと本気でやばいかもしれない。

それはともかく改めて、鯉八さんのこのSF文学的メタ落語(せっかく感情移入した話を最後の最後でぶん投げることで「落語にとってのストーリーなんて、本当はなんでもいい」と、落語という話芸そのものについて言及している落語)を、キャラクターに思いきり汗や涙をぶち込みことで宮治さんの落語に仕立て上げた力量はさすが。

と、ともに、こんなとんでもない落語を創り上げて、毎回ほとんどぶれずに同じように高座に掛けている鯉八さんの凄さが改めて伝わってきたね。残念ながらよほど大きな組み換えをしない限り、他の誰かができる噺ではない。

宮治さんには『どすこい乙女』やってほしいな。落ちまで含めて宮治さんにピッタリ。


仲入り


●桂宮治『舌打たず』
本日のスペシャル。やると思ったけどほんとにやったねー。チャレンジしたことに拍手ですよ。

本人も言っていたけど、まず覚えにくい。ロジックを延々と積み上げるだけの噺だから覚えられない。数学のテストで丸暗記が使えないのと同じ。これを2,3日でここまで持ってきたのは凄い。

さてこの噺、吉笑さんは「本来落語にはない数学性」を強調するために(あと感情表現があんまりうまくないこともあり)、登場人物二人のやりとは淡々と演じていた。
これに対して宮治さんはひたすら感情を露わにし、隠居が「恐怖のあまりに」このゲームに参加しているところが大きく違う。そのように演出しないと、宮治さんから見たときにこの落語は「落語」にはならなかったということだろう。終盤に差し掛かるあたり、その表情の見事なことったら!

妙なたとえだが、ラップの曲があって、ロックンローラーがカヴァーするときにメロディーをつけたような感じだ。

聴いたことない人には何だかわからいなと思いますが『舌打たず』は「舌打ちなとで言葉を使わずに感情を伝えることに賭けた男たちのロマン」です。益々わかりませんか。そうですか。


●立川吉笑『粗忽長屋』
ストレートにこの噺をやったら、例えば立川談吉さんなんかには絶対にかなわない。吉笑さんらしいロジックとそのずれ、談笑師のアレンジ流用などにより、自分の噺としてよくまとめていた。でもまあ宮治さんのチャレンジに比べるとやや冒険が足らないというか。

しかしここでもまくらが秀逸で、これには恐れ入った。ネタバレ嫌なので細かく書けないけど素晴らしい。「紙魚」の話です。


吉笑さんは闇コソの大喜利に見られるように発想の瞬発力が素晴らしい。今回の二席まくらで披露した小噺はまさに吉笑ワールドであり、奇抜でありながら多くの人を唸らせる力がある。ただこれを長い噺に持って行くのはまず難しいので、円生がよく掛けていた『四宿の屁』みたいなオムニバスにするのはどうか。あと二つ「自室で起きたこと」の小噺をつなげれば立派に一席だ。

ほんとは古典の稽古もっとやってほしいけど、他にやりたいこといっぱいあるならしょうがない。鶴瓶師みたいに落語に本気出すのは売れた後、みたいな方もいるんだしね。


宮治さんは、鯉八さんの文学的世界と、吉笑さんの数学的世界という、今までの落語が作ってきた世界をはみ出た、ポストSWAからもはみ出た、「落語の概念を拡張する新作」にわざわざ挑んだ。鯉八さん以外の芸協落語家がよく掛けている「昔ながらの新作」や、吉笑さんでも『狸の恩返し過ぎ』だったらもっとずっと楽だったはず。あえて自分と一番遠い噺に挑むところが、いかにも桂宮治なのだなあと。年四回も国立演芸場で独演会やる人ですからね。

挑んでいないと、逆に怖いのかもしれない。 

m_shike at 20:30コメント(0)トラックバック(0)落語 | 生落語感想 

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